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2022年9月

2022年9月20日 (火)

7月の日経新聞から

7月をふり返ってみる。

7月12日日経夕刊から、
『世界で新型コロナウィルスの感染者が増えている。「BA.5」などオミクロン型の派生型が流行しているためで、欧州などの感染増が顕著だ。だが重症化率は比較的低く抑えられており、現時点では規制強化などの動きはない。』

7月1日日経朝刊から、
『新型コロナウィルスのオミクロン型では、感染後に後遺症を訴える人の割合がデルタ型の半分になることが海外の研究で明らかになった。比率は低くても感染者の総数が増えれば後遺症を訴える人は増える。』

7月23日日経朝刊から、
『新型コロナウィルスに繰り返し感染すると、死亡や入院などの健康リスクが高まるとの分析を米セントルイス・ワシントン大学の研究チームがまとめた。2回以上感染した人は直近の感染から6カ月以内に死亡するリスクが2倍超、入院するリスクは約3倍に上がった。』

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7月5日日経朝刊から、
『ロシアによる侵攻が長期化するなか、ウクライナの主要産業である農業が深刻な打撃を受けている。米衛星情報会社のマクサー・テクノロジーズは、ウクライナ国内の春の作付面積が2021年比で3割減ったとの分析を公表した。種や人手の不足も相まって、今秋の穀物の収穫量は同半減すると予測した。』

7月3日日経朝刊から、
『ミサイル攻撃を受けたときに避難できる場所として、地下鉄の駅舎などの大規模な地下施設を指定する自治体が相次いでいる。2022年に入って神戸市や大阪市、東京都などが指定し、6月1日時点で全国に436カ所と21年12月末の3.5倍に増えた。』

7月17日日経朝刊から、
『世界の航空貨物が停滞し始めた。5月まで3カ月連続で輸送量が前年同月の実績を下回った。ウクライナ危機でロシア上空の飛行が難しくなり世界の輸送量の2割を占めるアジアと欧州を結ぶ航路で減便が続く。』

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7月19日日経朝刊から、
『石油や天然ガスなどロシア産の資源離れを米欧が進める中、原子力発電所で脱ロシアが難航している。米欧は燃料となるウラン製品の2割ほどをロシアに頼る。ロシア企業は濃縮ウランにする工程で4割のシェアを持つ首位で、ウクライナ侵攻への制裁を巡る交渉カードにもなりかねない。』

7月22日日経朝刊から、
『東京電力ホールディングスや中部電力の家庭向け電気料金が9月まで13カ月連続で上がることが21日、分かった。この間の値上げ幅は3~4割に達する。』

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7月7日日経朝刊から、
『「100年に1度」レベルの洪水が起きると浸水が15センチを超える恐れがある地域に、世界で約18億人が暮らしているとの分析を世界銀行などのチームが6日までにまとめた。このうち約16億人は低中所得国に集中しており「悲惨な影響を及ぼす」と警告した。日本でも約3600万人がこうした洪水のリスクにさらされているという。』

7月20日日経朝刊から、
『世界が記録的な熱波に襲われている。英国は19日、観測史上最高の40.2度をロンドン郊外のヒースロー空港で記録した。フランスも連日40度を超える暑さとなり、スペインでは山火事が拡大する。日本も6月から異例の高温が続き、電力需給が逼迫した。』

7月21日日経朝刊から、
『記録的な熱波に襲われた英国で19日、米グーグルと米オラクルのクラウドコンピューティングサービスに障害が発生した。想定を上回る気温上昇により空調機器が故障し、サーバーなどが一時的に利用できなくなった。』

7月31日日経朝刊から、
『猛暑や水不足で火力・原子力発電所が本来の能力を発揮できない事態が世界で生じている。冷却水の温度上昇などで出力が下がるためだ。渇水で停止する原発もある。国内では今夏の電力供給が綱渡りになっている。』

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7月24日日経朝刊から、
『日本近海の水産資源に異変が起きている。北海道函館市では6月に漁が解禁された名物のイカが今年も不漁になり、7月解禁の天然真昆布も海中で昆布が育っておらず、収穫はほとんど見込めない状態だ。近年は他地域でも、サバやサケ、サンマといったなじみのある魚で漁獲量が減少している。』

7月7日日経朝刊から、
『新型コロナウィルス禍による健康志向の高まりで需要が拡大したハチミツ。近年は価格も上昇傾向だ。天候不順などでハチの活動量が低下しているとされ、世界的に採蜜量が減少している。ハチは作物の受粉にも欠かせない存在だけに、ハチミツだけでなくその影響は農業にも広がっている。』

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7月4日日経夕刊から、
『大気から二酸化炭素を吸収する「ダイレクト・エア・キャプチャー」が米国で実用化に向けて動き出す。バイデン政権は国内4カ所に拠点を設置する計画で、5年間で補助金35億ドルを投じる方針だ。』

7月27日日経夕刊から、
『江戸時代の1771年4月、沖縄・先島諸島を襲った津波をめぐり、海から陸に運ばれたとされる高さ数メートルの巨石「津波石」が2つ、同諸島内の石垣島で新たに見つかった。河口から500メートル前後離れたマングローブ林で、確認された津波石では最も海から離れた場所で発見。従来説より強力な津波だった可能性があるという。』

7月12日日経夕刊から、
『・・・11年に70億人を突破した世界人口は7月1日時点で79億人超に達したもようだ。最新の推計では、世界人口は30年に85億人、50年に97億人、80年代には104億人でピークに達すると予想する。』

7月13日日経朝刊から、
『世界の人口地図は今後100年で大きく変化する。国連が11日発表した世界人口推計では、経済発展を遂げてきた中国など東・東南アジア地域の人口が2030年代半ばに減少に転じると予測した。今後台頭するのはアフリカで、50年には世界人口の3割に達する。』

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7月8日日経夕刊から、
『東京医科歯科大学は8日までに、大腸に炎症ができる難病の「潰瘍性大腸炎」の治療を目指す臨床研究で、患者に自身の腸の組織から培養した「ミニ臓器」を初めて移植したと発表した。患者は無事に退院しており、今後約1年かけて治療の安全性や効果を調べる。』

7月22日日経朝刊から、
『新たな抗がん剤として「たんぱく質分解薬」への投資が盛んだ。2019~21年の協同開発などの契約は計170億ドル以上と16~18年の6倍以上になる。米ファイザーは米新興と協同開発しており、年内に乳がんで最終段階の臨床試験をする。』

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7月14日日経朝刊から、
『JR東日本が鉄道の保守・管理のデジタル化を加速する。電車に付けた計測装置やカメラが約6500キロメートルの線路のビッグデータを収集。ボルトの不具合やレールのゆがみなどを捉え、作業員による目視作業を軽減する。』

7月31日日経朝刊から、
『日本ペイントホールディングスは、微細なプラスチックなどを出しにくい船底塗料を開発し、2028年にも船への実装試験を始める。航行中に海に塗料が溶け出さず、8%以上の燃費改善も狙えるという。』

7月16日日経朝刊から、
『財務省は15日、2022年度に製造する硬貨の枚数が6億2907万枚になる見込みだと発表した。キャッシュレス決済の進展や銀行での硬貨取り扱い減少などを受けて、年度当初の計画から2割強引き下げた。・・・
 これまでは11年度の約8億枚が最小だった。03年度の約13億9000万枚が最も多かった。』

7月21日日経夕刊から、
『米ニューヨーク市の中心部マンハッタンで、賃貸物件の家賃が高騰している。米国の民間調査によると、6月の平均家賃は初めて5000ドル(約70万円)台に乗せた。1年で40%上がった物件もある。』

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7月5日日経朝刊から、
『海外では投票率が80~90%に達する国もある。なかでも注目されるのはスウェーデンの主権者教育だ。
 国政選挙で80%以上の投票率が続く国のひとつで、2018年の国政選挙で18~29歳の投票率も85.0%だった。』

7月21日日経朝刊に掲載された、イアン・ブレマー氏の記事から、
『・・・共和党有権者の7割がバイデン氏を正当に選ばれた大統領だと認めておらず、多くはトランプ氏を大統領に復帰させても構わないと答えている。他国から見れば米国の民主主義は手が付けられない状態だ。
 24年の大統領選で、深刻な暴動が起きるとの懸念は当然だろう。誰が勝っても、多くの国民が選挙の正当性を認めないからだ。予備選でトランプ氏とバイデン氏以外の新顔が選ばれたとしても、正当性をめぐる問題は消えないだろう。』

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7月2日日経朝刊に掲載された、片山杜秀さんの記事から、
『交響楽団という大所帯はチケット収入だけでまかなえるものでは、今も昔も、どこの国でもない。日本の場合は、放送局、映画会社、新聞社、地方自治体などが経営母体、あるいは大口のスポンサーとなって、さらに様々な寄付に支えられ、ここまで来た。

 そうしてやがて1世紀。残念ながらオーケストラをはじめとするクラシック音楽業界の将来は順風満帆ではあるまい。コロナ禍のせいばかりではない。大正期から育ってきた、公共がクラシック音楽を支えてこそ社会は豊かになるという価値観が、文化芸術の多様に枝分かれする中、力を失ってきている。確かに熱心なファンはとても多い。が、クラシック音楽を支える社会の裾野は縮小傾向にあると言わざるを得まい。
 大げさに言えば、大正期へと逆行していくか否かの正念場が、今であろう。クラシック音楽のどこに値打ちがあるのか。それを解さぬ社会は文化的と言えるのか。そのあたりのコンセンサスから作り直していかねば危うい。
 改めて公共の理解を求め、援助を引き出し、富裕層にもアピールして、新たなる大パトロンを獲得できるか否か。なりふり構わず、味方を増やす努力に邁進しなければならない。それだけの心意気が音楽家達にあれば、きっと道は開ける。』

2022年9月 6日 (火)

世界はどのように 1

ずいぶん前、ある方のオーディオを聴かせて頂くことがあり、この人はこういう音がいいんだ・・・、と驚いたことがある。かなり高価なシステムだった。

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今回アンプを新しくするにあたって、雑誌やインターネットなど様々なレヴュー記事を読んだ。
その機器はどのような技術的特徴があり、どんな音がするか、は書いてある。でもその記事を書いた人は、どのように音楽を捉えていて、どのように音が聞こえているか、は問われていない。

少なくとも今のところ、誰も自分以外の人間になれない。ほとんど問題にされないし、多くの人は気にしていないように見えるけれど、おそらく人によって世界の感じ方は違う。場合によっては、驚くほど違うかもしれない。

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「学びとは何か」という今井むつみさんの著作に、生まれたばかりの子供は、全ての言葉で使われる音素を聞き取ることができるけれど、周囲で話されている言葉で使われない音素、日本語の場合、英語のrとlに相当する音は聞き分ける必要がなく、1歳の誕生日を迎える頃には識別できなくなる、ということが書いてある。(同書43ページ)

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また、ある優れた弦楽器奏者から、彼が中国語のネイティブスピーカーに中国語の異なる発音を実際に声に出してもらった時、どうしてもその違いが聞き分けられなかった、と聞いたことがある。

日本語、英語、中国語、それぞれの言葉の話者には、世界の音は違って聞こえていないだろうか?例えば、ドイツ語、イタリア語、日本語の話者がそれぞれ、ワーグナーのオペラ、プッチーニのオペラ、日本の秋の虫の声を聞く時、おそらく異なる世界を感じるだろうと想像する。

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物心つくまでに、ほとんど音楽に触れてこなかった人、テレビやスマートフォンでばかり音楽を聞いてきた人、実際に楽器の音に触れてきた人では、きっと音楽の聞こえ方は違う。

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そして自分の経験から言うと、歳を取ってからでも、訓練によって聞こえ方は変わる。どのくらい微妙な音程の違いを感じられるか、多くの声部が同時に鳴っている時に、どれだけ別々に追えるのか、その響きをどのように捉えるのか、・・・、そうした能力は変わる。
音楽は驚くほど、違って聞こえるようになる。

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ピアノでもオーケストラでも、複数の音が同時に鳴る音楽を耳にした時、ある人にはただ一つの旋律線として聞こえ、ある人はいくつかの声部に分かれていることを自然に聞き分け、ある人は音名や和声の進行まで認識し、楽器の経験者だったら、自分の関わった楽器の音が浮き立って聞こえてくるかもしれない。

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高齢の指揮者が、あるパートに、首をかしげたくなるほど強い音で演奏することを求めたことがあった。それは比較的高い音域だった。彼にその音域は聞こえにくかったのかもしれない。(つづく)

2022年9月 1日 (木)

新しいアンプ

アンプを新しくした。

様々なアンプとスピーカーの組み合わせを聴き、僕の予算ではこれ、と思うものを選び、少し前に届いた。家のLS-3/5(古典的な小型スピーカー)がすっきりと抜け良く、鳴っている。
これまで使っていたのは、ユニークでシンプルなアンプ。一度Kさんがバージョンアップをして下さったけれど、25年以上、電源を入れたまま、ほとんど何も問題がなかった。
でも使っているうちに、もう少し音が広がっても良いのでは、と思うようになった。

僕は音源に入っている音をできるだけもらさず、克明に聴きたい。奏者がどのように弾いているのか、大編成のオーケストラだったら、どのようなバランスで、どのようにそれぞれの楽器から音が出ているのか、聴きたい。こういう聴き方をするのは職業上の理由もあると思う。そして、実際に舞台の上で鳴っている音は、心地よい、というよりは凄まじい、と言った方が近い。
けれどBGMのように音楽を聞きたい人には、そうした音は、聞き疲れするものかもしれない。

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オーケストラの同僚を含め、演奏家で再生装置に興味を持つ人は少ないように思う。イヤホンをつないだスマートフォンで、音楽のストリーミングサービスにアクセスすれば、曲を知ることはできる。でも少し手をかけたシステムのスピーカーから聞こえる音楽は、情報量が圧倒的に多く、楽しい。

店頭に並ぶアンプを様々聴き比べると、大きく違った。雑誌で高く評価されているものでも、ずっと同じ調子に聞こえたり、実際の楽器の音に何か余計なものが盛られて、厚ぼったくなっている、と感じたりすることがあった。

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試聴に使ったのは、何度も聴いてきたマーラーの5番。冒頭のトランペット一本の音色や響きがどのように聞こえるか、打楽器の音の立ち上がりはどのくらい鋭いのか、最初の大音量のテュッティではどのくらい音が広がるのか、コントラバスの音がどのくらいチェロと分離して、鮮明に力を持って聞こえるか、金管の中でホルンがどのくらい聞こえるか。弦楽器の甘く、退廃的な弱音の音色がどのくらい感じられるか、銅鑼や大太鼓の消えていく音色がどのくらい聞こえるか・・・。
一方の極端から、もう一方の極端へ。振幅がとても大きく、おそらく機器への負担は大きく、能力がわかりやすい。

アンプによって驚くほど違ったのはピアノの音。ベートーヴェンの後期のソナタを聴いたのだけれど、次の音が出ているのに、前の音の響きが残っていて混ざり、どの音も同じように聞こえてしまうアンプと、ピアニストがどのように鍵盤に触れているのか、そして打鍵の瞬間の音の立ち上がり方だけでなく、その後の弦の振動がどのくらい聞こえるのか、そうしたことがよく感じられるものとがあった。

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僕が選んだのはNmodeのX-PM5。オーディオ雑誌のレヴュー記事を見たら、実に素っ気なく扱われていて、不思議な感じがした。いくつかの店で様々なアンプ、様々なスピーカーの組み合わせで聴かせてもらい(ありがとうございました)、印象はいつも変わらなかった。
上を見るとキリのない世界だけれど、この値段帯では素晴らしいのでは、と思う。録音による音色や音場の広がりの差、アナログ録音の場合はノイズがどのくらい入っているのか、もよくわかるし、打楽器の音の立ち上がりの速さは痛快なほど。

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このアンプが届いた頃、都響はクラウス・マケラの指揮でショスタコーヴィチやマーラーの最中だった。これまでになく、オーケストラがよく鳴っていた時で、リハーサルを終え、帰宅して新しい機器から出る音を聴くと、音数がずっと少なく感じられ、生のオーケストラから出ている音のすごさを実感した。

X-PM5の本体は小ぶり。地震の多いこの国で、しかも僕の小さな部屋に、重く大きなオーディオ機器は置きたくない。そして暑い季節には、筐体が熱を持たないことも良いと思う。(つづく)

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