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2020年12月

2020年12月31日 (木)

12月の日経新聞から

12月9日日経朝刊に掲載された、第7回日経・FT感染症会議での、ピーター・ピオット氏による基調講演から、
『人類が誕生して以降、さまざまな感染症が何百万の命を繰り返し奪ってきた。約100年前のスペイン風邪では全世界で5000万人以上が亡くなったが、当時の人口は約18億人だった。人口が75億人を突破した現在はパンデミックの時代と呼んでいい。都市化の拡大、人の移動の増加、気候変動、開発による自然破壊といった要因がそれを後押ししている。紛争や貧困も医療制度の崩壊を招き、感染症をまん延させる。・・・』

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12月28日日経朝刊から、
『従来に比べ感染力が高いとされる新型コロナウィルスの「変異種」の感染が世界で拡大している。各国の報道によると、感染が確認されたのは英国のほか日本やカナダなど少なくとも18カ国・地域に及んだ。英国からの渡航を制限する国・地域は50を超える。新型コロナの累計感染者数は27日に世界で8000万人を超えた。感染拡大に歯止めがかからないなか、各国は再び厳しい入国制限に動き始めた。』

12月27日日経朝刊から、
『政府は26日、全世界からの外国人の新規入国を28日午前0時から2021年1月末まで停止すると発表した。英国などで感染力の強い新型コロナウィルスの変異種が流行し、日本でも空港検疫や都内で検出されたことに対応する。一部のビジネス往来は継続する。』

12月26日日経朝刊から、
『新型コロナウィルスの変異種が世界各国から報告されている。・・・変異種の感染力や病原性の変化の有無については今後の研究を待つ必要がある。この1年の間に、変異種の流行はすでに何度も起きている現象だ。各国の冷静な対応と、基本的な感染対策の徹底が引き続き求められる。
 ・・・
 新型コロナに限らずウィルスの変異は頻繁に起こる現象だ。新型コロナウィルスは3万文字の遺伝情報のうち、2週間に1カ所の速さで変異が蓄積していく。』

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12月26日日経夕刊から、
『米国の1日あたりの新規感染者数は19万人を超えているが、ワシントン大学保健指標評価研究所は2021年1月には約3倍の61万人超に増加する可能性もあると予測している。

 医療体制の逼迫が深刻な欧州や米国の一部地域はロックダウンなどの制限措置の下で年末年始を迎える。』

12月28日日経夕刊から、
『全米で新型コロナウィルスのまん延が止まらない。コロナ感染者は27日、累計で1900万人を超えた。米国民の17人に1人が感染したことになる。・・・
 ・・・累計の死者数は同日、33万人を超えた。米国民(約3億3000万人)のうち、1000人に1人がコロナ感染で亡くなった計算だ。』

12月24日日経朝刊から、
『欧州で新型コロナウィルスの感染が再び拡大し、医療現場が一段と逼迫してきた。ドイツやイタリア、英国などで集中治療室に運び込まれる患者数が急増し、治療する患者の優先順位を決める「トリアージ」の可能性もささやかれつつある。ワクチンの認可は朗報だが、変異種の拡大という新たな脅威も浮上してきた。
 「人工呼吸器が足りなかった。何度かトリアージせざるを得なかった」。感染が急拡大する独東部ザクセン州のチェコ、ポーランド国境の町の医師の発言を一部の独メディアが伝えると、ドイツ国内で医療崩壊への警戒が一気に強まった。』

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12月9日日経朝刊から、
『英国で8日、新型コロナウィルスのワクチン接種が始まった。日米欧の先進国で初めて。介護施設の入居者、高齢者などリスクの高い人から優先的に接種する。ワクチンの効果が確認されればパンデミックが収束に向かう期待があるが、そのためにはワクチンを希望しない人も含めて接種率を上げられるかが課題となる。』

12月15日日経朝刊から、
『米国で14日、新型コロナウィルスのワクチン接種が始まった。医療従事者や介護施設の入居者など約2400万人を優先して実施される。』

12月23日日経朝刊から、
『欧州連合が21日に米製薬大手ファイザーとドイツのビオンテックが共同開発した新型コロナウィルス(ワクチン)を承認し、このワクチンを使える国の数は45以上になった。足元で新型コロナの変異種も確認されるが、ビオンテックのウグル・サヒン最高経営責任者は変異種への効果を否定していない。』

12月19日日経朝刊から、
『米製薬大手ファイザーが18日、同社が開発した新型コロナウィルスワクチンの製造販売承認を厚生労働省に申請した。政府は来年2月にも接種を始められるように、保管や運搬体制などの方針を1月までに策定する。開発着手から実用化までの期間が短く、副作用など安全性や有効性の見極めが問われる。』

12月13日日経朝刊から、
『先進国が多くのワクチンを先行確保するなか、資金力で劣る貧困国は国民の9割が来年接種を受けられないとの調査もある。接種が進まなければ経済回復でも後れをとりかねず、国際社会にとってワクチンをどう公平に分配するかが課題となる。』

12月21日日経朝刊から、
『新型コロナワクチンの接種が英国で始まり「集団免疫」への期待が高まっている。人口の3分の2以上が免疫を獲得すれば、パンデミックが終息するとの予測もある。ただ、承認を急いだため、ワクチンの効果や持続性などわからない部分が多く、不透明だ。』

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12月3日日経朝刊から、
『横浜市立大学は2日、新型コロナウィルスに感染した人の体内にでき、再度の感染を防ぐ作用を持つ「中和抗体」が半年後も98%の人で残っているとの調査結果を発表した。少なくとも半年間は再感染のリスクを低減でき感染拡大を防げる可能性がある。1年後も抗体が残っているかも調べる計画だ。』

12月4日日経朝刊から、
『新型コロナウィルスは大人に比べて子供の感染例が少なく重症化しにくい点が改めて注目されているが、横浜市立大などがその理由などを探る研究を始めている。』

12月18日日経夕刊から、
『神戸大の研究チームは18日までに、新型コロナウィルスの感染第2波が到来していた8~10月に兵庫県内の医療機関で採取した約1万人分の血清を解析したところ、感染後に体内で作られる「中和抗体」を持っていた人は0.15%しかいなかったと明らかにした。』

12月24日日経朝刊から、
『武田薬品工業などが開発を進める新型コロナウィルス感染症治療薬の最終段階の臨床試験が23日までに日本で始まった。回復した患者の血液から「抗体」を取り出してつくる血液製剤で、免疫力を高める効果が期待される。治験は世界規模で進めており、一部の治験結果は2021年3月末までに出る見通しだ。』

12月26日日経朝刊に掲載された塩野義製薬の手代木功社長の記事から、
『 ― 海外からのワクチン輸入をどう捉えていますか。
 「日本は欧米勢からの輸入に期待をかけているが、最低限2~3の技術基盤と自国で製造できる能力を確保する必要がある。生産能力ゼロなら先方の言い値をのむしかない。全国民分は無理だが、必要量の3分の1から4分の1を自国で確保できれば、技術提供や交換といった交渉も可能になる。日本では原料や原薬ですら海外依存が深刻だが、一定程度は内製化できる体制が必要だ。」』

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12月25日日経朝刊から、
『日本の少子化が想定を超える速さで進んでいる。結婚しない人の増加や晩婚化に新型コロナウィルスの感染拡大のため妊娠を控える傾向が重なり、2021年の年間出生数は80万人を割り込む試算が出てきた。現実になれば公的推計より10年以上も少子化が前倒しになり、人口減に拍車がかかる。現役世代が高齢者を支える社会保障制度は一段の改革を迫られる。』

12月23日日経朝刊から、
『日本看護協会は22日、新型コロナウィルス感染拡大に伴う労働環境の変化や感染リスクなどを理由に、看護師や准看護師の離職があった病院が15.4%に上ったとする調査結果を発表した。
 感染症の指定医療機関や受け入れ協力医療機関などに絞ると、21.3%に跳ね上がった。理由は「家族の理解が得られなかったケースが多かった」としている。差別や偏見があったと回答した看護師らは20.5%を占めた。』

12月27日日経朝刊から、
『東京都交通局は26日、都営地下鉄大江戸線の運転士計21人が新型コロナウィルスに感染したり、自宅待機となったりした影響で、27日から来年1月11日までをめどに運行本数を通常の7割程度に減らすと発表した。』

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12月22日日経朝刊に掲載された英エコノミスト誌の「パンデミックが発した警告と希望」という記事から、
『・・・食料や毛皮をとるために殺されている毎年800億個体の動物たちは、ウィルスやバクテリアがおよそ10年ごとに人命を危険にさらす病原体に進化する際の培養皿となっている。動物たちを殺す代償を払えと突きつけられたのが今年で、それは天文学的な額だった。
 ロックダウン下で経済が止まったことで現れた澄んだ青空は、コロナ危機が猛スピードで進んでいる間にも、もう一つの危機である気候変動がゆっくりと進んでいることの象徴だった。気候変動はコロナ危機といくつかの点で似ている。ポピュリストがどれだけ否定しても厳然たる事実であり、その影響は全世界に広がり、放置して将来に対処しようとすればはるかに莫大なコストがかかる。
 ・・・・・
 国連開発計画が3日に公表した報告書は、パンデミックによって従来の予測より2億人以上多い人々が極度の貧困に陥る可能性があると指摘した。権威主義的な指導者がコロナ禍を利用して自らの権力基盤を強化しようとすれば、人々の苦しみはさらにひどくなるだろう。
 過去のパンデミックが社会的混乱をもたらしたのも、おそらくこうした背景があった。01~18年にパンデミックが発生した133カ国について調査した国際通貨基金の報告書によると、感染症発生から約14ヶ月後に社会不安の事例が急増し、24ヶ月後にピークを迎えていた。不平等な社会ほど混乱は激化する。IMFは抗議運動が起こることで人々の生活がさらに苦しくなり、さらにデモが激しくなる悪循環に陥る恐れを指摘している。・・・・』

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12月26日日経夕刊に掲載された安田秀一さんの「五輪開催 公に議論を」という記事から、
『・・・コロナによって五輪は延期されました。たとえ、来年夏に開催できたとしても、祝祭ムードにあふれた大観衆のスタジアムは望めないでしょう。・・・
 開催するのか中止にするのか。開催するなら、どんなやり方が最適なのか。そもそもなぜ五輪を開催するのか。冷静に議論すべきタイミングが、本来なら今のはずです。
 僕は五輪を中止にすべきだ、と言いたいのではありません。開催でも中止でも、どちらにもメリット、デメリットがあるはずです。それぞれをしかるべき機関をつくって公に議論すべきだと言うことです。本来は主権者である我々国民が判断すべきなのに、具体的な情報が少なすぎます。報道で知る限り、政府や大会組織委員会が立ち止まって考えている様子はなく、開催に向けて前のめりに突き進んでいます。時期が近づけば、潜在している問題が大きく顕在化していくのは火を見るより明らかです。
 大会延期に伴う追加経費は2940億円と発表されました。僕自身スポーツ人ですから、五輪の開催を望んではいますが、冷静に考えてそんなお金があるならコロナ対策、医療機関に使うべきだ、と多くの人は考えるでしょう。
 ・・・・・
 五輪の前には、各国の代表団が日本の各地で事前キャンプをする予定ですが、前述の通り、コロナの感染状況や対策は各国で異なり、同じようにキャンプ地に決まっている日本各地の状況も様々です。また、副作用が不明なワクチンを将来有望なアスリートの多くが進んで接種するとはとても思えません。
 このようにちょっと考えただけでも、大会期間における感染対策はほんの一片であり、そもそもの猛暑対策、参加国と日本の地域ごとの制約条件のマッチングなど、変数が多すぎて今の進め方ではとても最適解は導き出せないと思います。
 本気で開催を目指すのであれば、こうした課題を網羅的にテーブルに載せ、当事者同士、世界各国と日本の地域が具体的に一つ一つ丁寧に解決していかねば、開催しても大きな禍根を残してしまうでしょう。・・・』

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今年の後半、金曜日夕刊には仏教学者、佐々木閑さんの文章が掲載され、毎週楽しみだった。12月25日の日経夕刊に掲載された最終回ではブッダの言葉がいくつも紹介されていた。その中から、

<自分を苦しめず、他者を傷つけることもない、そんな言葉だけを語れ。「正しく語られた言葉」とはそういうものだ>

<今いる者も、今いない者も、遠くにいる者も近くにいる者も、過去にいた者もこの先いるであろう者も、すべての生き物は、心の底から安楽となれ>

2020年12月30日 (水)

世界史の年表に

今月、昔からの友人にチェロの弓について様々なことを尋ねられ、彼がどんなことを感じているのか、何を求めているのか、楽しいメールのやり取りがあった。一本一本の弓に世界があると思う。

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今年、経験や様々な思い込みを捨て、素の自分と向き合って練習した。
優れた演奏家と自分と何が違うのだろう、と考えた時、自分の出した音、発した音楽をどれだけ正確に把握できているか、きっとそこだろうと思った。そして返ってきた音に対して、どのように動くのか、そのフィードバックのループがとてもスムースにつながっている。心と楽器の間にすき間がなく、頭で考えるごちゃごちゃとしたことや、意識のようなものが邪魔をしていない。

同じように、弓に触れている右手と、弦や指板に触れている左手が、弓や弦をよく感じていて、加えた力に対して返ってきた反応にどのように答えるのか、ということもきっととても大切だ。
誰かと話をするときに、こちらのことだけを一方的に喋らないように。あるいは、猫に触るときに、その猫のことを感じながら触るように。そんな当たり前のことを言うな、と怒られそうだけれど。
(おそらく、どのように弓を持って、どのように楽器を構えて、どのような姿勢で、どのような弓使いで、指使いで、・・・、そうしたことはそれほど重要ではない、と思う。)

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毎朝、この楽器とこの弓はいったいどんな音がするんだろう、と思って弾き始める。
今のチェロとは四半世紀以上の付き合いになる。でも、もしかしてこの楽器のことを僕はよくわかっていないかもしれない。何本かある弓についてもそうかもしれない。実際、何年も使ってきた弓が時々に見せる内面的な顔、そしてそれによって引き出されるチェロの可能性には、はっとさせられることがある。
30年以上前、音楽を志す大きな転機となった草津の音楽祭で、あるピアニストに、音楽家になるなんてやめておきなさい、あの素晴らしい演奏家たちでさえ毎日練習しなくてはならないんだから、と言われた。その時、この人は不思議なことを言う、と思った。演奏を職業とするようになり、楽器に触れることを辛く感じる日々はあった。でも今は、昨日とはほんの少し違う自分で新たに音を出せることを幸せに思う。

9月から演奏会が再開され、また楽器を持って電車に乗るようになった。
比較的空いていた電車に小さな子供を連れた家族が乗ってきて、その子供が僕の持つ楽器を指し、あれなに?、と親に聞く姿を見ることが度々あった。物心がつき始めた子供たちにとって、半年近い巣ごもり期間が過ぎ、ほとんど初めて接するまぶしい外界で、大きなチェロはとても不思議なものに見えただろう。でもいつも若い親たちは、静かに、とたしなめるばかりだった。僕もよく、なんで?どうして?と親に聞いていた記憶がある。
その子たちの好奇心を満たしてあげたいと思ったけれど、そうしたことが難しい状況になった。

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外出するとほぼ全ての人がマスクをしていて、顔の下半分の表情が見えない。小さな子供たちに世界はどのように見えているのだろうか。そして彼ら彼女たちはどのように表情を獲得していくのだろう。
以前よりさらに消毒が行われるようになり、様々な雑菌に触れる機会が激減したと思う。僕のような少々古くなった人間はともかく、子供たちに何が起きるのだろうか、それとも何も起きないのだろうか。10年くらい過ぎた時、2020年の影響で思いもよらないことが起きているのだろうか。

もし百年後にも世界史の年表があるなら、2020年の新型コロナウィルスの感染拡大は大きなトピックとして記されていると思う。五大陸の全てで人類が同時に同じウィルスの感染にさらされることはこれまでなかった。

ワクチンの接種が始まり、来年をどうにか過ごして再来年は、と思っていたところに、変異種の流行が報道されるようになった。
先月の新聞記事をさかのぼると、すでに感染力の高い変異種のことを様々な研究者が指摘していたことがわかる。(11月30日の日記の中ほどをご覧下さい http://ichirocello.cocolog-nifty.com/blog/2020/11/post-1c09ea.html
)彼らはとても重要なことを発信していたのだけれど、当時は大きく注目されることなく時間が過ぎ、さらに感染が広がった。こうしたことはきっとこれまでも起こっていたし、残念ながら、これからも起こるのだろうと思う。

12月の新聞記事を見返していると、アメリカでは人口あたり17人に1人の感染者、1000人に1人の死者、とあった。また、英エコノミスト誌の記事で、『01~18年にパンデミックが発生した133カ国について調査した国際通貨基金の報告書によると、感染症発生から約14ヶ月後に社会不安の事例が急増し、24ヶ月後にピークを迎えていた。』とあった。

来年のことを言うと鬼が笑うと言う。でも足りない頭で考えてみる。
シナリオA:ワクチン接種が主要な事案になり、効果があり、1年かけて普及し、再来年、世界はかなり平常に動くようになる。
シナリオB:変異種が手強く、あるいはワクチンの効果が上がらず、長引く。
シナリオC:さらに別の感染症、あるいは自然災害が発生し、混迷する。

ずいぶん前、致死率の高いエボラ出血熱に関する本を読んだ。不思議なことに、水がひいていくように感染がおさまっていく、と書いてあったと記憶する。今回もそういう幸運が起きるとよいのだけれど。

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2020年12月 4日 (金)

ブラームスの4番、くるみ割り人形

11月28日、都響演奏会のメインはブラームスの交響曲第4番ホ短調。
10月に3番を弾き、この2曲の間に作曲家が大きく変わったことを感じた。気持ちの流れで弾くのではなく、大きな何かを構築するように書かれている、と思った。3番までのブラームスの交響曲は、素晴らしい旋律線をどのように演奏するか、いかに感情的に情熱的に弾くか、ということが重要に見えるけれど、4番にはそうした要素が少ない。作曲者の意図を汲み、一つ一つの音を要求された通りに出し、可能な限りの正確さと強さで組み上げていくことが必要と感じた。
そうした作業が実を結んだ時、そびえ立つような伽藍が現れているのかもしれない。

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4番の交響曲の冒頭はヴァイオリンの旋律を木管楽器が遅れて追いかける。この書き方から1番のチェロソナタを思い出した。チェロの旋律をピアノがやはり裏拍で追うように伴奏する。作品98の交響曲のアイデアの1つはすでに作品38のソナタにあったのかもしれない。そして、どちらもホ短調だ。

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3月以降しばらく演奏会がなくなり、様々なことを考えた。社会的な活動が止まって、きっと多くの人がこれまで当たり前と思ってきたことを見直したり、変えたりしたのではないかと思う。僕の日常にも、さほど必要ではないと気付いたり、変えたりした事柄があった。同時に音楽や他のいくつかのことはやはり大切、と感じた。
感染が広がる中でもオーケストラの演奏会が開かれていることは、奇跡のように思える。演奏会がある以上、もちろん足をお運び頂きたい。でも是非来て下さい、ではなく、どうぞお気を付けてご無理のないように、と申し訳ないような気持ちを抱いてしまう。

都響の演奏会にも来て下さるある医師が、今年はマスクの着用、手洗いの励行などでインフルエンザの流行は抑えられているけれど、その状況下でも広がっているコロナウィルスの感染力の強さには気をつけた方が、と話されたことが印象的だった。

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オーケストラの仕事をするようになってから、欠くことなく年末には第九の演奏会があった。予想もしなかった状況になり、都響の中で今年の第九をどうするか、ということは長い期間、真剣に話し合われた。そんな中「くるみ割り人形」はどうか、という案が出たとき、素晴らしいと思った。(都響は毎年12月24、25、26日に第九を演奏していましたが、今年は25、26日に「くるみ割り人形」を演奏します。https://www.tmso.or.jp/j/news/10975/
報道を注視しない日は一日もない状況だけれど、今年の公演が無事に全うでき、来年は少しでも落ち着いて行動できるようになることを願うばかりです。

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