5月18日の演奏会
今年もプリモ芸術工房で演奏会をさせて頂くので、そのお知らせです。
この何年か、またコダーイの無伴奏を弾きたいと思うようになりました。
チェロのレパートリーの中でこれほど血湧き肉躍る曲は他にあるでしょうか。調弦を変え、シとファ#、ド#、そして♮と#の二つのレが支配するこの曲の深く、広い世界に入っていく時間は本当に素晴らしいです。
ヒンデミットの無伴奏は5つの小さな曲を持ち、演奏時間10分ほど。そこでは大きさも、形も様々な生き物たちが現れ、悪戯っぽく動き回るようです。
4年前、感染が広がって音楽会もなくなった時、バッハの2番を弾いていました。バッハの2番でもさらってみるか、そんな軽い気持ちでした。
2番でも。・・・・・。とんでもありませんでした。自分の浅はかさ、思い込み、様々なことに向きあうことになります。その痛切な時間は、再び日常が戻り、演奏会の舞台に上っていく自分の核となっています。
バッハの組曲は子供の頃から弾いてきました。1番の組曲を初めて弾いたのは小学5年の時です。
今回、1番も2番も楽譜を作り直し、改めて取り組んでみて、様々な技法を駆使する長大なコダーイ(演奏時間は30分を越えます)、チェロを弾く者にとって大きな道標であるコダーイよりも、ずっと情報量が多いのではないか、と感じるようになりました。
大きな流れを構成する様々なフレーズ、それぞれのフレーズはどのような動きを持っていて、フレーズの中の一つ一つの音は何を求めているのか、その音をどう弾いたら良いのか、どんな奏法が音楽の表現にかなうのか。
オーケストラの仕事をしていると、例えばチェロが旋律を受け持つとき、10人いるセクションの中で自分がどう振る舞えばよいのか、あるいは指揮者がいて、他の様々な楽器があって、様々に絡み合って音楽を作っていくとき、捉えきれないほど多くの情報があり、常に変化していく状況の中で、どう行動するのが良いのか、いつも広く深い世界にいることを感じます。
無伴奏のレパートリーを弾いていても、同じように広く深い世界を感じます。その音楽にふさわしい表現をするために、どうしたら良いのか、何が必要なのか。たった1人でそのことに取り組む毎日です。
画像に、予約開始は4月21日から、とありますが、今日4月18日21時から受け付け開始です。リンクを下記に。
5月18日15時開演、プリモ芸術工房は東急目黒線、洗足駅すぐ近く。小さく、心地良い響きの会場です。
https://primoart.jp/event/event-160873/
皆様のお越しを心よりお待ちします。
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