4月の日経新聞から
最近報道されたことをまとめてみる。
悪いニュース、と思った。いったいどういうことで、何が起きているのだろう。4月14日、日経新聞夕刊の記事から。
『WHOは13日、新型コロナウィルスの感染者で回復後に再び陽性になる患者が出ていることについて、回復者に免疫がついているかは不明だとの見解を示した。次に同じウィルスが侵入した際に、病原体を攻撃する抗体が体内で十分に作られていない可能性があるという。・・・』
4月25日の日経朝刊から。
『抗体検査は感染済みかを簡単に調べられる手法として注目を集めている。ニューヨーク州は23日、無作為抽出した3000人を対象とした調査で、13.9%が抗体を持っていたと発表した。州人口をもとに単純計算すると270万人が抗体をもっており、公表されている感染者数の10倍強に達する。
他の国々の抗体検査でも同様に公表数値を大きく上回る感染を示す結果が出ている。・・・』
4月22日、日経朝刊に掲載されたWHOシニアアドバイザー、進藤奈邦子さんの記事から。
『「欧州は厳しい外出制限などの効果が出て安定してきた。WHOは日常生活に戻すための判断基準を作成した。世界全体ではいったんは感染が落ち着く時期がくる。大事なのは次の波をどう抑えるかで、そのためには国際協調が欠かせない。・・・」
「抗体検査の信頼性はまだ確立していない。抗体をもっていることがどれだけ免疫防御になるのか、有効期間はどの程度なのかなど分からない点が多い。抗体検査の結果で外出制限を緩和するのは時期尚早だ」』
4月1日、日経朝刊には「コロナワクチン、開発加速」という記事が掲載された。
『・・・米ジョンソン・エンド・ジョンソンは30日、ウィルスの遺伝子情報を使った短期製造が可能なワクチンを開発したと発表した。臨床試験(治験)を9月までに始める。米モデルナや日本のアンジェスも類似の技術で短期の開発を急ぐ。・・・』
これは教えて頂いたBBCのウェブサイトで、ワクチン製造に関するインタヴュー。免疫について、わかりやすい説明と感じた。
https://www.youtube.com/watch?v=Gb5rEY3LIVc
やはりBBCのニュースでオックスフォード大学のワクチン開発のことが伝えられた。23日に欧州初の臨床試験が始まったそう。
https://www.bbc.com/japanese/52407075
4月15日、日経朝刊からドイツの対応について。
『「感染スピードを鈍らせるには学校閉鎖や大規模集会の禁止しかない。電気やガスは供給できるが、航空・鉄道は滞り、医療はパンク。消毒液やマスクの調達も難しくなる。感染終息には3年かかるだろう」
まるで現状分析のようだが、実は7年前の2013年1月に連邦議会(下院)がまとめた報告書だ。世界規模のウィルス感染が起こったらドイツにどう影響し、政府はどう動くべきか。A4判30ページあまりの詳細なシナリオ分析は新型コロナを予言しているようだ。』
4月19日、日経朝刊から。
『台湾の新型コロナウィルスとの闘いは2019年暮れから始まっていた。・・・医師や感染症の専門家らは・・武漢市で発生した原因不明の肺炎に着目し、警戒の必要性に気づいた。病院の最前線で働く医師らの元には年明け早々、警告メッセージが届いた。
・・・・・
新型コロナの感染拡大の可能性をいち早く察知し、緊急事態と捉えた台湾当局の初動は素早かった。武漢市当局が原因不明の感染症発生を認めた12月31日、武漢からの直行便に対してすぐに検疫を開始。・・・』
4月16日、日経朝刊に掲載された100年前のインフルエンザの流行について。
『欧米での大流行から4ヶ月ほどたった18年10月ごろから日本でも本格的な流行が始まった。国内では2度の感染爆発を迎えることになるが、「前流行」と呼ばれる時期だ。・・・前流行は翌19年の夏前には収束した。内務省の記録では患者は約2117万人、死者は25万7000人。当時の国民の4割が感染し、死亡率は1.22%だった。
そして同年秋から「後流行」がやってくる。・・・後流行は20年夏に収束。患者は約241万人、死者は12万8000人だった。感染が前流行の1割に激減したのは多くの人が免疫を獲得したためといわれている。一方、死亡率は5.29%と4倍以上に跳ね上がった。・・・』
4月25日、日経朝刊から。
『新型コロナウィルスは何者かがエイズワクチンを開発する過程でつくり出した。・・・フランスのリュック・モンタニエ博士らがこんな主張を展開している。支持する研究者は皆無に近いが、ウィルスの正体はなお謎が多い。・・・新型コロナウィルスのゲノムの1%未満の短い領域に、HIVに由来する情報の断片が6つあった。その入り方に自然にはあり得ない特徴がみられ、人為的に挿入したと考えられるという。
・・・科学界の反応は冷たい。仏パスツール研究所や国立科学研究センターの研究者はこの説を相次ぎ否定した。他のウィルスの遺伝情報が入るのは自然界でよくあるという。長崎大の安田二朗教授もゲノムを見て「不定期に変異が起きており、人為的な改変とは考えにくい」と指摘する。・・・』
4月9日の日経朝刊に掲載されたフランスの経済学者、ジャック・アタリ氏の記事から。
『誰も第1の優先事項とは考えていないようだが、ワクチンと治療薬にきわめて多額の資金を充てることだ。いくつか支援策は発表されているがばかげていると言わざるを得ないほど少額だ。この問題はワクチンや治療薬があれば解決し、なければ解決しない。それにより危機は3ヶ月で終わるかもしれないし、3年続くかもしれない。』
4月12日、日経朝刊、ビル・ゲイツ氏の記事から。
『新型コロナウィルスにとって国境は意味をなさない。私がこの点を指摘するのは、各国政府が自国の対応に専ら集中しているからだ。
多くの低・中所得国をいま支援しなければ、感染者数と死亡者数が現在の水準を超える可能性は高い。このままでは数百万人が命を落とす危険性がある。
先進諸国が今後数ヶ月で抑え込みに成功しても、このパンデミックがどこかで猛威を振るう限り、新型コロナウィルスが再び襲ってくることはある。この点こそ、この感染症との闘いにグローバルに取り組むべき理由である。』
4月14日、日経朝刊、生物地理学者ジャレド・ダイアモンド氏の記事から。
『新型コロナウィルスの封じ込めは世界各国が足並みをそろえないと困難だ。戦いに勝つには国際的な協力体制が要る。世界的な問題を解決するモデルになり、核や気候変動、水産資源の保護といった課題に国際社会が協調して取り組む契機になるのが最良のシナリオだ。』
4月15日、朝日新聞に掲載されたユヴァル・ノア・ハラリ氏の記事から。
『感染症は全世界が共有するリスクだと考える必要があります。たとえば日本からウィルスが消え、しかし、南米のブラジルや、ペルー、エクアドルで流行が続いているとしましょう。ウィルスが人類の体内にいる限り、突然変異する可能性がある。より致死的になったり、感染力が強まったりして、あなたの国に戻ってくる。そして、さらに深刻な流行を引き起こすのです』
『中国の湖北省武漢市では封鎖を解除し、人々が仕事に戻ろうとしています。今後数ヶ月のうちに各国が挑戦する課題です。中国人にはぜひ、湖北省であったことについて、信頼できる情報を提供して欲しい。その経験から、他の国々は学ぶことができます』
4月27日、日経夕刊の記事から。
『英紙フィナンシャル・タイムズは27日、新型コロナウィルスによる死者数が、各国の報告数より約6割多い可能性があるとの独自の調査結果を報じた。死因に関係なく各国の3~4月の死者数を調べたところ、例年と比べた増加幅が新型コロナ死者数の公表値を大幅に上回った。新型コロナと確認されないまま死去した人が多数いる可能性を示唆した。』
NY州の抗体検査の結果を見ても、このフィナンシャル・タイムズの調査を見ても、発表されたデータがどれくらい実体を反映しているのか、わからない感じがする。
4月22日、日経朝刊から。
『新型コロナウィルスの感染拡大の防止に追われる日本とは対照的に、ドイツや米国は経済活動の一部再開へ進み出した。欧州連合は再開に踏み出す条件として①感染拡大の鈍化②大規模な検査能力③十分な医療体制 ー の3つを挙げる。・・・
収束に向けて決定打となるワクチンや特効薬が開発されるまでは、感染をコントロールできる水準に抑えつつ、経済活動を再開していかなければ、深刻な雇用喪失や長期的な経済停滞に陥りかねないとの見方が欧米で広がる。検査充実などを条件に感染抑制と両立しながら経済を回していく狙いだ。』
4月27日の日経朝刊の記事から。
『・・・ドイツは20日から中小の商店を順次再開した。1人の感染者が新たに何人に感染させるかを示す「再生産数」が1未満になったことが決定打となった。
トランプ米政権も16日、感染者が少ない地域から段階的に経済活動を再開していく方針を示した。全米の新規感染者の増加が4月中旬に頭打ちとなったためだ。
・・・
一方、新興国では収束の見通しが立たないうちに貧困層の生活困窮などを理由に制限を緩和する動きが出ている。南アフリカのラマポーザ大統領は23日、3月中旬から実施している全土封鎖を5月1日から段階的に緩和すると発表した。暴動が発生するなど制限解除への圧力が高まっていた。
・・・「見切り発車」の緩和はさらなる感染の拡大につながりかねない。』
2ヶ月くらい先の世界がどのようになっているのか、予測がつかない。推移を注意深く見ていきたいと思う。