昨日、ディケンズ著「デイヴィッド・コパフィールド」を読み終えた。読み始めるとページをめくる手が止まらなくなる、幸せな時間だった。
語り口の上手さや人間観察の鋭さに感心した。それ以上にこの本を魅力的にしているのは、多様な登場人物のいきいきとした描写にみられるように、人間というものに対する共感や温かさではないだろうか。
雨の平日夕方、東京都美術館の若冲展に出かけた。
作品の素晴らしさは言うまでもない。けれど、30分待ちで入った館内は (実はその前日行くつもりだった。が、80分待ちの行列を見て断念) 壮大な押しくらまんじゅう、という様子で、落ち着いて絵を見ることは難しかった。17時になると入場が終わり、それから閉館までの30分は人も減り、再度最初の展示から見直した。この時ようやく絵を見た気がした。(閉館時、若冲グッズ売り場のレジ待ちは1時間)
4月下旬からこの展覧会がメディアで取り上げられる頻度はとても高い。素晴らしい展示は広く知られるべきだし、多くの人が訪れて大盛況だということも、美術館としてはきっと素晴らしいことだろう。でも一人の見学者として、落ち着いて絵に向き合える環境をもう少し考えてもらえたら、と思う。
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