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2020年6月

2020年6月30日 (火)

6月の日経新聞から

今月をふり返ってみる。

6月29日日経夕刊から、
『米ジョンズ・ホプキンス大学によると、世界の新型コロナウィルスの累計死者数は29日、50万人を超えた。欧米各国に加え、ブラジルやメキシコなど新興国でも増加している。・・・
 新型コロナの世界の累計感染者数も1千万人を突破した。先進国を中心に経済活動を再開する動きが見られ、感染ペースが鈍化した国では渡航制限を一部緩和する動きも出てきた。ただ再開を急ぐあまり感染が再拡大する懸念も広がっている。
 感染の再拡大を防ぐための動きも出ている。・・・』

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6月5日日経夕刊から、
『英製薬大手のアストラゼネカは4日、英オックスフォード大学と開発する新型コロナウィルスのワクチンについて、今年から来年にかけて20億回分の生産が可能になるとの見通しを発表した。』

6月11日日経夕刊から、
『米政府が支援する3つの新型コロナウィルスのワクチン開発計画が今夏にも治験の最終段階になどに入ることが10日、分かった。・・・
 報道によると、7月に米バイオ医薬ベンチャーのモデルナがワクチン開発の最終段階に当たる治験の第3段階に入る。
 米ジョンソン・エンド・ジョンソンは9月に予定していた初期段階の治験を7月後半に前倒しすると10日、発表した。
 8月には英オックスフォード大学と協力する英製薬大手アストラゼネカも第3段階に入る。米政府の支援を受け、各社は約3万人を対象にワクチンとプラセボ(偽薬)を投与し、新型コロナ発症率の差を確認する。通常、同段階では数千人が治験対象となるが、開発を加速するために規模を拡大する。
 これらとは別に、米政府が100億ドルを投じた「ワープ・スピード作戦」の支援対象となっている米ファイザーのワクチン候補は7月にも第3段階の治験に入る準備を整えている。
 ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、今後、仏サノフィが開発するワクチンも大規模な治験を政府が支援する可能性があるという。
 米紙ニューヨーク・タイムズによると、新型コロナのワクチン開発計画は世界中で135に上る。しかし、第1段階以上に進んでいるものはごく少数に限られる。』

6月13日日経朝刊から、
『第一三共は12日、新型コロナウィルスに対するワクチンを開発すると発表した。2月から東京大学と研究を進めてきたが、効果が確認できたことから開発に乗り出す。今後は動物試験などを実施。2021年3月ごろの臨床試験開始を目指す。』

6月18日日経夕刊から、
『大阪府の吉村洋文知事は17日の記者会見で、大阪大発のバイオ企業「アンジェス」が開発を進めている新型コロナウィルスのワクチンについて、10月に400~500人規模の臨床試験を実施すると説明した。
・・・
 ワクチンは大阪大の森下竜一教授が中心となって開発。吉村氏は治験や国にの認可を経て、2021年春~秋の実用化を目指し、数百万人分の製造が可能としている。』

6月24日日経朝刊から、
『新型コロナウィルスの「第2波」に備え、欧州各国がワクチンの調達を急いでいる。ワクチンはまだ開発段階だが、米国が先駆けて欧州製薬会社と契約を結んだことに対抗する。各国政府が製薬会社と直接交渉し、今秋にも供給されるワクチンを確保しようと躍起だ。』

6月18日日経朝刊、「史上最大のワクチン事業 仙台医療センター・ウィルスセンター長、西村秀一氏に聞く」という記事から、
『ワクチンは流行が来てみないと効くかどうか分からないんです。頻度は低いかもしれないが副作用もあるし、因果関係が不明でも接種後に偶然亡くなる人が出ることだってあります。たとえば心筋梗塞など。多くの人が接種するほどそうした報告が頻発する。すぐに大量のワクチンが用意できないときは、接種の優先順位を決める必要があります。医療従事者か、高齢者か、基礎疾患のある人なのか。小児はどうするのか。
 こういうことを接種事業を実施する前に国民に説明しなければならない。副作用事案に備えてきちんと調査をする期間を整えておく必要もあります。何事もリスクはあります。』

秋以降、欧米でワクチンの接種が始まり、日本では来年になって一部の人に、ということだろうか。そして来年の春にはワクチンの効果や副作用について、検証や報道がされているのだろうか。

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6月5日日経朝刊から、

『新型コロナウィルスに感染した子供で、発熱や発疹、腹痛などを患う『川崎病』に似た症状になったとの報告が欧米で相次いでいる。』

6月6日日経朝刊から、
『新型コロナウィルスの感染者が重い合併症を患う症例が、世界で相次ぎ報告されている。心臓や脳、足など肺以外でで重篤化するケースが目立つ。世界では300万人近くが新型コロナから回復したが、一部で治療が長期化したり後遺症が残ったりするリスクも指摘され始めた。各国の研究機関は血栓や免疫システムの異変など、合併症のメカニズム解明を急ぐ。』

6月12日日経朝刊から、
『新型コロナウィルスの感染が拡大していた4月、「特定警戒地域」だった13都道府県のうち11都府県で平年より死亡数が大きく上回る「超過死亡」があったことが11日、日本経済新聞の集計で分かった。・・・
 東京都は11日、緊急事態宣言が発令された4月分の死亡数を公表。死亡数は1万107人で、平年より1056人(11.7%)増加した。都を含め埼玉、千葉、神奈川、愛知、大阪、福岡の計7都府県は平年より1割以上増えていた。』

わからないことばかりだ。

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6月17日日経朝刊、「唾液の抗原検査 重要」という専門家会議副座長、尾身茂さんの記事から、
『PCR検査と組み合わせる検査として期待を示したのが唾液による抗原検査だ。この検査は唾液に含まれる新型コロナウィルスの一部の物質を検出する。現状では、遺伝子の量を調べるPCR検査に比べて感度が劣る。企業が精度の検証をしている段階で、まだ実用化していない。
 尾身氏は予備的な調査を元に、精度の問題をクリアして利用できる見込みを示唆した。』

6月22日日経朝刊から、
『専門の技師や検出器を使わず、30分程度で新型コロナウィルスを判定する検査法が実用に向けて動き出す。日本大学の桑原正靖教授らが作ったウィルス検査で、月内に塩野義製薬と量産向け検査キットの開発でライセンス契約を結ぶ。インフルエンザのように病院で医師や看護師が検査してすぐ結果を知ることもでき、経済再開に向けた環境整備につながる。
 塩野義は検査キットが診断に使えると判断すれば、厚生労働省に薬事承認を申請し、今秋の実用化を目指す。』

人類の叡智を結集して、リトマス試験紙のように、誰でも手早くできる検査方法を開発できないのだろうか。外出前、5分くらいで陰性か陽性か調べられるようになったら、ずいぶんいいのに。


6月10日日経朝刊から、
『ソフトバンクグループは9日、グループの社員や医療従事者ら4万人を対象に実施した新型コロナウィルスの感染歴を見る抗体検査の結果を公表した。抗体を保有していた陽性率は0.43%だった。』

6月16日日経夕刊から、
『厚生労働省は16日、東京、大阪、宮城の3都府県で実施した新型コロナウィルスの抗体検査の結果を公表した。過去に感染したことを示す抗体保有率は東京0.1%、大阪0.17%、宮城0.03%だった。いずれも公表ベースの感染率を上回ったものの、海外と比較して低水準だった。・・・
 一方、米ニューヨーク州が実施した検査の抗体保有率は12.3%、スウェーデンのストックホルムは7.3%に達しており、海外の感染拡大国に比べると低水準だ。
 同省も「大半の人が抗体を保有していない」と結論付けた。現時点では抗体がどれだけの期間持続するかや、抗体保有者に再感染リスクがないかは分からないとしている。』

6月4日日経夕刊から、
『スウェーデン政府で新型コロナウィルス対策を担う疫学者のアンデュ・テグネル氏は3日「我々がやってきたことは明らかに改善の余地がある」と述べた。同国はロックダウンをせず、多くの人が感染して『集団免疫』を獲得することを目指す独自路線を取ったが、死者数が増えて批判が強まっていた。』

6月26日日経朝刊、「集団免疫 終息のカギ」という記事から、
『集団免疫は感染者の割合がどれくらいになれば得られるのか。これは1人の感染者が新たに何人に感染させるかを表す『基本再生産数』という値などから割り出す。欧州の感染例を参考に基本再生産数を2.5として感染の広がりを求めると、全体の6割程度の人が免疫力を持てば感染は収まるとされている。・・・
 スウェーデンのストックホルム大学などは免疫を持つ人が4割程度で集団免疫が獲得できるとの試算をまとめ、英科学誌サイエンスに発表した。外出する機会などが多い13~39歳の若年層が感染した割合が7割に達すれば、高齢者などの感染した割合が3割前後に留まっても再流行しないと分析した。
 英オックスフォード大学などのグループは人口の1~2割が感染するだけで流行が拡大せず終息に向かうとした。感染しやすさや接触頻度がばらつけば、感染は広がりにくいという。
 ・・・・ ただ集団免疫の推定を巡る研究は実際の社会で実証されておらず追加の研究が欠かせない。また感染者でも免疫が長期にわたり保たれず集団免疫は期待しにくいとの指摘もある。』


6月24日日経朝刊から、
『空港検疫のPCR検査で新型コロナウィルスの感染確認が相次いでいる。入国制限により検査対象は全国で1日1千人程度にとどまるが、ほぼ連日新たな感染者が見つかっている。・・・
 政府は2月以降、水際対策を順次強化し、23日時点で入国拒否は111カ国・地域に及ぶ。現在入国できるのは日本人の他、早期に再入国の手続きをした上で日本を離れていた永住者や日本人の配偶者に限られる。症状の有無にかかわらず全員がPCR検査を受ける。
 ・・・
 政府は経済活動の回復に向けてビジネス目的の往来に対する制限を緩和していく方針。』

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6月15日の夕刊に掲載された日本フィル理事長、平井俊邦さんの記事から。

『 ー 危機に瀕する各オーケストラが存続する上での課題は。
「制度上の問題が大きい。多くの楽団が公益財団法人という形態をとっているが、年間の収入と支出をトントンにしなければならない『収支相償の原則』がある。利益を出し、積み立てておくことが難しいため、今回のような危機への備えができない。一方、2年連続で純資産が300万円を下回ると、法人資格を失い解散を迫られる」
「日本では、文化芸術は余裕がある人の道楽や教養ととらえられてきた面がある。だが心がカサカサになったときに、芸術がどれだけそれを潤わせ、和ませることができるか。長い自粛生活で痛感した人も多いのではないか。社会と経済、文化は一体のものだ」』

6月16日日経夕刊に掲載された作家、堀川惠子さんの『「不要不急」は人生の糧』という文章から
『劇場は連日、補助席も足りないほどの大入り満席。俳優は白銀のバックライトに唾を飛ばして熱演し、観客は肩寄せ合う熱気の中で物語に浸った。そんな舞台の「熱」を取り去らねばならぬコロナ対策は、あまりにむごい。
「不要不急」のレッテルを貼られた文化や芸術が先を見通せず、解を求めて苦しんでいる。演劇界でもネット上の試行錯誤は行われているが、劇場の一期一会の緊張感と臨場感は他には代えがたい。その空気感は、どんな精巧なカメラで撮影してもとらえきれぬ無二のものだ。
・・・・・
「文化は良き時代にのみ享受される贅沢品ではない。芸術は生命の維持に必要な存在だ」
ドイツの文科相が国民に語りかけた言葉に、一縷の希望を見出す。が、ここでなぜ遠い海外の大臣の言葉を引用せねばならぬのか、それもまた歯がゆい。』

大編成が必要なマーラーなどの交響曲や、大きな合唱団が入る第九の演奏会は難しそうだ。それだけでなく、演奏が終わった後、客席からの「ブラボー」も、舞台上で演奏者同士が握手をする習慣も、しばらくなくなるかもしれない。
都響は来月、予定を変更し、規模の小さな公演を開く。一方、ニューヨーク・フィルは来年1月5日までの公演中止を発表した。https://nyphil.org/plan-your-visit/how-to-prepare/health-and-safety 日本では様々なことが動き出しているけれど、この報道に接して、有効な治療法もワクチンもまだないことを思う。

2020年6月22日 (月)

若い演奏家たち

仕事に最低限必要なだけしかクラシック音楽を聴かない時期がずいぶん長くあった。ラジオもニュース以外はJ-waveかInterFMのみ。最近はNHK-FMもよく聞くようになった。ごくたまに朝早く目が覚め、ラジオからバロック音楽が流れてくると、この僕にも何だか素晴らしい一日が訪れそうな気がするし、そのほかの時間帯でも、興味のなかった演奏に触れ、思いがけず心を動かされることがある。

グイード・カンテッリという指揮者を知らなかった。日曜日のラジオから流れてくる音の素晴らしさに心奪われた。古い録音にもかかわらず、オーケストラの音が信じられないくらい生き生きしている。きっとカンテッリがいると、奏者たちは自分の能力を十二分に発揮できたのだろう。1920年生まれだから、例えば1919年生まれのバーンスタインや20年のノイマンと同世代。大変残念なことにカンテッリは航空機事故で若くして亡くなった。

ユリア・フィッシャーという若いヴァイオリニストも知らなかった。ブリテンやブルッフの協奏曲の素晴らしい演奏を聴き、調べてみると、彼女は演奏会の前半でサン・サーンスのヴァイオリン協奏曲、後半はグリークのピアノ協奏曲(ピアノで)を弾く、ということもするらしい。ロストロポーヴィチがモスクワ音楽院の試験でラフマニノフのピアノ協奏曲を弾いたり、歌手である夫人のピアノ伴奏をしたりしていたことを思い出した。

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オーケストラの活動がままならない中、パリ管が新しい音楽監督を発表した。なんと1996年生まれのクラウス・マケラ。この4月、都響は彼の指揮でショスタコーヴィチを演奏するはずだった。マケラは素晴らしいチェリストでもある。

先日久しぶりに上野駅でJRを降りたら、ホームで流れる音楽は変わらずマイスタージンガーだった。その前に流れていた「誰も寝てはならぬ」には少々うんざりしていたけれど(プッチーニさん、ごめんなさい)、マイスタージンガーは、簡略化されていても素晴らしいと思う。予定としては、今はオーケストラピットに入ってマイスタージンガーの音楽にまみれている時期だった。

2020年6月10日 (水)

「心の中に」

この日記も意外と長くなり、忘れている記事は多い。確かある画家が別の画家のことを書いた文章があったはず、と探したら9年前のことだった。心にふれるものがあって書き留めたのだけれど、その時はそれが何かわからなかった。
2011年2月の日記、日経新聞で安野光雅さんが佐藤忠良さんについて書いた文章から、

『何という光栄だろう。彼が直接に絵を描くところを初心者の目で見たのである。当然だが、ほかの誰もが描く方法と少しも違わない。外見に違いはない。まねのできない心の中にどうすることもできない違いがあると思えた。』

当時僕の日記を読んでくださったOさんが、この文章に言及したことは覚えていた。引用した僕自身はよくわかっていなかったのだけれど、今、本当にそうですね、と思う。人の心の中に入ることはできない。でも、こうして書かれた文章からほんの少しだけ、うかがうことはできる。それはとても貴重な経験だと思う。

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以前の日記を見返していたらピアニスト、舘野泉さんの文章を何度か引用していることに気付いた。こんな文章があった。2010年4月の日記から、

『・・・私の日常も、ピアノを弾くのは別段何かをしているということでもなくて、金太郎飴のように何処で切ってもいいし、どこから始めてもよいのかもしれない。・・・一日何時間弾かなければならないし、しばらく弾かないでいると感覚が鈍くなるというものでもない。いつでも、どんな時でも弾ける。ただ、しかし、楽器に触れた途端になにか実態のあるものに触れ、自分が確かに生きているという自覚を覚え、頭が冴え冴えと澄んでくるのも事実である。・・・
私は、ピアニストというのは手職人だと思っている。若いときからずっとそうだった。音楽を手で触るという感覚は面白い。手で音を撫で、愛しみ、大事にしていくのだ。・・・作曲家の生涯だとか作品の構成とか歴史といったものに興味を持ったり考えたりしたことはない。あるのは作品だけ、その音だけである。・・・
手職人、・・・という言葉が私は好きである。海に網を投げる漁師も好きだ。作品との対峙、対決をし、自分の個性を主張する行き方は好きではない。作品を通して無名性にいたることこそが望みだ。』

この文章を引用した10年前の僕は何を感じていたのだろうか。10年経って、近くが見えにくくなったり、若くはないんだな、と感じることはある。けれど、年を取ることは決して悪くない。
図書館が再開して、舘野さんの本を借りてきた。「舘野泉の生きる力」(六耀社)から、

『僕はステージに出て行く直前、何も考えない。ステージに出たら、そのとき世界が変わるのだ。ポンと音をたたくだけで、即座に新しい世界に飛び込める。
一曲目が終わり、二曲目に移れば、また全然違う世界が開ける。それはあたかも俳優が、まったく異なる登場人物を演じるとき、前のキャラクターを引きずらないのに似ている。違う色、違う心象になって、その前の気持ちはもう全部消えている。次の曲に入る前にひと呼吸置くとか、そういう間合いもあまり考えない。とにかく、一音弾けば、僕はそれで次の世界に入ってしまう。次のステップにパッと飛んで行けるのだ。
 ・・・・・
そして、弾き終わればまたすべてを忘れる。「今のはよかった!今度も同じように弾こう」と過去に固執することもないし、「あの曲を弾いた!」という感動に浸ったり、そうした感動の中で弾いたりすることもない。』

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