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2020年9月 9日 (水)

体の動きから

9月6日の公演は東京芸術劇場の舞台を広く使い、後方に都響がいて、ラヴェルのピアノ協奏曲とアルヴォ・ペルトのフラトレスの2曲には、Noism Company Niigataのダンスが入った。

音楽は感情を表現することに適した形だと思う。そしてNoism Company Niigataの体の動きからは、不思議な感覚だったのだけれど、感情が見えるようだった。喜びや悲しみ、怒りになる前の、感情の原型とでも言うべき何かが現れていて、そのことに心を動かされた。視覚的なダンスと聴覚的な音楽、この二つは表現を共有しようとしている、そういう時間だったと思う。

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ラヴェルのピアノ協奏曲は第2楽章のみ。ピアノ(江口玲さん)とコール・アングレの美しいやり取りは今も頭の中で鳴っていて、幸せな気持ちになる。
ペルトのフラトレスは、学生時代にCDを買い、聞き、チェロアンサンブル版を弾いたりもした。自分の中で長く眠っていた音楽を、半年近い休止の後の演奏会で弾くことには感慨があった。(ヴァイオリンソロは矢部達哉さん)
そのCDには黒田恭一さんが1984年に書いた解説があり、このように始まっている。

『いつだってページはひっそりと捲られる。音楽のページの捲られたことにききてが気づくのは、新しいページが始まってからにきまっている。』

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