7月の日経新聞から
2023年7月を振りかえってみる。
7月31日日経夕刊から、
『世界気象機関(WMO)と欧州連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」は2023年7月の世界の平均気温が観測史上で最高となる見通しだと発表した。観測記録のない太古の気候を探る研究者は「地球の平均気温はおよそ12万年ぶりの最高気温を記録した」と温暖化の進行に警鐘を鳴らす。』
7月6日日経朝刊に掲載された、英フィナンシャルタイムズ紙の記事から、
『世界の原生熱帯雨林の消失面積が2022年に前年比10%増加したことが新たな調査で明らかになった。全世界で木々が失われた面積の合計はスイスの国土に相当する。』
7月12日日経朝刊から、
『世界を襲う熱波が広がり、干ばつや水害などの異常気象が増えている。世界の平均気温は過去最高を更新し、南米ペルー沖の海水温が上がる「エルニーニョ現象」で今夏は気温がさらに高まる可能性がある。専門家はエルニーニョによる経済損失は2029年までに最大3兆ドル(約420兆円)にのぼると見積もる。』
『国際学会「国際地質科学連合(IUGS)」の作業部会は11日、人類活動が地球環境に大きな影響を及ぼす時代「人新生」を20世紀半ばからの新たな地質年代とし、代表地にカナダ東部の湖を選んだと発表した。』
7月1日日経朝刊から、
『東京大と山梨県富士山科学研究所のチームは30日、これまで活動の空白期と考えられていた5千~4千年前に富士山が少なくとも6回噴火していたことを確かめたと発表した。山梨県側の麓にある山中湖の湖底で、未知の噴火による火山灰を確認した。』
7月7日日経朝刊から、
『東京大学は米領グアム沖の深海で熱水が噴出する場所にある岩石から新しい細菌を発見した。細胞内に磁石を持ち、コンパスのように地磁気を感じて回転する「走磁性細菌」の一種だった。』
7月5日日経夕刊に掲載された中川恵一さんの「がん社会を診る」という記事から、
『1万年以上前から日本列島に住んでいた縄文人と、約2~3千年前に朝鮮半島から渡来した弥生人との混血が日本人のルーツといわれます。
47都道府県で縄文人由来と渡来人由来のゲノム比率を調査した研究があります。縄文人由来のゲノム成分比率が最も高かったのは沖縄県で、鹿児島、青森、岩手が続きました。渡来人由来のゲノム成分が最も高かったのは滋賀県で、京都や奈良などが続きました。』
7月29日日経朝刊から、
『2022年の日本人の平均寿命は女性が87.09歳、男性が81.05歳となり、前年比で女性は0.49歳、男性は0.42歳それぞれ縮んだことが28日、厚生労働省公表の簡易生命表で分かった。前年を下回るのは男女とも2年連続。同省は「新型コロナウィルス流行の影響が大きい」としている。』
7月11日日経朝刊から、
『京都大学などは新型コロナウィルスの流行が未就学児にもたらした影響を解析した。5歳の時にコロナ禍を経験した幼児では、発達が平均で約4カ月遅れていた。3歳の時に経験した幼児では明確な差はなかった。
・・・5~6歳の幼児で発達が遅れた要因として、研究チームは他者との交流の減少を指摘している。』
7月7日日経朝刊から、
『米フロリダ大学は宇宙飛行が脳に及ぼす影響に関する調査結果をまとめた。30人の宇宙飛行士を対象に調べ、2週間の短期飛行では変化しなかった「脳室」と呼ぶ部位の空間容積が6カ月の長期滞在になると拡大することなどが分かった。脳室の拡大で脳内の圧力が高まると、意識障害や視力障害などにつながる懸念がある。』
7月4日日経朝刊に掲載された「春秋」から、
『脳は使わなくなれば、しだいに機能が低下する。・・・狩猟採集時代が終わって農耕社会に移った後、ヒトの平均的な脳のサイズは小さくなった。約3000年前のことだ。2021年に米研究チームが発表した論文によると集団生活の影響らしい。』
7月27日日経夕刊から、
『「文字の形が覚えられず、中学生になっても書くのが苦手だった」。こう話すのは大学3年生の西川幹之佑さん(20)。読み書きに困難を感じる「ディスクレシア」だというが、一つの書体との出会いで見える世界が変わった。「UDデジタル教科書体」だ。・・・
西川さんは明朝体など横線の細いフォントを識別しづらかった。しかし中学生の頃、UDデジタル教科書体だけは難なく読めることに気付く。「読めない自分がいけないと責める必要がないと思えた」と当時を振りかえる。』
7月22日日経朝刊から、
『アイルランドで4千人を超す50歳以上の人たちの協力を得て10年近くかけて行われた研究では、運動していた人たちは運動をしていなかった人に比べて気分が沈み込みがちになる割合が明らかに少なかったという。うつ病の発症率でみると、4割以上少なくなっていた。』
7月14日日経朝刊に掲載された「AIは異星人の知性」というマルクス・ガブリエルさんの記事から、
『「我々の欲望は今や、監視資本主義のシステムにつくり出されているといえる。監視者はスマートフォンという独房にいる人々に情報を送り、特定の行動をするよう促してくる。スマホの利用者は監視者の意図が分からないまま無意識に動かされている。この新しいパノプティコンは非常に強力だ」
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「ニヒリズムは『人間が存在することに意味はない』という。だが、私たちが生まれてきたことに意味があろうがなかろうが、神が存在しようがしまいが、我々は道徳的真実を見つけ出し、それを実践しなければならない。我々には未来を守る義務がある。それが『人生の意味とは何か』という問いへの私の答えだ。」』
7月22日日経朝刊に掲載された若松英輔さんの記事から、
『・・・手だけで書かれた文章は、あるとき人を驚かすことがあっても、その人を生の深みに導くことはない。いっぽう、どんなに素朴な姿をしていても、その人の生に裏打ちされた言葉は、予想をはるかに超える働きをすることがある。』
7月13と14日の日経夕刊に掲載されたお化け屋敷プロデューサー、五味弘文さんの記事から、
『お客様の心理に働きかける工夫としては、入り口で履いてきた靴を脱いでもらう方法があります。靴を脱ぐと人は何かを奪われたような感覚になって急に心細くなる。足の裏で床の冷たさを感じさせ、柔らかいとか硬いといった触覚を刺激するとそれが恐怖につながります。人はこうしたことで自分の身体が名状しがたいものにさらされるように感じ、恐怖を覚えるのです。』
『人間の恐怖心は持続せず、せいぜい10分が恐怖が続く目安とされています。このためお化け屋敷も入り口から出口まで体験時間として10分程度で企画され、料金は1000円程度が相場です。これはこれで長い間に確立された優れた娯楽の形態なのですが、もっと長く恐怖体験を味わえるお化け屋敷ができないかと考えています。』
7月21日日経夕刊に掲載された古書修復家、板倉正子さんの記事から、『書物修復の技術は、世界各地の専門家が創意工夫、試行錯誤を重ねながら進歩してきました。私が誇りに思うのは、それらの技術が基本的に公開され、共有されていることです。私たちも書物1冊ごとにカルテを作成し、どんな手当を施したのか、詳細に記録を残すようにしています。』
7月10日日経夕刊に掲載されたセコマ会長、丸谷智保さんの記事から、『私どもの会社は北海道を基盤に1200店ほどのコンビニエンスストアを展開している。・・・
コロナ禍に有ってもセコマの売り上げは堅調だったが、そのことを言いたいのではない。地域にしっかり密着してやってきたつもりだったが、「足元には、まだこんなにもお客様がいたのか」ということを、奇しくもコロナ禍で気づかされたのである。
実際はマーケットはとても深い。商圏は平面に住む人口の多寡ではなく、いかにそのマーケットに浸透しているかによって変わってくる。500万道民が毎日来店してくれれば年18億人を超える。あれ?それって中国の人口よりも多い?』