« 「ざらざらした」 | トップページ | 乾電池を使うラジオ »

2019年9月 8日 (日)

各駅停車の旅 その4

学生の頃、よく名古屋と東京を行き来していた時、何度も青春18切符を使った。
東京から東海道線で名古屋に向かうと、だいたい熱海まで1時間半、さらに2時間半くらいで浜松。そのあたりが辛さのピークで、しかも在来線と新幹線が交わるところがあり、信じられないようなスピードで新幹線に追い越されると、次はあれに・・・、と弱気にならずにはいられなかった。でも、浜名湖を過ぎると景色に変化も出てきて、名古屋まであと少し、という気になる。
最近、筋金入りの鉄道ファンであるYさんと18切符の話しをしていたら、東海道線の熱海、浜松間は彼でも辛く、寝るかクロスワードをするようにしている、とのことだった。各駅停車に乗るといつも一番前の車両の、運転台の後ろに立つようなYさんでもそうなんですね、と驚いた。こんなことを書くと静岡の人たちに怒られそうだけれど、あの区間は平坦でまっすぐで、景色の変化が少ない(ごめんなさい)。

107b22de9bab4899ae7306b9bb189b6f

5回使えるこの夏の18切符、あと1回分残っていた。名古屋まで新幹線で行き、実家に泊まった翌日、東海道線で西に向かった。いつもと勝手が違うのは父と一緒、ということ。大垣、米原で乗り継ぎ、滋賀県の草津駅で降り、さらにバスに乗って琵琶湖博物館へ。(http://www.biwahaku.jp)

3f4a7c1b196e4169820653db8557f159

86320ce3bd3c4a6b8580d978212f63d1

素晴らしくて驚いた。広く充実した展示。生きている魚やほ乳類の水槽展示はもちろん、琵琶湖の歴史を扱った部分も同じくらいおもしろかった。琵琶湖や、さらに日本海の成り立ちを地質学的な時間でさかのぼったり、人間の歴史では様々な生活、平清盛の時代から、敦賀から琵琶湖まで運河を掘る計画のあったこと・・・。縮尺1万分の1の巨大な地図がフロアいっぱいに展開され、日本海から琵琶湖、大阪湾までの広がりや狭さを体感できる。そして念願のカヤネズミ(ピンポン球くらいの大きさ)も見ることができた。

A99e9efcdb2e46308a979edfd3e16557

残念ながら時間切れで全ては見られず帰路についた。空の広い琵琶湖湖畔を通り米原を過ぎると急な上りになる。関ヶ原に近づくにつれ、山の感じが険しくなり狭くなり、関ヶ原を過ぎるとまた開けてきて、ほんの2駅で大垣駅に着く頃にはすっかり穏やかな場所になる。そうした景色の移り変わりを見ると、まさにここが向こうとこちらを分ける要衝で、確かに天下分け目の戦があったのだろう、と感じた。

F5d9ad54cbca49df9022049d09885194

翌日、久しぶりにこだまで帰京。安倍川の手前で、Yさんが教えてくれたとおり、海側の座席から富士山が見えた。こだまの景色の流れ方は心地いい。のぞみは速くて素晴らしいけれど、あっという間に着くからうかうか寝ていられないもの。時々車窓から海が見える。8月のような青い海と青い空が美しかった。

« 「ざらざらした」 | トップページ | 乾電池を使うラジオ »

映画・展覧会」カテゴリの記事

」カテゴリの記事