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2023年11月

2023年11月11日 (土)

7月の日経新聞から

2023年7月を振りかえってみる。

7月31日日経夕刊から、
『世界気象機関(WMO)と欧州連合(EU)の気象情報機関「コペルニクス気候変動サービス」は2023年7月の世界の平均気温が観測史上で最高となる見通しだと発表した。観測記録のない太古の気候を探る研究者は「地球の平均気温はおよそ12万年ぶりの最高気温を記録した」と温暖化の進行に警鐘を鳴らす。』

7月6日日経朝刊に掲載された、英フィナンシャルタイムズ紙の記事から、
『世界の原生熱帯雨林の消失面積が2022年に前年比10%増加したことが新たな調査で明らかになった。全世界で木々が失われた面積の合計はスイスの国土に相当する。』

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7月12日日経朝刊から、
『世界を襲う熱波が広がり、干ばつや水害などの異常気象が増えている。世界の平均気温は過去最高を更新し、南米ペルー沖の海水温が上がる「エルニーニョ現象」で今夏は気温がさらに高まる可能性がある。専門家はエルニーニョによる経済損失は2029年までに最大3兆ドル(約420兆円)にのぼると見積もる。』
『国際学会「国際地質科学連合(IUGS)」の作業部会は11日、人類活動が地球環境に大きな影響を及ぼす時代「人新生」を20世紀半ばからの新たな地質年代とし、代表地にカナダ東部の湖を選んだと発表した。』

7月1日日経朝刊から、
『東京大と山梨県富士山科学研究所のチームは30日、これまで活動の空白期と考えられていた5千~4千年前に富士山が少なくとも6回噴火していたことを確かめたと発表した。山梨県側の麓にある山中湖の湖底で、未知の噴火による火山灰を確認した。』

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7月7日日経朝刊から、
『東京大学は米領グアム沖の深海で熱水が噴出する場所にある岩石から新しい細菌を発見した。細胞内に磁石を持ち、コンパスのように地磁気を感じて回転する「走磁性細菌」の一種だった。』

7月5日日経夕刊に掲載された中川恵一さんの「がん社会を診る」という記事から、
『1万年以上前から日本列島に住んでいた縄文人と、約2~3千年前に朝鮮半島から渡来した弥生人との混血が日本人のルーツといわれます。
47都道府県で縄文人由来と渡来人由来のゲノム比率を調査した研究があります。縄文人由来のゲノム成分比率が最も高かったのは沖縄県で、鹿児島、青森、岩手が続きました。渡来人由来のゲノム成分が最も高かったのは滋賀県で、京都や奈良などが続きました。』

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7月29日日経朝刊から、
『2022年の日本人の平均寿命は女性が87.09歳、男性が81.05歳となり、前年比で女性は0.49歳、男性は0.42歳それぞれ縮んだことが28日、厚生労働省公表の簡易生命表で分かった。前年を下回るのは男女とも2年連続。同省は「新型コロナウィルス流行の影響が大きい」としている。』

7月11日日経朝刊から、
『京都大学などは新型コロナウィルスの流行が未就学児にもたらした影響を解析した。5歳の時にコロナ禍を経験した幼児では、発達が平均で約4カ月遅れていた。3歳の時に経験した幼児では明確な差はなかった。
・・・5~6歳の幼児で発達が遅れた要因として、研究チームは他者との交流の減少を指摘している。』

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7月7日日経朝刊から、
『米フロリダ大学は宇宙飛行が脳に及ぼす影響に関する調査結果をまとめた。30人の宇宙飛行士を対象に調べ、2週間の短期飛行では変化しなかった「脳室」と呼ぶ部位の空間容積が6カ月の長期滞在になると拡大することなどが分かった。脳室の拡大で脳内の圧力が高まると、意識障害や視力障害などにつながる懸念がある。』

7月4日日経朝刊に掲載された「春秋」から、
『脳は使わなくなれば、しだいに機能が低下する。・・・狩猟採集時代が終わって農耕社会に移った後、ヒトの平均的な脳のサイズは小さくなった。約3000年前のことだ。2021年に米研究チームが発表した論文によると集団生活の影響らしい。』

7月27日日経夕刊から、
『「文字の形が覚えられず、中学生になっても書くのが苦手だった」。こう話すのは大学3年生の西川幹之佑さん(20)。読み書きに困難を感じる「ディスクレシア」だというが、一つの書体との出会いで見える世界が変わった。「UDデジタル教科書体」だ。・・・
 西川さんは明朝体など横線の細いフォントを識別しづらかった。しかし中学生の頃、UDデジタル教科書体だけは難なく読めることに気付く。「読めない自分がいけないと責める必要がないと思えた」と当時を振りかえる。』

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7月22日日経朝刊から、
『アイルランドで4千人を超す50歳以上の人たちの協力を得て10年近くかけて行われた研究では、運動していた人たちは運動をしていなかった人に比べて気分が沈み込みがちになる割合が明らかに少なかったという。うつ病の発症率でみると、4割以上少なくなっていた。』

7月14日日経朝刊に掲載された「AIは異星人の知性」というマルクス・ガブリエルさんの記事から、
『「我々の欲望は今や、監視資本主義のシステムにつくり出されているといえる。監視者はスマートフォンという独房にいる人々に情報を送り、特定の行動をするよう促してくる。スマホの利用者は監視者の意図が分からないまま無意識に動かされている。この新しいパノプティコンは非常に強力だ」
 ・・・・・
「ニヒリズムは『人間が存在することに意味はない』という。だが、私たちが生まれてきたことに意味があろうがなかろうが、神が存在しようがしまいが、我々は道徳的真実を見つけ出し、それを実践しなければならない。我々には未来を守る義務がある。それが『人生の意味とは何か』という問いへの私の答えだ。」』

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7月22日日経朝刊に掲載された若松英輔さんの記事から、
『・・・手だけで書かれた文章は、あるとき人を驚かすことがあっても、その人を生の深みに導くことはない。いっぽう、どんなに素朴な姿をしていても、その人の生に裏打ちされた言葉は、予想をはるかに超える働きをすることがある。』

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7月13と14日の日経夕刊に掲載されたお化け屋敷プロデューサー、五味弘文さんの記事から、
『お客様の心理に働きかける工夫としては、入り口で履いてきた靴を脱いでもらう方法があります。靴を脱ぐと人は何かを奪われたような感覚になって急に心細くなる。足の裏で床の冷たさを感じさせ、柔らかいとか硬いといった触覚を刺激するとそれが恐怖につながります。人はこうしたことで自分の身体が名状しがたいものにさらされるように感じ、恐怖を覚えるのです。』
『人間の恐怖心は持続せず、せいぜい10分が恐怖が続く目安とされています。このためお化け屋敷も入り口から出口まで体験時間として10分程度で企画され、料金は1000円程度が相場です。これはこれで長い間に確立された優れた娯楽の形態なのですが、もっと長く恐怖体験を味わえるお化け屋敷ができないかと考えています。』

7月21日日経夕刊に掲載された古書修復家、板倉正子さんの記事から、『書物修復の技術は、世界各地の専門家が創意工夫、試行錯誤を重ねながら進歩してきました。私が誇りに思うのは、それらの技術が基本的に公開され、共有されていることです。私たちも書物1冊ごとにカルテを作成し、どんな手当を施したのか、詳細に記録を残すようにしています。』

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7月10日日経夕刊に掲載されたセコマ会長、丸谷智保さんの記事から、『私どもの会社は北海道を基盤に1200店ほどのコンビニエンスストアを展開している。・・・
 コロナ禍に有ってもセコマの売り上げは堅調だったが、そのことを言いたいのではない。地域にしっかり密着してやってきたつもりだったが、「足元には、まだこんなにもお客様がいたのか」ということを、奇しくもコロナ禍で気づかされたのである。
 実際はマーケットはとても深い。商圏は平面に住む人口の多寡ではなく、いかにそのマーケットに浸透しているかによって変わってくる。500万道民が毎日来店してくれれば年18億人を超える。あれ?それって中国の人口よりも多い?』

2023年11月 9日 (木)

6月の日経新聞から

2023年6月を振りかえってみる。

6月30日日経朝刊から、
『オランダのラドバウド大学などは、新型コロナウィルスの流行で世界的に外出自粛などの対策が実施された2020年初めに、野生動物が自由に動き回っていたとの調査結果をまとめた。
 ・・・・・
 20年と19年の2~4月を比較したところ、ロックダウンなどで移動制限が厳しかった地域で動物の移動距離は平均73%長くなった。道路の交通量が減り、移動しやすくなったとみられる。』

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6月20日日経朝刊から、
『新型コロナウィルスの一部を鼻で感染させると、脳内炎症を引き起こすことがマウス実験で判明したと、東京慈恵医大のチームが19日までに米科学誌に公表した。倦怠感やうつ症状などのコロナ後遺症を発症する仕組みの一つとみられるという。既存の認知症薬がこうした症状を改善させる可能性があるとして、臨床試験を進めている。』

6月22日日経夕刊から、
『全米教育統計センターが21日発表した学力調査によると、中学2年生に相当する13歳の読解と数学の学力が新型コロナウィルス流行前と比べて大幅に下がったことがわかった。特に数学はもともと学力が低い生徒の落ち込み幅が大きく、人種別では低所得層が多い先住民や黒人、ヒスパニック系の低下が目立った。コロナ禍を経て学力格差が広がっている様子が浮き彫りとなった。』

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6月2日日経朝刊から、
『魚介類の水揚げが減り続けている。農林水産省の漁業・養殖業生産統計によると、2022年の漁業と養殖業の合計生産量は前年比7.5%少ない385万8600トンだった。減少は2年連続で、統計を取り始めた1956年以降の最低を更新した。海水温の上昇による環境の変化が影響を及ぼしている。』

6月19日日経夕刊から、
『食卓に欠かせないオリーブオイルの価格が急騰し、史上最高値を付けている。主産地のスペインで昨年夏以降の干ばつで原料となるオリーブの収穫量が半減。今年も平年を下回る降水量が続き、昨年に続く大不作の恐れが出ている。』

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6月29日日経朝刊から、
『カナダ東部で続く山火事の煙がスペインなど欧州西部に到達している。米航空宇宙局(NASA)の一般向け情報提供機関であるアースオブザーバトリーが26日、明らかにした。』

6月11日日経朝刊に掲載された世界気象機関(WMO)事務局長、ペッテリ・ターラスさんの記事から、
『「高温をもたらすエルニーニョの発生と人間活動による気候変化が相まって、地球の気温は未踏の領域に入るだろう」。2023~27年の予測を盛り込んだ最新の気候報告書の公表に合わせ、警鐘を鳴らした。』

6月28日日経朝刊から、
『世界気象機関(WMO)によると、2010年代に世界で発生した自然災害は3165件と、1970年代の5倍近くに増えた。うち8~9割は暴風雨と洪水が占める。気候変動による水の脅威の増加に世界全体が身構えている。』

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6月13日日経朝刊から、
『「国民病」となった花粉症による経済損失が3800億円を超える可能性があることが、民間試算で明らかになった。政府は5月に健康被害と経済損失を抑えるための対策を打ち出した。花粉発生源のスギの伐採や植え替えの促進を柱とする。』

6月11日日経朝刊から、
『海洋汚染で注目される小さく砕かれたごみ「マイクロプラスチック」。人の体内から見つかったという報告が相次ぎ、環境問題から健康問題へと広がりを見せている。形状や含まれる化学物質、体内に取り込む量など様々な要素がからみ、その長期の毒性の解明は簡単ではない。』

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6月23日日経朝刊から、
『京都大学は細胞を組み立てて立体的な組織をつくる「バイオ3Dプリンター」を使い、傷ついた指の神経を治療することに成功した。気道などの器官や臓器そのものを再生する研究も国内外で進む。20~30年後に臓器を作って移植する技術ができれば、健康寿命を延ばせる可能性がある。』

6月10日日経夕刊から、
『厚生労働省は10日までに、海外に渡航して臓器移植を受けた後に国内の医療機関に通院している患者が3月末時点で543人おり、うち25人の移植には4つの仲介団体が関与していたと明らかにした。・・・
 20年以上前に移植を受けた人も含め、過去5年間に38人が死亡、移植した臓器が機能不全になったのは25人だった。』

6月26日日経朝刊から、
『神経難病の一つ、パーキンソン病のため歩きにくくなってきた人にリハビリを行う際、歩くリズムに合わせて頭の外側から脳に電気刺激を与えることで歩行機能が改善したと、名古屋市立大などのチームが25日までに、英医学誌に発表した。』

6月23日日経朝刊から、
『東京農工大学とエステーなどは、特定の匂いを感じにくくする香料が存在することを実験で確かめた。香料があると鼻にある匂い物質の受容体が反応せず、悪臭でも感じにくくなった。』

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6月20日日経朝刊に掲載されたマレーシア元首相、マハティール・ビン・モハンマドさんの記事から、
『日本は不思議だ。米国に原爆を落とされたのに彼らとは友好国で、国内に米軍基地もある。なぜ中国や韓国と同じように親しくなれないのか。日本と中国、韓国には歴史的な問題はあるだろうが、過去に固執せず、今と未来を見据えて外交に臨むべきだ。残虐な歴史ばかりに目を向けると、過去に支配されてしまう。』

6月10日日経夕刊に掲載された歌人、馬場あき子さんの記事から、
『「女性の生き方には大変なものがあったけれど、60年前にはがんばれば良い世の中が来るという希望があった。今の歌人をかわいそうに思う。今は、歌いにくい時代です。複雑で、どこをどう愛したらいいかとても難しい」。』

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6月13日日経夕刊に掲載された医師、小笠原文雄さんの記事から、
『普段からお経を読んでいるので集中力がありました。お経を読んでいるといわゆるゾーンに入るんですね。だから勉強でもゾーンに入るんです。日曜日などに寺でひとりで勉強しているときに、檀家さんが訪れることがあります。しかし、勉強に没頭していて全く気が付かない。』

6月13日日経夕刊に掲載されたプロ野球ヤクルト、村上宗隆さんに関する記事から、
『王会長によれば、本塁打を量産しているとき、本人は案外淡々としているものだそうだ。なぜあんなに打てるのか、と周囲を驚かせても「本人にとっちゃ不思議じゃない。不思議じゃないから、もっともっと打てるわけでね。自分が感激したり、興奮したりしてるようじゃ打てなくなっちゃう」。』

6月3日日経朝刊に掲載された若松英輔さんの「セザンヌとモチーフ」という記事から、
『・・・少なくない言葉を発したあと、彼は最後にこういう。「要するに私というものが干渉すると、凡ては台無しになって了う。何故だろう」。』

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6月10日日経朝刊に掲載された若松英輔さんの記事から、
『経歴や過去の実績の話を得意げにされると興ざめになる。そこに立ち顕われるのは、影のようなもので、今、生きているその人ではない。過去を誇る人は、もっとも魅力があるのはかつて行ったことではなく、それらを昇華させ今、ここに存在しているその人自身であるのを忘れている。』

6月28日日経夕刊に掲載された将棋棋士、谷合広紀さんの記事から、
『この対局における藤井聡太七冠の凄まじさは、局面を一気にひっくり返す神の一手ではなく、相手がミスを犯しそうな局面に誘導する巧さにあった。相手にとって複数の有力手が見えるが、そのうちの一手が実は罠という局面にうまく誘導するのだ。こういった指し回しは現在の将棋AIを持ってしても定量化できていない部分である。正確な指し回しはもちろんのこと、人間的な勝負術にも長けているという点が藤井将棋の本当に恐ろしい部分だと思う。』

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6月9日日経夕刊に掲載された文筆家、寺尾紗穂さんの記事から、
『森崎和江「ははのくにとの幻想婚」に収録されている八幡製鉄所の労働者の聞き書きには、こんな言葉が出てくる。
「そりゃあ、おまえらが提出した資料や指令にもとづいてやっちゃいるさ。しかしな、鉄は生きもんだからな、計算器の結果どおりにいくかい。同じ原料でも炉の雰囲気が瞬間ごとに変化しているんだし、出てきたときはその度にかすかに質がちがうとばい。それを指令どおりに一律にやってみい。最後の工程じゃおまえの結果とは全然ちがうものになっているんだから」。』

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