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2018年7月11日 (水)

ラジオ

6月で終わった日経新聞夕刊の連載、脚本家東多江子さんの文章も毎週楽しかった。最終回6月28日掲載分から。

『昨年「熟年初婚」と相成り、始めたことが二つある。
 一つは家計簿。一つは梅干し。
・・・・・
 わたしには、敬愛する専業主婦の友だちが何人かいるが、その一人の言葉が忘れられない。
「生き甲斐とか、それ、どうしてもなかったらいけんの?毎日機嫌良く暮らしとったら、それでいいんやない?」
 彼女はふるさとの言葉でそう言った。至言だと思った。
・・・・・
 夫婦関係も仕事も子育ても「どれも充実してます!」的ライフスタイルが賞賛される風潮は、どうも好きになれない。スーパーウーマンなんて(それが存在するとして)一握りだ。雑誌の記事などを真に受け、本気で焦ってみたり悲嘆に暮れてみたりするなんて、アホみたいである。
 機嫌良く暮らせること、それを充実と言うのではないか?』

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昔からラジオが好き。テレビかラジオかどちらか、と言われれば迷わずラジオを取る。ラジオの良さは自由でストレートなことだと思う。顔は見えないけれど、それ以外のことはよくわかる。内容とマイクに向かって話す人の人柄、それが全て。おもしろいものはおもしろく、つまらないものはつまらない。ラジオを聞く人は少数で、ほとんどの人はテレビでしょう。でも僕は時々テレビのあざとさにうんざりする。

家にはラジオがたくさんある。昔から使っている目覚ましと一体になったラジオ、風呂でも聞ける防水ラジオ、旅行に持って行く小さなラジオ、・・・。ステレオにつなぐ立派なチューナーもある。東京に出てきた時、テレビはなくても生活できるから、というのが結局長く続くことになった。今はスマートフォンでも、しかも放送後でも聞ける。テレビがつまらない夜は、愛してやまない平日16時半からのJ-WAVE、GROOVELINEをタイムフリーで聞いてひとしきり笑う。

物で幸せになるのはけっこう難しい、とようやく気がついてから、物をあまり買わなくなった。でも先日ヨドバシカメラでこのラジオを見つけて、どうしても欲しくなり、今めでたく家にある。スピーカーが一つしかないアナログのラジオ。世の中の流れに逆行するような古いスタイルの製品から出る音は、ハイレゾやハイファイといったものとは逆、レンジは広くなく、音は個性的かもしれない。でも人の声や、古い録音が流れてくると素晴らしい。夢の高級オーディオではないけれど、力がある。音は不思議だ。ロックを聞いても楽しいし、僕としては珍しく挫折せずに聞き続けているイタリア語講座(入門編)もご機嫌。今週は毎晩、ベルリンフィルの最近のライヴ録音を聴いている。

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