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2018年1月22日 (月)

アナログレコード

正月帰省した折りに、久しぶりにLPレコードを何枚も聴いた。
驚いたのは、最近CDで買った録音が昔から実家の棚にあったこと(例えばズッカーマン&バレンボイムのブラームスなど)、もう一つ本当に驚いたのはレコードの音が良かったこと。このことは言い古されたことで興味深くもなんともないけれど、それでも驚いた。家にあるレコードプレーヤーはオーディオファンが憧れるような名器ではなく、手入れもろくにしないまま30年くらいたっている。それに僕が生まれる前からあるレコードを乗せて聴くと、これ以上のものはないように思われた。幸せな時間だった。
80年代レコードがCDに席巻され、さらにSACDという規格が出て(あまり普及していない気がする)、ハイレゾと呼ばれるものが今のはやりのようだ。でもその技術の素晴らしい進歩のようにみえたものはなんだったのかな、と思わずにいられなかった。

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CDの規格を作る時に、人間の耳に聞こえないであろう高い音域をカットした、というのはよく知られた話だと思う。それがどうもよくない、というのでその高い周波数域を入れたのが「ハイレゾ」だと僕は理解している。でもそれはそもそもレコードに入っていたものではないだろうか?ただし両者の音の違いにはきっと他にも多くの要因があり、単純な比較は難しいのかもしれない。なんといってもデジタルオーディオは便利だ。でも不便で、大きなレコード盤をターンテーブルに置き、ホコリを取り、針を降ろすといった儀式的なことすら必要なアナログレコードの方が楽しい、というのは本当におもしろいところだと思う。
昨年12月8日の日経新聞夕刊に掲載された大橋力さんの記事の中から

『CDの規格を決める際に高周波を含む音と含まない音を10~20秒間交互に被験者に提示して違いを判別する心理実験が行われました。その結果、20キロヘルツ以上は違いを判別されないとされました。脳を同じ条件で一定の反応を示す機械のように扱っています。しかし脳の状態は40秒以上高周波にさらされたとき変容し、影響が100秒以上尾を引くことがわかりました。心理実験はいわば「心」に違いを尋ねる実験ですが、私たちの陽電子放射断層撮影(PET)の実験は「体(脳)」に尋ねました。
 米生理学会の学術誌は「最も読まれた論文」を毎月公表しています。2000年のPET実験論文は今もベストテンに入り読まれ続けている。CDを超える音を求める昨今の高音質のハイレゾリューション・オーディオのブームの火付け役にもなりました。でも、私は不満です。
 その後の研究で2つ新たなことがわかりました。まず高周波を感知するのは聴覚ではなく体表面の皮膚であるらしいこと。2つ目は、特定の高周波帯域では脳の活性を抑える負の効果もあることです。ハイレゾについて、こうした事実を踏まえる必要があります。』
『人工知能が人間の知能をしのぐといわれますが、この世界には機械では置き換えられない別の情報領域があります。かつて人類は森で暮らし豊かな音に囲まれていました。今や人工物であふれる生活を送っています。音と人間との関係からみて、私たちの科学技術文明の今後について、今とは違うもう一つの戦略がありえるのではないかと思います。』

理屈で考える以前に、人間にはもともと備わった大きな力があるのではないか、と最近感じるようになった。それは多くの情報を取り入れ、頭ばかり使っていると見えにくくなってしまうものではないだろうか。
諦めていたレコードプレーヤーがまた欲しくなった。一番の問題はレコード盤を置く場所・・・。

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