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2021年8月21日 (土)

重さ

オリンピックの閉会式、フランスからの映像で空軍のアクロバットチームが3色のスモークでパリ上空を彩った後、さらに国際宇宙ステーションに切り変わる演出は美しかった。宇宙ステーションの中でサクソフォンを吹いたフランス人宇宙飛行士トマ・ペスケさんは上手だった。宇宙の映像と音楽が絡んだ時、映画「2001年宇宙の旅」を思い出した。
宇宙ステーションに何かを運ぶ時、それなりのコストがかかるはずと思う。何キロかあるサクソフォンをあの映像のために運ぶなんて、なかなかお洒落なお金の使い方だと思う。

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宇宙ステーションでのサックスを見てしばらくして、あそこで弦楽器を弾くのはかなり難しいだろうな、と思った。多くの打楽器もとても難しいだろうと思う。
以前、為末大さんが、陸上競技とは結局重力をどう使うかということ、という旨の発言をしていた。その時、いったい何を言っているのだろう、と思ったのだけれど、今はわかるような気がする。
楽器を演奏することも結局、重さをどのように使えるか、ということだと思う。チェロの場合、80グラム前後の弓の重さをどのようにしたら生かせるか、両方の腕、手の甲や指の重さをどのようにしたら生かせるか。

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昨年の巣ごもり期間中のものと思うけれど、ヴァイオリンのヴェンゲーロフがお嬢さんらしい、とても若いチェリストと一緒に弾いている動画がある。https://youtu.be/hok_5R63PLs
これを見て、僕はずいぶん遠回りしたな、と思った。何か良い方法があるのでは、と迷ってうろうろし、あちらの繁みに顔を突っ込み、こちらの繁みに突っ込み、・・・。まったく。
チェロを弾くことは本来、とてもシンプルなことなのだと思う。彼女は心と体のどこにも強張ったものがないように見える。しかも、弓は見事にまっすぐ、左手には柔らかく自然なヴィブラートがかかり、曲が終わる時の自然な感じもいい。

これまで積み重ねてきた経験はどこかに置き、毎日初めてのような気持ちで生きたいと思う。

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