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2020年11月 2日 (月)

松田さんのチェロ

シカゴ在住の楽器製作者松田鉄雄さんの、できたばかりのチェロを10日と少し弾かせて頂く機会があった。

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指板の縦方向のアーチが深く、さらに第3〜4ポジションの間隔が広くて、へなちょこの僕は驚き、鍛えられたのだけれど、毎日変化していく楽器を弾くのは楽しかった。
表板は、ストラディヴァリウスモデルの美男子ではなく、幅広く丸くたくましい。裏板の仕上げは特筆すべき。この状態でこの先100年、200年と受け継がれていってほしいと思う。
音もたくましい。できたてなのに、良い意味で煙で燻されたような音色がある。高音は強く、どこまでも行けそうだった。

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新しい楽器を弾くのは、毎日楽器に話を聞いているようだった。その日どんな音がして、どのように音程や音色を感じ、それにどのように体が反応し、どのように楽器が変化していくか。さらに自分がどんな人間で、どんな音楽をして、自分の使っている楽器がどういう楽器なのか、そんなことまで感じられるようだった。

他に2台のヴァイオリンとヴィオラ、松田さんは故郷に寄贈するためにカルテットを作った。感染の影響で、大館での演奏会にあわせた松田さんの来日はかなわず、きっと興味深かっただろうお話しは伺えなかった。でも素晴らしい人たちとの弦楽四重奏は楽しかった

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この前大館に来たのは2011年3月。3月9日にも大きな地震があり、それをここで経験した。どうしても3月11日以降の記憶が強いけれど、世界の見え方が一変するような地震の、直前の光景を当地で見ていたんだな、と思う。
そして今年、再び予想もしなかった事が起きている。けれど演奏会場も、隣接する小学校も変わらずにあり、紅葉の色づいた大館の街は美しかった。

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