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2021年10月16日 (土)

水によくなじむ

1年のうち、たぶん300日くらい同じデニムをはき、毎年新調してきた。昨年は買いに行けず、すり切れ、穴が空き、お尻のあたりがかなり薄くなって、さすがにまずい感じになっていたのを、この秋ようやく新しくした。
他にも夏の感染拡大で遠慮していた、たとえば眼鏡の相談(楽譜の読み間違いを眼鏡の力で減らせないか、と思ったのだけれど・・・)や、気になっていたチェロの弓を弾かせてもらうことなど、様々済ませた。あとは20年以上着て、かなりくたびれている燕尾服と、すり減ってきた黒靴だろうか。
少し前の日経新聞にジャック・アタリさんが、思いついたことは、手遅れになる前に躊躇せずした方が良い、という内容の文章を寄せていて、その通りですね、と思う。

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ところで、今年の6月に夏の急激な感染拡大を、8月には今の急激な収束を、どのくらいの人が予見できただろうか。僕はまったくできなかった。

8月12日の日経新聞に、
『英国の先行例をみると、デルタ型が急激に広がる期間は約1カ月半。日本も少なくとも9月には新規感染者数が減少に転じるだろう』
という記事が載り(SMBC日興証券の圷正嗣さん)、なるほどこのように世の中を見るのか、と感心した。2カ月経ち、実際そう推移している。
残念ながら僕にそのような慧眼はなく、下手な予測はしながら、目の前で起きていることを冷静にとらえ、的確に対応していくことが、せめてできることだろうかと思う。

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しばらく止めていたプールにも、また行けるようになって嬉しい。
水に入り、まず壁をけって泳ぎ始めるのだけれど、その時、体が水によくなじんですっと進む時と、かたくごつごつして重く、うまく進まない時がある。その違いがいつもおもしろい。さらに、体をほぐしてもう一度泳ぐと、また違う体になっていることも、やはりおもしろい。
普段からよく水に馴染むような体や心の使い方をしていることが大切、と思うようになった。全身で水を感じ、スムースに体が動くように。
演奏に置き換えると、例えばどんな内容の、どのくらいの量の練習をしているかもきっと重要だろうけれど、頑張る前に、どのように外の世界を感じ、音を聴き、体のどこにも滞ったところがなく、感じたままに動ける、まずそうしたことを、と思う。

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同じ組み合わせでも楽器によってまったく感じが変わるから、弦のことを書くのはさして意味がないかもしれないのだけれど。
ヤーガーのA線。弦に様々な重さをかけた時、その重さの違いに対して、さほど忠実に変化しないような気がすることがある。気持ちが音にうまく反映されない、というのか。
弦のストックにワーシャルのプロトタイプ、というA線があり、久しぶりに使ってみた。(ワーシャルのHP https://warchal.com/cello-prototype.html) 張り替えても隣のD線の音程はほぼ変わらず、張力は同じくらいと思う。左手で押さえる感じは、もう少し張りがあり、音色は昔あったプリム(今もあるのだろうか)やスピロコアに少しだけ似ている。全体の音がぱりっと前に出るようになり、下の2本の響きも増えて、良い感じだ。

もう一つ、ストックの中にスピロコアのシルバーがあって、これまでも時々使ってきたのだけれど、通常のものとの違いがよくわかっていなかった。改めて使っているのだけれど、果たしてこれはどう違うのだろう。それともあまり違わないのだろうか。

エンドピンの長さは、人それぞれで、その流儀を見るのは興味深い。僕の経験では、緊張している時や調子の良くない時、椅子を高くエンドピンは長くしたくなる。今は以前よりエンドピンを長く感じるようになった。
見附さんにお願いしたことがあったのだけれど、シンワサウンドサプライにも短いエンドピンを作って頂いた。(https://www.sinwajapan.jp/endpin.html) 40センチと少し。以前のものより1割くらい短いだけで、音量が増え、反応が良く、音が前にでる。ちょっとした長さの違いが大きく音に反映されるのはなぜだろう、何が大きな要因なのだろう。

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流行のようになっている高価な松脂はいくつも試した気がする。混ぜて使ったので銘柄が特定できないのだけれど、塗ってしばらくすると、弓毛が半透明になり固まってしまうものがあり、その感じはあまり好きになれなかった。
松脂をアルコールで溶いていくと、最後に溶ききれないゴム状のものが残る。(それがもしかして秘伝のレシピだったり、簡単に言えば、ひっかかりをよくするための添加物なのかもしれない。)では原料としての松脂で作ったら、というのが重野さんの松脂。久しぶりに使っている。

弓の毛替えもして頂き、さぁ気持ちを入れかえて。

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