自由研究
わかったようなことを書いたのだけれど(8月11日の日記をご覧ください http://ichirocello.cocolog-nifty.com/blog/2016/08/post-7515.html )、その後、名古屋の古い友人と楽器のことでメールのやりとりをしていて見附さんの新しいエンドピンを教えてもらい、もうエンドピン探しは止めたつもりだったのに、問い合わせてサンプルを送って頂いた。
結局その新製品ではなく、同時に試した芯にカーボンの入った真鍮のエンドピンを注文した。不思議なのは長さの問題。試したエンドピンは50センチ、実際に僕が頼んだのは45センチ、この5センチが意外と音に関係している気がする。持ち運びもあるから少しでも軽く、と僕にしては必要十分な長さなのだけれど、そう単純ではないらしい。これまでの鉄製のエンドピンに戻したり、新しいものにしてみたり。
弦はドルチェのスペシャルを気に入って使っていたのが、ある日楽器が閉じていることに気付き、昔ながらのミディアムに戻した。明るくてよく鳴るけど、芯が無い感じで心もとない。思い付いてエンドピンをカーボンの入った真鍮にしたら落ち着いた。軽い弦に重いエンドピンという組み合わせは良いのかもしれない。
最近はエンドピンのストッパーに様々な構造のものがあることを教えてもらった。長いこと固い木のストッパーが良いと思っていたのだけれど、ストッパー内を中空にして楽器の振動を地面から自由にする、あるいはストッパー自体を響くようにする、こんなアイデアに基づいているらしい。学生時代、調律師のKさんが固い桜の木を削り出して、アーチ状のストッパーを作ってくださったことを思い出した。
自分で作っても、と思い、東急ハンズの素材売り場をうろうろもしたのだけれど、たまたま入った楽器店に台湾製のものがあったので入手した。試すとよく音が伸びていい感じだ。特に高い音が楽に伸びる。そして楽器の鳴り方も変わる。つまっていた感じは開かれる。広い場所で試してみると、それほどの差はない気もするし、地に足が着いていない気もする。一長一短かな。
オーディオ用に磁石の反発を利用して浮かせるインシュレーターがある。あれをストッパーに応用したらどんなだろう。
最近読んだのは大崎茂芳著「クモの糸でバイオリン」。とても興味深い内容。実際にクモの糸で弦を作りヴァイオリンに張って、倍音の出方を計測し、金属弦やガット弦と比較する。クモの糸は様々な成分の倍音が多く出る、どんな音だろう。ヴァイオリンのd線での比較で、金属弦は高い成分の倍音が出、ガットは1オクターブ上の倍音が多く出てその他はあまり出ない。これはとても納得できる結果だ。金属弦のしゃりしゃりと高い倍音が出て、特にチェロの低い音ではそれでようやく輪郭がはっきりする感じ、ガットの太いけれどちょっと暗い感じ。既存の弦の構造の電子顕微鏡写真もあった。
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