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2020年4月 2日 (木)

3月31日の日経新聞から

3月31日の日経新聞夕刊1面に「製薬大手の米ジョンソン・エンド・ジョンソンは30日、新型コロナウィルスの予防ワクチンの提供を2021年初めにも始めると発表した」という記事が掲載された。
幸運なシナリオは、日本で大きく感染の広がることなく、どうにか今年を過ごし、もしかして来年のどこかでワクチンの恩恵にあずかれるかもしれない、というものだろうか。

30日、東京都の会見で専門家が、2,3日で感染者が倍増することがないよう、固唾をのんで見守っている、と述べていた。(2,3日間で倍増すると、外国のような状況になる。)おそらく彼の言う通りで、このところの感染者数の推移を見ると、今の日本は確かにぎりぎりのところにいると思う。

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同じ3月31日の夕刊1面には「富士山大噴火で首都圏交通まひ」という記事もあった。1707年の宝永噴火と同規模のものが起こると、最悪の場合、3時間後にに都心で停電や鉄道の運休が発生、とある。以前読んだ鎌田浩毅著「富士山噴火と南海トラフ」にも、その規模の噴火で、電気と飲料水の供給が止まる、ということが書かれていた。3.11も経験したことのないものだったけれど、火山の噴火は遙かに大きな影響をもたらすらしい。
電気や水の供給停止は生活に直結するから、トイレットペーパーどころではない買い占め、パニックが発生すると思う。今、多くの人の行動を左右しているスマートフォンに加え、クレジットカード、ICカード、ATMなどの決済システムは、停電が長く続いても、変わらず使えるだろうか。
現在、日本での感染がぎりぎりのところに留まっているとして、もし火山の噴火や大きな地震、台風などの災害が起きたら、かなりまずい状況になると思う。

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3月31日の日経朝刊には「サピエンス全史」の著者、ユヴァル・ハラリ氏の寄稿文が載った。(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57374690Y0A320C2000000/ 全文読むにはログインが必要です)
その冒頭から、

『人類はいま、世界的な危機に直面している。おそらく私たちの世代で最大の危機だ。私たちや各国政府が今後数週間でどんな判断を下すかが、今後数年間世界を形作ることになる。その判断が、医療体制だけでなく、政治や経済、文化をもかえていくことになるということだ。
・・・・・
新型コロナの嵐はやがて去り、人類は存続し、私たちの大部分もなお生きているだろう。だが、私たちはこれまでとは違う世界に暮らすことになる。・・・
・・・・・
今回の危機で、私たちは特に重要な2つの選択に直面している。1つは「全体主義的な監視」と「市民の権限強化」のどちらを選ぶのか。もう1つは「国家主義的な孤立」と「世界の結束」のいずれかを選ぶのか、だ。
・・・・・』

今回のウィルス感染で人とモノの動きが止まり、経済への大きな影響が連日報道されている。
どこかに書かれているわけではないけれど、日本経済新聞の前提は、経済成長は是である、ということだと思う。経済が伸び続ければ、記事は楽観的だし、今回のように大きなブレーキがかかると悲観的な論調になる。でも経済は、あるいは限定して、モノの生産と消費は、無限に成長し続けられるのだろうか。
モノが売れない、と言われて久しい。日本の多くの人はモノであふれた家に住んでいるから、売れないのだと思う。例えばクルマの生産は日本が世界に誇る技術だ。日本自動車工業会のHP(http://www.jama.or.jp/world/index.html)によると、2018年世界の四輪車生産台数は9570万7千台、2017年世界の四輪車保有台数は13億7341万台、とある。毎年1億台(!)近い四輪車が生産され、それに伴って莫大な雇用と消費が生み出され、お金が回っていく。でもこの小さな宇宙船地球号で、それはこの先10年、50年、100年と続けていけることなのだろうか。

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欲求が次から次へと押し寄せてくるのが人間というものなのかもしれない。ハラリさんが述べたように、いつか感染が収まった時(あるいはすでに)、世界は変わっていると思う。どのように人間がふるまっていくことが、決して大きくはない地球での生活に適うのか、そろそろ考える時に来ているのでは、と思う。
京都、龍安寺の蹲踞(つくばい)には「吾唯足知」(吾唯足ることを知る、ワレタダタルコトヲシル)とあるそうだ。(http://www.ryoanji.jp/smph/guide/grounds.html#g_lis02
龍安寺を再訪できる時が来ることを願うばかりです。

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