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2023年4月14日 (金)

5月6日の演奏会

今年も洗足にあるプリモ芸術工房で、ピアノの長尾洋史さんとの演奏会をさせて頂くことになりました。5月6日15時開演、プログラムは

L.フォス:カプリッチョ
ベートーヴェン:チェロ・ソナタ第2番
メシアン:イエスの永遠性への賛歌
ブラームス:チェロ・ソナタ第2番

です。


フォスのカプリッチョは30年以上前、今はパリに住んでいる酒井淳君が弾くのを聴き、魅せられた曲です。
名前の通り、気まぐれに走り回る一方、教科書通りの和声進行があったり、ミニマルミュージックのようだったり、と予想を裏切る仕掛けがそこここにあります。
この作品の持つジャズやポップスに通じるグルーヴを出せたら、と思っています。

 

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今年の初め、若い二組のチェリスト、ピアニストが弾くベートーヴェンのソナタを聴く機会がありました。
恥ずかしながら最近ようやく、ピアノという楽器の素晴らしさに気付きつつある僕は、彼ら彼女たちの優れた演奏を聴きながら、ピアノと一緒にソナタを弾くとき、チェロはどのように音を出したら良いのだろう、どう発音するのがピアノにフィットするのだろう、と思いました。
アンナー・ビルスマは、ベートーヴェンの当時、ピアノよりチェロの音が大きいことが問題だった、と言っていました。今は力関係が逆転していますが、現在のピアノとチェロでいったいどのような響きをつくり出すことができるのか、様々なことを試みたいと思っています。

 

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メシアンは第2次大戦中、ドイツ軍に捉えられます。その収容所内で作曲され、初演されたのが「世の終わりのための四重奏曲」、「イエスの永遠性の賛歌」はその中の第5曲です。
極端に遅いテンポの指定があり(16分音符=44)、独特な緊張感があります。高音域のチェロで始まり、その旋律がピアノのホ長調の響きに包まれる瞬間が美しい。

 

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ブラームスの2番のソナタは学生時代、よく弾きました。当時二重奏を組んでいた健太郎と、さぁ今日は3回通してみよう、そんな練習をして、くったり疲れていたことを懐かしく思い出します。熱意だけで生きていた、そんな時代でした。
習っていた倉田澄子先生のところで、先生の師であるポール・トルトゥリエの弓使い、指使いを写した当時の楽譜は今もそのままあります。

 

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オーケストラの仕事をするようになり、ブラームスの4曲の交響曲、2曲のピアノ協奏曲、ヴァイオリン協奏曲、二重協奏曲、ハイドンヴァリエーション、悲劇的序曲、大学祝典序曲、など様々な曲を弾いた後、久しぶりにチェロソナタの楽譜に戻ると、以前弾いた時とはかなり違う曲のように見えました。トルトゥリエの弓・指使いはそのままとっておいて、新しい楽譜で始めることにしました。
つい先日、ブラームスのドイツレクイエムを弾いたのは、素晴らしい経験でした。器楽曲や交響曲には見られないブラームスの素晴らしい世界がある。今年は7月にブラームス後期の名曲、クラリネット三重奏も弾きます。
知っていたはずの作品が、まるで別の曲のように、はるかに大きく素晴らしい姿で現れ、驚くことがあります。この後期のソナタをまるで初めて弾くように、その素晴らしさを少しでも実現できるように演奏したい、と思っています。

 

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連休の後半、お忙しいと思いますが、プリモ芸術工房までお越し頂けたらとても嬉しく思います。
詳細はこちらをご覧下さい。https://primoart.jp/event/event-124572/

 

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