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2020年11月

2020年11月30日 (月)

11月の日経新聞から

11月をふり返ってみる。

11月26日日経夕刊から、
『米ジョンズ・ホプキンス大の集計によると、世界の新型コロナウィルスの累計感染者数は26日、6千万人を超えた。5千万人を超えてから20日足らずで1千万人増えた。足元では規制を再強化した欧州では11月中旬から減少傾向だが、米国では増加傾向が続く。』

11月30日日経朝刊から、
『米国で新型コロナウィルスの感染拡大が続いている。新規感染者は27日に始めて20万人を超え、カリフォルニア州のロサンゼルスでは不要不急の外出を終日禁止する命令が出された。ロシアやメキシコでも感染ペースが高止まりしており、世界の新規感染者数も過去最多を更新した。』

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11月17日日経朝刊から、
『米製薬の新興企業モデルナは16日、新型コロナウィルスのワクチンの最終治験で94.5%の有効性が初期データから得られたと発表した。』

11月19日日経夕刊から、
『米製薬大手ファイザーは18日、開発中の新型コロナウィルスのワクチンで95%の有効性が確認できたとして、数日以内に米食品医薬品局に緊急使用許可を申請すると発表した。・・・
 米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は17日、米メディアに対して「12月にも医療従事者などの接種が始まるだろう」との見方を示していた。もっともすべての米国民がワクチンを接種できるのは最短で2021年4月とみられている。』

11月21日日経夕刊から、
『米製薬大手ファイザーは20日、開発中の新型コロナウィルスのワクチンの緊急使用許可を米食品医薬品局に申請した。承認されれば年内にもワクチンが実用化される。日本にもすでにワクチンを発送済みで、近く厚生労働省に使用許可を申請する。』

11月24日日経朝刊から、
『米国で新型コロナウィルスのワクチン接種が早ければ12月11日にも開始される見通しだ。米政府でワクチン開発を指揮するチームのモンセフ・スラウィ首席顧問が米NBCなどのインタビューに答えた。』

11月27日日経夕刊から、
『英製薬大手のアストラゼネカは英オックスフォード大と開発する新型コロナウィルスのワクチンについて、追加の臨床試験を行う。パスカル・ソリオ最高経営責任者が26日、米ブルームバーグ通信の取材に答えた。投与量が想定よりも少ないケースの方が効果が高かったためで、有効性や望ましい投与方法を再確認する。』

11月28日日経夕刊から、
『製薬大手の英アストラゼネカが、北朝鮮系とみられるハッカー集団からサイバー攻撃を受けていたことが分かった。同社が開発を手がける新型コロナウィルスワクチンの情報を狙った可能性もあるが、成功しなかったもようだ。』

11月27日日経朝刊から、
『中国企業による新型コロナウィルスワクチンの開発に不透明感が漂っている。臨床試験中に大規模投与に踏み切り、一時は世界の開発レースの先頭にいたが、予防効果や検証が不十分とする指摘が出ている。欧米勢の実用化は秒読みの状況で、中国が力を入れる「ワクチン外交」にも影響が出かねない。』

11月28日日経朝刊から、
『新型コロナウィルス感染症ワクチンの国内の実用化に向けた動きが加速する。武田薬品工業は米モデルナのワクチンで日本での臨床試験の準備を進めている。既に治験中の米ファイザーと英アストラゼネカのデータはそれぞれ12月から集まり始める見通しだ。厚生労働省は2020年度内の接種開始をめざし、承認手続きを短縮する特例の活用も検討する。』

11月30日日経朝刊から、
『英米で新型コロナウィルスのワクチンの実用化が近づいている。28日の英フィナンシャル・タイムズによると、英政府は近く、米製薬大手ファイザーなどが開発する新型コロナウィルスワクチンを緊急承認する方針だ。早ければ12月7日にも接種が始まる。米国では11日も同ワクチンの接種が始まる見通しで、感染拡大をどこまで抑えられるかが焦点だ。』

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11月6日日経夕刊から、
『世界の脅威になる感染症の対策について国内外の専門家が話し合う「第7回日経・FT感染症会議が6日、横浜市で開幕した。・・・
 基調講演で、欧州やアフリカなどの感染症対策の第一人者、英ロンドン大学衛生・熱帯医学大学院学長のピーター・ピオット博士は「歴史上、人に感染するウィルスで根絶できたのは天然痘だけ。新型コロナの流行を抑えられた国でも根絶はできていない」と指摘。「課題は多いが、ワクチンがパンデミックを脱する唯一の希望だ」と話した。』

11月18日日経夕刊から、
『米国立アレルギー感染症研究所のファウチ所長は17日、新型コロナウィルスのワクチンについて「7~8割の人が受けなければパンデミックはなくならない」と警鐘をならした。・・・
 米製薬大手ファイザーや米バイオ製薬モデルナが開発中の新型コロナのワクチンの有効性について「94~95%というのは素晴らしい効果だ」と期待を示した。
 一方で天然痘の例をあげ、「少数の人間がワクチンを受けるのでは意味がない。どれだけ共同体に行き渡るか、人々がワクチン接種を受容するかがウィルス撲滅につながる」と強調した。
 マスクを敵視する共和党議員などの発言に対して「公衆衛生の問題に政治的な争いを持ち込むべきではない」としたうえで、「マスクは自己の自由表現ではない。周りの人のためだ」と厳しい表情で指摘した。』

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11月10日の日経朝刊に掲載された英フィナンシャルタイムズの記事から、
『デンマークで最大1700万匹のミンクの殺処分が進むなか、専門家の間では、人から動物に感染して再び人にうつる新型コロナウィルスの変異種の危険性について議論が高まっている。
 新型コロナはコウモリが自然宿主で、2019年末に中国でおそらく哺乳類のセンザンコウを介して人に感染したと考えられている。
 今回、人からミンクにうつった新型コロナが変異し、また人の体内に侵入したとみられる感染例がデンマーク北部で複数確認された。この変異種は開発中のワクチンが効きにくい恐れがある。
 ・・・・・
 かねてミンク毛皮の取引の世界的禁止を求めたデンマークのオーフス大学のクリスチャン・ゾンネ教授は今回の感染について、人間の行動が生態系を著しく変えたことで動物の病気がまん延しやすくなり、人にうつる危険も高まっていることを改めて思い知らせるものだと指摘する。「これは始まりであって、終わりは見えない」』

11月16日日経朝刊から、
『新型コロナウィルスが遺伝子変異により感染力を増したことを動物実験で確かめたと東京大学などが報告した。人で同じことが起きているとは断言できないが、ウィルスに変異が生じることでワクチンや治療薬の効果が薄れる恐れもある。今後も注視する必要がある。
 東大の河岡義裕教授らが米科学誌サイエンスにこのほど発表した。現在欧州などで広がる変異ウィルスが飛沫感染しやすいことをハムスターの飼育実験で明らかにした。』

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11月17日日経夕刊から、
『スウェーデン政府は16日、新型コロナウィルスの感染再拡大を受け、9人以上の集会を禁止すると発表した。地元メディアなどが伝えた。全土のロックダウンを避け、他の欧州諸国と比べ緩やかな規制にとどめてきたが、10月末頃から感染者数は急増。厳しい行動規制を課さない独自路線から一転、規制強化に踏み切らざるを得ない事態となっている。』

同じく11月17日日経夕刊から、
『米グーグルが人工知能を活用して新型コロナウィルスの感染者数などを予測する取り組みを広げる。米国に加えて日本でも17日に公表を始めた。各地で感染者が再び増加の兆しを見せるなか、行政や医療機関が患者の受け入れ体制の整備に活用するといった用途を見込んでいる。
 17日に「COVID-19感染予測(日本版)」の公表を始めた。米国では米ハーバード大学などの協力を得て8月に運用を始めており、日本が2カ国目となる。日本では都道府県ごとに、今後28日間の陽性者数や入院・治療患者数、死亡者数などを予測し、毎日更新する。』

11月27日日経朝刊から、
『新型コロナウィルスの世界での感染再拡大を受け、日本と外国の往来再開が停滞する。政府が検討していたビジネス関係者の滞在72時間以内の入国容認は当面、先送りする。日中両国はビジネス往来の再開で合意したが、これも当初の想定からずれ込んだ。政府は経済活動への影響を懸念する。』

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11月17日日経夕刊から、
『16日のニューヨーク株式市場でダウ工業株30種平均が2月に付けた史上最高値を塗り替えた。終値は先週末比470ドル高の2万9950ドル。新型コロナウィルスのワクチンへの期待から幅広い銘柄が買われた。経済対策への期待も根強く、株価が急落した3月の安値から6割上げた。ただ、コロナ感染は急拡大しており、景気への不安も残っている。』

11月30日日経朝刊から、
『英国は首都ロンドンを含む全イングランド地方が11月上旬からロックダウン中だ。英政府は外食産業の支援などに力を入れるが、事業者の不安はなかなか解消しない。レストランやホテルなどの業界団体UKホスピタリティのケイト・ニコルズ最高経営責任者に景況感を聞いた。
 ―足元の状況は。
「ウィルスの拡大は(飲食・宿泊など)ホスピタリティ業界に壊滅的な打撃を与えた。特にロンドン中心部に猛烈な逆風が吹く。国外からの訪問客が見込めず、在宅勤務で繁華街や官庁街から通勤客も消えた。博物館や美術館などの文化施設もほとんどが休みだ。まさに三重苦。英全体の収益は例年の4~6割の水準だが、ロンドン都心は1~2割にとどまる」
 ・・・・・
 ―収益がコロナ前に戻るのはいつでしょうか。
「2022年末か23年初めではないか。会員企業の6割が来年末まで赤字が続くとみている」』

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11月21日日経朝刊に掲載されたウィーンフィル来日に関する記事から、
『コロナで国際的な往来が制限されるなか、14日間の待機措置もない特例での来日だった。「オーストリア政府からの強い要請、両国間の文化交流の重要性にもかんがみ、厳格・適切な防疫措置の確保を条件に入国を認めた」(加藤勝信官房長官、4日の記者会見)。クルツ首相から公演を求める親書があったことなどを考慮したという。
 感染対策は徹底した。来日の際はファンと密に交流するのが常だが、今回は接触禁止。外食はおろか買い物さえ行けない。出入国時には検査で陰性を確認し、チャーター機で来日した。国内の移動は新幹線の車両を借り切るなどして、ホテルもフロアごと押さえる。追加費用だけで1億5千万円を超えるもようだ。
 ・・・・・
 ・・・伝統の響きを守るため奏者間の距離は密でソーシャルディスタンスはない。大編成を要するR・シュトラウス「英雄の生涯」などを演奏・・・』

2020年11月13日 (金)

新世界についてのメモ

数年前、オーケストラの同僚がベルリンのフィルハーモニーでベルリンフィルの演奏会を聴き、その時のプログラムがドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」で、終楽章の最後にホ長調の和音が鳴った時、涙が流れた、と教えてくれた。頻繁に演奏する曲で心動かされた、というのは、本当に素晴らしい演奏だったのだろうと思う。

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久しぶりに新世界のスコアを開いた。
終楽章の最後でホ長調に転調する前は、単調に感じられるくらい長くホ短調の和音が続く。これまで何度も演奏してきた新世界を思い返すと、この明るい和音に入ったとき、オーケストラは何となく安堵し、指揮者も「皆さんご存じですよね」という感じで、流していることが多かった気がする。でも同僚の話しを聞き、この瞬間が非常に重要ということにようやく気が付いた。リズムはなく、オーケストラ全体がただホ長調の和音を強く演奏することを求められているのだけれど、まさにそのことに最大のエネルギーを費やさなくてはならない、と思う。

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新世界は2、4、8、・・・など、2の倍数の小節数でフレーズが書いてあることが多い。けれど、最後にホ長調に転調した後、1箇所だけ3小節のフレーズがある。しかもそこは強拍と弱拍がひっくり返っているユニークな部分で、おそらく誰も気にしないで弾いているこの3小節という長さは、作曲の絶妙な塩梅なのだろうと思う。もしここを2小節や4小節で演奏すると、きっと具合が悪い。

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第3楽章の冒頭の1拍目、木管楽器とホルンが吹く八分音符は、弦楽器とトライアングルの響きに埋もれがちな気がする。スコアを見ると、1拍目の八分音符と、2拍目にティンパニが受け持つ八分音符はリンクしていることがわかる。今度弾くときは注意深く聴いてみよう。

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新世界ではチェロが和声のバスを弾き、コントラバスはその5度上に乗ることが時々ある。他にあまり例を見ないことなのだけれど、15年くらい前コントラバスのN君がそのことを指摘してくれた時、ぼんやりした僕は、ふーん、と聞いただけだった。今、彼は大切なことを言っていたことがよくわかる。
例えば第2楽章で嬰ハ短調に転調する直前、チェロが1オクターヴ下のレ♭に入るときに、コントラバスは第5音のラ♭を弾く。

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やはり第2楽章の後半、だんだん弦楽器の人数が減っていくフレーズで、オーケストラ全体を支えるバスはチェロが受け持ち、一旦いなくなったコントラバスがチェロのソ♭の5度上にレ♭で乗る。かなり変わった書き方だと思う。配置を逆にして、通常のように書くことはできたはず。この特殊な配置に意図した響きがあったのだと思う。2楽章の最後にコントラバスだけで弾く和音を作曲者は書いているのだから、楽器による声部分けに細やかな配慮をしていたことは間違いない。

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同じように興味深いのは、弦楽器の人数が減っていき、最後はヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、それぞれ1人ずつになるそのフレーズ。ヴィオラがレ♭を伸ばして支えとなり、チェロはヴァイオリンの旋律の3度下を弾く。ヴィオラとチェロを入れ替えたらどんな響きになるのだろう。今度この3本の楽器が揃うことがあったら是非試してみたいと思っている。

チェロは音域を広く使う楽器とはいえ、基本的にはヴィオラの音域の方が高い。でも様々な曲を見渡すとチェロが旋律を弾き、ヴィオラが下で支えていることが多い。
例えばブラームスの2番の交響曲の第1楽章、美しい第3主題はチェロが旋律でヴィオラが3度下を弾く。ドヴォルザークはブラームスの3番を聴いた後、7番の交響曲を書いたそうだから、おそらくブラームスの2番のこの書き方も知っていたのではないか、と思う。新世界の冒頭はチェロが旋律、ヴィオラはチェロの6度下を弾いている。ドヴォルザークはヴィオラの特性を熟知していたはずで、その上でこの書き方を選んだのだろう。

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新世界から脱線するけれど、スメタナのモルダウの静かな部分(変イ長調)にコントラバスがいなくなって、代わりにチェロの下のパートがバスのラ♭を弾く数小節がある。おそらく客席で聴いていても何も変化は感じられないだろうけれど、どうしてスメタナがそのような書き方をしたのか、いつも不思議に思う。今度スコアを見てみよう。

ドヴォルザークの作品でヴィオラとチェロが絡む印象的なフレーズはチェロ協奏曲の第2楽章にもある。
独奏チェロがドヴォルザークの作品82-1の歌曲「ひとりにさせて」にちなんだ旋律を弾く間、バランスの問題もあって聴衆には届きにくいのだけれど、実はヴィオラが5連符を含む美しいオブリガートを弾いている。

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マリオ・ブルネロに習った時、曲の背景にかなわぬ恋があることを教えてくれた。
ドヴォルザークが思いを寄せた女性はこの歌曲を気に入っていた。その旋律に対してドヴォルザークの楽器とも言いたくなるヴィオラが慎ましやかにオブリガートを弾く、それは何かを表している気がする。チェロ協奏曲の印象的な終止部が書かれたのは、その女性の悲しい知らせを受けてから、と言われている。後の人間が作曲家の気持ちを詮索するのは無粋なことと思うけれど、この心揺さぶられる曲に触れると、かなわなかったことに思いを馳せずにはいられない。

2020年11月 2日 (月)

松田さんのチェロ

シカゴ在住の楽器製作者松田鉄雄さんの、できたばかりのチェロを10日と少し弾かせて頂く機会があった。

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指板の縦方向のアーチが深く、さらに第3〜4ポジションの間隔が広くて、へなちょこの僕は驚き、鍛えられたのだけれど、毎日変化していく楽器を弾くのは楽しかった。
表板は、ストラディヴァリウスモデルの美男子ではなく、幅広く丸くたくましい。裏板の仕上げは特筆すべき。この状態でこの先100年、200年と受け継がれていってほしいと思う。
音もたくましい。できたてなのに、良い意味で煙で燻されたような音色がある。高音は強く、どこまでも行けそうだった。

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新しい楽器を弾くのは、毎日楽器に話を聞いているようだった。その日どんな音がして、どのように音程や音色を感じ、それにどのように体が反応し、どのように楽器が変化していくか。さらに自分がどんな人間で、どんな音楽をして、自分の使っている楽器がどういう楽器なのか、そんなことまで感じられるようだった。

他に2台のヴァイオリンとヴィオラ、松田さんは故郷に寄贈するためにカルテットを作った。感染の影響で、大館での演奏会にあわせた松田さんの来日はかなわず、きっと興味深かっただろうお話しは伺えなかった。でも素晴らしい人たちとの弦楽四重奏は楽しかった

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この前大館に来たのは2011年3月。3月9日にも大きな地震があり、それをここで経験した。どうしても3月11日以降の記憶が強いけれど、世界の見え方が一変するような地震の、直前の光景を当地で見ていたんだな、と思う。
そして今年、再び予想もしなかった事が起きている。けれど演奏会場も、隣接する小学校も変わらずにあり、紅葉の色づいた大館の街は美しかった。

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