サン=テグジュペリに関する本を探して、図書館でレオン・ウェルト著「僕の知っていたサン=テグジュペリ」を借りてきた。著者は「星の王子さま」を献呈された人だ。その献辞を(池澤夏樹訳)
「 レオン・ウェルトに
この本を一人の大人に捧げることを許してほしい、とぼくは子供たちにお願いする。大事な理由があるのだ。まず、その大人はぼくにとって世界一の親友だから。もう一つの理由は、その大人は子供のための本でもちゃんとわかる人だから。三番目の理由は、その大人は寒さと飢えのフランスに住んでいるから。慰めを必要としているから。これだけ理由を挙げても足りないようなら、ぼくはこの本をやがて彼になるはずの子供に捧げることにする。大人は誰でも元は子供だった(そのことを覚えている人は少ないのだけれど)。だから、ぼくはこの献辞をこう書き換えよう ―
小さな男の子だった時の
レオン・ウェルトに 」
レオン・ウェルトの文章から
「危険に親しんだ者たちにとっては、ときに危険は打ち負かすべき怪物のようなものだ。彼らはペルセウスがゴルゴンに向かっていくように、怪物に向かっていく。しかしサン=テグジュペリは危険に対して、軽蔑をもってするのではなく、ある種の貴族的な無頓着さをもって対処していた。」