音楽

2021年5月30日 (日)

変わること変わらないこと

ラーセンのIl Cannoneという弦、素晴らしかったのだけれど、元の組み合わせに戻したら、という誘惑は断ち難く、2カ月ほどでヤーガーとスピロコアに戻した。
楽器を締め付けていた感じはなくなり、予想していたより開放的な音になった。同時に金属的な音も戻ってきて、それはまるで、しばらく会っていなかった家族に久しぶりに会い、あぁこんなだった、とこれまで以上にその人のことをわかるような感じだった。

ゆらぎの少ないIl Cannoneの音程感は、経験したことのないものだった。ヤーガーやスピロコアにその特性はなく、弾き方で微妙に変化する音程や音質を常に追いかけていく必要があると思う。僕はシャフランの演奏が好き。誰にも真似できそうにない彼の音色や音程感は、張力の高くない弦を巧みにコントロールした賜物ではないか、と思う。

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改めて弾くヤーガーは、弓を返す時や左手がシフトする時、両方同時の時はさらに、硬い雑音が出やすいことを感じた。
昔からある弦の素晴らしさが発揮されるスイートスポットはそれほど広くなく、きっと使いこなしが重要だ。ラーセンはその点穏やかで使いやすい。どちらが良いのか、結論はない。

昨年夏、都内の楽器店が古い弦のストックを安価に販売していることを、親切な同僚が教えてくれた。お店としては古い在庫に価値はなく、処分したかったのだろうか。
真鍮で作るシンバルは、製造直後より1年寝かせた方が倍音の成分が伸びるというTV番組を見て以来、木だけでなく、金属の経年変化にも興味を持つようになった。迷いなく、僕は古いパッケージのスピロコアを求めた。
それにしても、いつの間にパッケージが変わったのだろう。以前にも10年以上ストックしてあったスピロコアを使って問題はなく、今回の弦もとても良い。

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ヤーガーやスピロコア、中学生の頃から使っているこうした弦が今も変わらず生産されていることは有り難い。もちろん時代と共に小さな変化はあるかもしれない。でも様々迷った後に、以前の場所に戻れることは素晴らしい。

20年以上使っている万年筆を洗っている時に、うっかり軸を木の床に落とした。軽い音がして、驚くほどあっけなく軸が割れた。長く使ってきたから、樹脂が劣化して割れやすくなっていたのだろうか。気にも留めていなかったのだけれど、この万年筆、使ったり使わなかったりの長い歳月の間、一度もインクのトラブルがなかった。
幸いペン先は無事で、修理に出した万年筆は、感染の影響で工場の操業や物流が滞っていて数ヶ月かかり、戻ってきた。
変化の激しい時代に、変わらないことの素晴らしさを感じる。

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今年1月に指揮のエリアフ・インバルが来日し、変わらず力にあふれた姿だった。年を取ることの手本のような人だと思った。舞台で聴衆に応える彼を見て、80代で満面の笑みができることは本当に素晴らしいと思った。

いつの間にか、所属するオーケストラでも自分より若い楽員が増えた。今でもオーケストラ初心者のような感覚で、音楽は謎ばかり。
50歳になり、これから10年どう生きていくのが良いのか、年を取るとは、若いとはどういうことなのか、時々考える。職業音楽家の難しさは、好きで、やりたくて入った道なのに、それが仕事となってしまうことだ。好きなことにはどれだけエネルギーを費やしても苦にならない。一方、仕事は最小限の労力で最大の効果を得ようとする。
できるだけ効率よく仕事をしようとする。譜読みは気の重い面倒な作業になり、はかどらない時は自分の能力の無さにいらいらし、スコアを見るのは要所だけ、リハーサルが1分でも長くなることは苦痛で、曲の演奏時間を気にし、・・・。そういうことを止めにした。
限られた資源しかなく、大したことはできないかもしれないけれど、その時自分にできる最大のことをしたいと思う。

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何かに慣れる、ということは、重要なこととそうでないことが見分けられるようになり、要領よくできるようになる、ということだと思う。自分なりの方法や手順を確立して、それに則っていたら仕事はそこそこできる。
でも、何かが確立してしまうのはつまらないな、と思うようになった。ある優れた音楽家が、演奏は、自分のしていることが本当にそれで良いのか、いつも検証しながら弾くっていうことだろ、と言ったことを思い出す。

大学オーケストラ(音楽専攻ではない)と、とても若い人を教えている。僕の方が彼ら彼女たちより経験を積んでいることは間違いない。でももしかして、若い人たちの方が良い感覚を持っていたり、良い弾き方をしているかもしれない、と思って接している。自負や経験は脇に置き、何が良いやり方なのか、最善の方法は何か、冷静に見る必要があると思う。

子供の頃は興味のない勉強や好きでもないたくさんのことを、あれこれしなくてはならなかった。年を取ってくると、基本的には自分の気の進むことしか、しなくなっている気がする。いろいろなことが新鮮さを失い面倒になり、人間は楽な方に流れる。
それらを頭の中で起こっていることとして捉えた時、いったいどういうことが起きているのだろうか。面倒と感じることに秘密があるのではないか、と思う。

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オーケストラの仕事では、自分が全体の中でどのような働きをしたらよいのか、把握していることが大切だと思う。チェロは比較的重要な役割を担うことが多いけれど、主導権を持つことはあまりなく、全体の中でタイミングを見つけたり、他の重要なパートに道を譲ったりすることが多い。
自分が中心になって物事を決めていくことより、変化していく状況の中で最適な着地点を導き出したり、誰かに譲ったり、誰かと誰かの橋渡しをしたり、支えにまわったり、そうしたことがスムースにできることが素晴らしいと思うようになった。混雑する駅で他の人に順番をゆずったり、誰かの話に耳を傾けることは、自分のことを主張してばかりいるより、エネルギーが要るのではないだろうか。

オーケストラに来るソリストには、ひたすら我が道を行く人も、オーケストラと一緒に音楽を作ろうとする人もいる。
前者のタイプは今あまり多くなく、もちろんオーケストラとしては後者が嬉しい。多くの楽器があるオーケストラと複雑なアンサンブルを構成しながら、自分の音楽を実現していくことは、高度な能力が必要で、奏者の負担は大きい。だからもしかして、客席で聞き映えするのはオーケストラを気にせず弾く人かもしれない。そのあたりはおもしろいところだと思う。でもせっかく後ろにオーケストラがいるのだから、その流れにうまく乗れたら、はるかに説得力のある演奏になると思う。

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年齢を重ねても、みずみずしい音楽をしていたい。いつもはできないかもしれないけれど、少しだけ間口を広くして、自分の心を柔軟なものにしておくことが、と思う。

2021年5月 9日 (日)

日記

疲れが抜けないまま次のリハーサルが始まったり、譜読みに追われたり、以前のような生活になりかけていたところに、再びいくつかの公演が中止となり、ぽっかり時間が空いた。

昨年、巣ごもりしていた頃の日記を出して見てみる。
家にいて毎日同じような生活をしていた時、日記をつけることは、見失いそうな現在位置を記しておく大切な行為だった。その日のことを淡々と短く書くのがいいと思う。思ったことや感情はあまり書かない。起きた時間や食べた物、話しをした人、見たテレビ番組、聴いたラジオ、壊れた家電、散歩した場所、・・・。当たり前過ぎて気にも留めないような日常の細部が、ある時輝きを持ったりする。

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先日初めてプーランクのピアノ協奏曲を弾いた。曲の存在も知らなかったけれど、予想に違わず、楽しくお洒落な曲だった。
同じ頃、何人かのチェリストとプーランクのチェロソナタの話をした。10年以上前に弾き、そのまま眠っていた楽譜を出してきた。素晴らしい曲、でもチェロで弾きやすい音の並びとは言えず、難しい。
久しぶりに見るチェロソナタの楽譜は、以前よりずっと、何が書いてあるのか見える気がする。どういうところが定型から外れていて、どこが彼らしくお洒落で、どのように弾くと音楽が生きてくるのか。よちよち弾き始めた。楽しい。
チェロのパート譜には作曲家とピエール・フルニエの共同作業による、とある。その指使いや弓使いで弾くと、フルニエのチェロや音楽に対する感覚に直に触れられる気がする。

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プーランクのピアノ曲と室内楽曲を収めた5枚組のCDがある。ピアノのソロやチェロソナタくらいしか聴いてこなかった。5枚組の5枚目には、ホルンとピアノのためのエレジー、2本のクラリネットのためのソナタ、クラリネットとバスーンのためのソナタ、ホルン、トランペットとトロンボーンのためのソナタ、などなかなか演奏を聴く機会のなさそうな曲もたくさん入っていて、どれも心が軽く、自由になるようだった。
世界にプーランクの音楽があって良かったと思う。

以前なら、例えば自分で企画する演奏会があって、この曲を入れようか、など空想をふくらませていたかもしれない。でもまだしばらく、自主公演をするには難しい状況が続きそうだ。

昨年上演されるはずだったワーグナーのオペラ、マイスタージンガーは今年7月に延期された。
今月から勉強を始めた。経験したことのない長さのオペラを、できることなら、有名な前奏曲を弾き始めてその世界に入ったら、もうオペラは最終盤に差しかかっている、という感じになりたいと思う。そうは言いながら、長大な第3幕はやはり長大で、毎日ほどほどの時間勉強しているのだけれど、1週間たっても全幕を聴けなかった。

聴いているのはサヴァリッシュ指揮、バイエルン国立歌劇場の録音。どの部分も高いクォリティで演奏されていることに驚く。指揮者が素晴らしいのか、歌手が素晴らしいのか、オーケストラが素晴らしいのか、スタッフが素晴らしいのか。きっと全てだ。名前も残っていない多くの人たちが、莫大なエネルギーを注いだのだろうと思う。
それにしても、ワーグナーはこのスコアを全て手で書いた。電気のない時代、夜を明るく照らす電灯も、もちろん便利なコンピュータもなかった。人間は技術の進歩とともに、自らの能力を失ってきたのだろうか。

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先月の日経新聞に興味深い記事が掲載された。

4月11日の朝刊に掲載されたマイケル・サンデルさんの記事から、
『カギは労働の尊厳の回復だろう。高い給料の仕事だけでなく、全ての仕事への尊厳を高めることが大切だ。・・・・・我々は学位の有無にかかわらず、よい生活が送れる社会をつくるべきなのだ。』

4月10日の朝刊に掲載された国際日本文化研究センター教授、磯田道史さんの記事から、
『ここから先は所得では測れない幸福度を作らないといけない。・・・』

日本は世界でも指折りの、安全で清潔な国だと思う。でも電車に乗ると、幸せを感じて生きている人はあまり多くないように見える。いろいろな組織の上にいる人が、そういう観点からこの国を見て、行動してくれたらいいのに、と時々思う。

2021年3月31日 (水)

3月の日経新聞から

3月最後の週末は、以前の東京を彷彿とさせるような人の多さだった。1年前、週末の人出で感染が広がったことを思い出す。
今月をふり返ってみる。

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3月27日日経夕刊から、
『世界で新型コロナウィルスの感染の「第4波」への懸念が高まっている。医療崩壊が深刻なブラジルをはじめとする中南米では25日、感染者数が過去最多を更新した。欧州でも新規感染者数が1月中旬以来の高水準となった。各国でワクチン接種が進むものの、変異ウィルスの広がりもあり収束の見通しが立たない。・・・
 米ジョンズ・ホプキンス大のまとめによると世界の新規感染者数(7日移動平均)は25日時点で約52万人と、小康状態にあった2月中旬に比べて約5割増加した。』

3月27日日経朝刊から、
『新型コロナウィルスの新規感染が止まらない。国内では26日、午後8時時点で2027人の感染が新たに確認された。1日の感染が2千人を超えたのは緊急事態宣言が出されていた2月6日以来。感染は地方でも急拡大しており、「第4波」への懸念は強まるばかりだ。
 ・・・
 感染力が強いとされる変異ウィルスの影響も懸念される。厚生労働省のまとめによると、23日までの1週間で、大阪と兵庫では計100人の感染が確認された。全国的にも変異型の感染者数は増えており、今回の感染拡大の要因の一つとの見方もある。』

3月20日日経朝刊から、
『高齢者施設で新型コロナウィルスのクラスター発生が相次いでいる。1月の緊急事態宣言以降、発生件数は480件を超えて飲食店の3倍超。感染対策と施設運営の両立を迫られる現場は疲弊し、利用減による経営への打撃も深刻だ。』

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3月19日日経夕刊から、
『欧州連合で医薬品の審査を担当する欧州医薬品庁は18日、英製薬大手アストラゼネカの新型コロナウィルスワクチンについて、安全性を確認したと発表した。指摘された血栓との因果関係はないと結論づけた。同ワクチンの接種を見合わせていたドイツやフランス、イタリアは19日に接種を再開する方針を示した。』

3月20日日経朝刊から、
『新型コロナウィルスのワクチンの増産が本格化してきた。米ファイザー・独ビオンテックは欧州工場の本格稼働を受け、年間ワクチン供給能力を2021年中に20億回超分(従来は13億回分)に増やす。米モデルナも22年中に生産能力を14億回分にまで引き上げる。各社のワクチン生産増強を受け米国は5月から全成人への接種を始めるほか、日本も6月末までに1億回分の供給を受ける。』

3月23日日経朝刊から、
『英国は23日、新型コロナウィルスの感染抑制を目指した初めてのロックダウンから1年となる。死者は欧州で最悪の12万6千人にのぼるが、足元ではワクチン接種が順調で、成人の半数が1回目の接種を終えた。新規感染者も減り、ジョンソン首相の支持率は上向き始めた。
 ・・・ジョンソン政権は7月までに、18歳以上の全市民に1回目の接種を終える計画だ。
 1日あたりの新規感染者数は英国で1月、6万人超に達した。だがこれを最高に、ワクチンの普及とともに最近では5000人台に減った。・・・』

3月26日日経夕刊から、
『バイデン米大統領は25日の記者会見で、新型コロナウィルスのワクチンを巡り、就任100日後の4月末までに米国内で2億回の接種を目指すと表明した。1億回の目標を掲げたが、達成したため2倍に引き上げる。・・・』

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3月11日日経朝刊から、
『政府は国内のワクチン開発を担う製薬会社や研究機関の支援に乗り出す。・・・
 新型コロナで国産ワクチンの治験段階に入っているのは塩野義製薬と創薬ベンチャーの「アンジェス」に限られる。第一三共とKMバイオロジクスも3月をめどに治験に入る予定だが、開発に取り組んでいるのはごくわずかだ。』

3月13日日経朝刊から、
『新型コロナウィルスワクチン接種の副作用について、厚生労働省は12日、専門家による部会を開き、急激なアレルギー症状であるアナフィラキシーが疑われる事例が11日までに36件報告されたと発表した。
 発生頻度は100万人あたり200件と米国(約5件)や英国(約19件)と比べて高かった。だが、国際的な基準に基づいた精査が必要とし、ワクチンについて現時点で「安全性に重大な懸念は認められない」と評価。接種後の経過観察を徹底したうえで接種を続ける方針だ。』

3月24日日経夕刊から、
『米製薬大手ファイザーは23日、新型コロナウィルスの治療薬について初期段階の臨床試験を開始したと発表した。感染者の体内でウィルスの増殖を防ぐ作用を持つ。口から飲む経口薬で、注射薬などに比べて利便性が高いのが特徴だ。』

3月13日日経朝刊から、
『健康な人に新型コロナウィルスを感染させ、体の反応を調べてワクチンや治療薬の開発に役立てる試験が英国で始まる。
 「人体実験」との批判もあるが決してとっぴな手法ではない。世界保健機関(WHO)も意義を認め実施基準を作成した。・・・』

3月22日日経朝刊から、
『新型コロナウィルスの感染後に回復したにもかかわらず、様々な後遺症で苦しむ人が相次いでいる。そんななか、「ブレインフォグ」とよぶ脳に霧がかかったような状態を経験する人が少なくない。ただ、ウィルスとの因果関係や発症する仕組みなどに不明な点が多い。米国は本格的な調査に乗り出した。』

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3月31日日経朝刊から、
『世界保健機関(WHO)は30日、最初に新型コロナウィルスの感染が広がった中国湖北省武漢市で1~2月に実施した発生源調査の結果を発表した。動物から人間への感染が最も可能性が高いとし、ウィルス研究所からの流出説はほぼ否定した。情報開示に消極的な中国の姿勢を背景に、充分な情報を得られていないとの指摘を盛り込み、調査権限の弱さも浮き彫りになった。
 ・・・
 ただ、人間への感染がいつどこで起こり、どうやってウィルスがひろまっていったかには切り込めなかった。武漢で多数の感染者が見つかる前のウィルスの振る舞いは未解明のままだ。報告書は、現地調査で得られた情報はこうした点についての結論を得るには不十分だったと論じた。・・・』

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3月6日日経朝刊から、
『懸念される新型コロナウィルスの感染再拡大の防止策として政府は無症状者を対象としたPCR検査を新たに打ち出した。1日1万件規模を目指し、感染拡大の予兆をいち早くつかむのが狙いだ。これまで柱としてきた感染者の追跡調査も増強し、検査と調査の両輪で感染拡大の芽を早期に摘む。』

3月28日日経朝刊から、
『下水に流れ出た新型コロナウィルスを検出し、流行の拡大や変異ウィルスのまん延をいち早く捉える試みが注目を集めている。誰が感染したのかまでは特定できないが、下水を通じて地域全体の感染状況がわかる。国内で流行の「第4波」が心配されるなか、大学と企業が分析サービスを始めるほか、分析の精度を上げる研究が相次ぐ。・・・』

3月3日日経夕刊から、
『米南部テキサス州のアボット知事は2日の記者会見で、新型コロナウィルス感染を防ぐためのマスク着用義務を10日にも撤廃すると発表した。同州では新規感染者数が7日移動平均で1日7000人超と全米で最多。バイデン米大統領が全国民にマスク着用を呼びかける動きに逆行する。』

3月1日日経夕刊から、
『中南米で閣僚や政府高官が秘密裏に新型コロナウィルスのワクチンを接種していることが続々発覚し、各国で社会問題となっている。ワクチンの確保がままならない中、権力者がルールを無視する姿勢は市民の怒りを買う。・・・』

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3月4日日経夕刊から、
『救急車の出動件数が減っている。高齢化を背景に増加が続いていたが、2020年は一転減少し、東京や大阪では前年に比べ約1割減った。新型コロナウィルス下の外出自粛による交通事故減少などが要因とみられる。「受診控え」が増えた可能性もあり、専門家は「経験したことのない体調の異常を感じたらためらわずに通報を」と注意喚起する。』

3月29日日経朝刊から、
『新型コロナウィルス対策で初の緊急事態宣言からまもなく1年。欧米では死亡数が平年を上回る「超過死亡」が生じたが、日本は11年ぶりに減少した。・・・
 「新型コロナ感染による死亡数だけでなく、日本全体の死亡数も抑えられたのではないか」。川崎市健康安全研究所の岡部信彦所長は2020年1年間の死亡数(速報値)が前年より9373人(0.7%)減ったことに胸をなで下ろす。死亡数は高齢化で年2万人程度増えていた。平年より3万人近く減少した形だ。
 ・・・ただ「これだけの対策でも流行する新型コロナはなお警戒が必要と気を引き締める。
 厚生労働省が公表済みの20年10月までの死因別の死亡数によると、最も減少したのは新型コロナ以外の肺炎で前年同期比で2割弱、約1万4千人減った。新型コロナで増加した1673人より減少分が上回った。インフルエンザの死亡数も941人で7割減。手洗いやマスク着用などで感染症が激減した。
 ・・・・・
 確認された感染者に対する死亡率は世界全体で4~5月に7%を超えた。検査拡充などで現在は2.2%。日本は1.9%でやや低く、感染拡大も防げたため死亡数を抑制できた。』

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3月1日日経朝刊から、
『今後数年間に、進行したがんの患者やがんによる死亡者が増加するとの懸念ががん治療の専門家の間で広まっている。新型コロナウィルス感染症の流行が続く中、病院を受診する新規患者数が減少したり、がん検診の受診数の減少などが続いているからだ。・・・』

3月4日日経朝刊から、
『昨年1年間の生活保護申請件数が計2万3622件に上り、前年から1672件増えたことが3日、厚生労働省の集計で分かった。前年から増加したのは、比較可能な2013年以来初めて。新型コロナウィルス感染拡大による雇用情勢の悪化が影響したとみられる。』

3月17日日経朝刊から、
『警察庁と厚生労働省が16日に発表した2020年の自殺者数(確定値)はリーマン・ショック後の09年以来、11年ぶりに増加した。女性や若年層の自殺が増えている。新型コロナウィルスの感染拡大を背景に、経済的な苦境に追い込まれたり、孤立に陥ったりする人が増えているとみられる。』

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3月24日日経朝刊から、
『首都圏などにある主要大学30校の6割が4月以降、対面授業を中心にすることがわかった。変異した新型コロナウィルスへの警戒感が強まるなか、遠隔授業からの切り替えがじわりと進む。コロナ対応で導入した遠隔授業の利点を生かし、時間や場所の制約を受けずに学べる新しい大学教育の構築をめざす動きも広がっている。』

3月3日日経朝刊から、
『東京都の調査によると、新型コロナウィルスの感染が拡大した2020年6~11月に、劇場やホールでのコンサートや演劇などを見に行かなかった人が60%にのぼった。頻度・回数が減ったとする人が33%だった。・・・』

3月26日日経朝刊から、
『国内のプロスポーツの試合が新型コロナウィルス禍のなかで本格化する。サッカーや野球は防疫措置や感染対策を徹底しながらの開催となる。4月に観客規模の方向性を決める五輪の開催の形を占う試金石となる。』

3月4日日経夕刊から、
『英紙タイムズは3日、2021年の東京五輪・パラリンピックについて、「中止する時が来た」と題するコラムを掲載した。アスリートら大勢が集まることで新型コロナウィルスの感染を広げる可能性があるため、「日本だけでなく世界にとってリスクだ」と指摘した。
 筆者はリチャード・ロイド・パリー東京支局長。英国では五輪よりも小さな音楽イベントが中止になったほか、劇場なども閉じているとした上で、「世界最大の都市で開く4週間のイベントは明らかに中止すべきだ」と論じた。』

3月21日日経朝刊から、
『今夏の東京五輪・パラリンピックを巡り、政府と東京都、大会組織委員会は20日夜、国際オリンピック委員会と国際パラリンピック委員会を交えて代表者による5者協議をオンラインで開いた。海外からの一般観客の受け入れ見送りを正式に決めた。』

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3月26日日経朝刊に掲載された北島康介さんの記事から、
『4年に一度というサイクルはアスリートにとって本当に重い。トレーニングの進化により、僕と同い年のソフトボール・上野由岐子選手のように年を重ねても経験や引き出しの多さで活躍する選手も増えてはいる。それでも加齢に比例して体力、集中力は落ちるもの。まして1年延期になった今回は恩恵を受けて伸びる若手もいれば、旬の時期を失う中堅、ベテランもいるかもしれない。
 ・・・
 ケガなどのアクシデントと常に隣り合わせのトップ選手には、変化への耐性が強い人が多い。彼らの言動には、ネガティブな状況でもポジティブさを保つヒントがいっぱい隠されている。・・・』

3月12日日経朝刊に掲載された三浦知良さんの記事から、
『歌手が音の微妙な響き一つにこだわる。役者が身も心も、劇中のヒロインになりきろうとする。命を削るかのように。娯楽というと軽く思われるかもしれないけど、なんであれ心に響くものの背後には、真摯でひたむきな仕事が隠れている。半端だったら、人の心は動かせやしない。だから僕らサッカー選手も、娯楽の端くれとしてもっと精進しないとね。・・・』

2021年3月24日 (水)

定点観測

毎年クリスマスを過ぎた頃、新宿と渋谷の決まった場所を、決まったアングルで撮ることにしていた。50ミリレンズをつけたカメラに白黒フィルムを入れて。

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3月になり、テレビに渋谷のセンター街が映し出されるのを見ていた時、2020年はそれをしなかったことに気付いた。すっかり出かけなくなり、そしてフィルムの現像とプリントで長くお世話になったラボテイクが昨年秋に閉じられ、写真に気持ちが向かなくなっていた。
眠っていたカメラを虫干しし、あまり使わなくなっていたカメラやレンズをいくつも手放し(それでもまだ何台もある)、よく使うものに絞った。少し心が軽くなった。

旅行に行かなくなったことは、それほど残念に思わない。でも大学オーケストラの合宿がなくなり、避暑地の奥、山道を登り切った行き止まりにある宿に行かなくなったことは残念に思う。コンクリートとアスファルトとガラスに囲まれ、排気ガスの臭いのする東京に1年以上いて、山のひんやりとした空気が本当に懐かしい。

暮れに同じ場所で写真を撮るようにしたのは数年前のことで、定点観測と名付けていた。毎年同じ時期に同じ場所の写真を撮ると、景観はもちろん、人々のファッションや表情など、思いもしない変化が写るかもしれないと考えた。スマートフォンが普及する前に始めていたら、もっとおもしろかった可能性がある。10年前、人々はもう少し姿勢が良くて、表情もあったのではないだろうか。
2020年の定点観測をしていたら、ほとんど全ての人々がマスクをしている、という点で2019年と大きく違っていたはずだった。

定点観測と言えば、ほぼ毎日、チェロを弾くこともそうかもしれない。18歳、大学受験前の数ヶ月を除いて、何十年も弾き続けてきた。チェロをかまえることは同じでも、時期によって見えている景色はずいぶん違った。嫌だったことも、意欲に燃えていたことも、辛かったことも、もちろん嬉しかったこともある。今は、息をするように自然に、何の色も持たず、毎朝弾き始めたいと思う。

どんな演奏が、演奏家が素晴らしいのだろうか。年を取り経験を積み、人によっては立派な経歴がついているのかもしれない。でもその時出した音や音楽を、一点の曇りもなく、ありのままに聴くことができたら、と思う。録音するとよくわかるのだけれど、自分のしていることを客観的に捉えることは本当に難しい。素晴らしい演奏家は、自分を客観的に見る能力がきっと優れている。
自分の問題はもう一つ、弾いている自分の感覚が第一になってしまうこと。楽しみで弾くならそれでいいのかもしれない。どう聞こえているかが最重要、ということに今頃気がついた。

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同じ匂いの中にいるとその匂いがわからなくなるように、毎日同じようにしていると鈍くなりそうなので、違う弓で弾いたり、違う楽器を弾いてみたり、違う弦を張ってみたりする。すると現在位置をよりとらえやすくなるような気がする。
最近発売された弦を2種類、張ってみた。今はラーセンのIl Cannoneを使っている。おもしろいのは音色が2種類用意されていること。同じ銘柄で張力違いを用意するのがこれまでの発想と思う。音色違いは初めてかもしれない。(テンションが高くなると音色は暗め、低くなると明るめ、と理解している。)"Direct&Focused"が標準で、"Warm&Broad"がオプション、ということらしい。
僕が求めたセットには、Direct&Focused4本に加え、お試しでWarm&BroadのA線C線が同梱されていた。名前の通り、DFは固め明るめの音色、WBは柔らかく暖かい。6本全て弾いてみて、A線はWB、他は全てDFにした。D線もWBを張ってみたいと思っている。楽器によってきっとかなり違う。

驚くほどスムース、というのが第1印象。僕は車に乗らないけれど、最新の高級車はこんな感じなのだろうと想像する。左手がシフトしても音がつながりやすい。張力は高いのに、響きが多いことはこれまでの弦にない特徴だと思う。そして、圧力の変化に対して音程が驚くほど安定している気がする。張ってすぐ使えるのも、現代風だ。
この高性能な弦には、どのような開発のプロセスがあり、どのような技術が使われたのか、興味深い。

もう少しA線D線の張力が低ければ、軟弱な僕にも使いやすいのだけれど。下から張り替えていったので、下2本がDF、上2本ヤーガーという組み合わせも意外に良かった。

ラーセンを使っているとだんだん楽器がこもるようになって結局外してしまう、というのがこれまでの経験だった。4本同じ銘柄を張ることはあまりない。この新しい弦をしばらく使ってみる。

2021年3月17日 (水)

3月15日の演奏会

3月15日の都響演奏会は尾高忠明さんの指揮で、武満徹さんの「系図」とエルガーの交響曲第1番。
エルガーの1番は10年以上前に弾いた。むやみに高い音域が出てくること、弦楽器の後ろのプルトが独立して動くことしか覚えていなかった。あまりに多い音型を抱えきれず、収拾のつかない頭の中は散らかったまま終わった。どんな旋律も僕には残らなかった。

今回のリハーサルに先だって楽譜を開けてみると、見覚えのないモチーフが次から次へと現れた。パート譜には見慣れない音型がたくさん書かれていて、そこから曲の全体像を想像することは難しい。でもスコアを見て、主となる旋律は意外にシンプルで、対旋律のように絡む音型の方が独特、ということがだんだん分かってきた。チェロが弾く驚くほど高い音域のパッセージもそうしたものの1つと思う。残念ながらあまり効果的ではない、気がする。(エルガーのチェロ協奏曲だって、こんな高い音域は瞬間的にしか出てこない。)

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以前、尾高さんが別のオーケストラを指揮した時、エニグマ変奏曲の中の有名な「ニムロッド」について、エルガーの特徴の1つは7度音程の跳躍だけれど、この曲ではそれが上向きではなく下向き、と話され、なるほどと感心した。(チェロ協奏曲には上向きの7度跳躍が何度もあり、そこには強い感情がこもっている。)
1番の交響曲ではオクターヴの跳躍が、ということだった。確かに8度音程の跳躍で始まる素晴らしい旋律がいくつもあった。憧れをもって、と言われた。

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2分の1拍子(4分の2ではなく)で書かれた第2楽章は風変わりだと思う。最初の難所を過ぎるとヴィオラが旋律を受け持つ。それは一瞬、映画スターウォーズに出てくるダースベイダーのテーマ(「帝国のマーチ」)のように聞こえる。(4つ目の音が上に行くか下に行くかの違い。ジョン・ウィリアムズはエルガーを聴いていたのだろうか。)

ヴァイオリンが弾き始める冒頭の16分音符のフレーズは、後に他のパートにも回って何度も繰り返される。

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楽章の後半では四分音符に拡大され(チェロソロと木管楽器のユニゾン)、

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さらにリズムが変形されて、そのまま第3楽章の主題になる。

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同じ音の並びが形を変えて使い続けられると、それは聴いている人の意識の下に働きかけたりするのだろうか。それとも、ぼんやりした僕のように、何も残らないのだろうか。
第3楽章は大変に美しい。美しいまま終楽章に入ると、あっという間に曲は終わる。

エルガーの書き方は馴染みが薄く、なかなか体に入ってこなかった。でも少し慣れてくると、西洋音楽の主流であるドイツ音楽を、対岸のイギリスにいたエルガーの視点から眺められるようで、以前より捉えやすくなる気がした。

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ずいぶん前、ヴァイオリニストのレジス・パスキエにラヴェルのピアノ三重奏のレッスンを受けたことがある。
冒頭の八分音符にはスタッカートを示す点が付いている。作曲家はその八分音符を驚くほど短く弾くことを要求した、と教えてもらった。直接会ったことはなくても、彼の知る人がラヴェルやドビュッシーにきっと接していたんだろうと思うと、とてもうらやましかった。
(レジスの叔父エティエンヌ・パスキエはチェリストで、戦争中に収容所で作曲されたメシアンの「世の終わりのための四重奏曲」を、作曲家と共に初演している。)

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今回のリハーサルで尾高さんは、武満さんの様々なエピソードを話された。どれも興味深かかったのだけれど、聞きながらパスキエのレッスンを思い出し、得難い時間を過ごしていることに気付いた。作曲家の人となりを知っている人と一緒に演奏することは、実はそれほど多くない。
学生時代、カザルスホールや松本の演奏会で武満さんの作品が上演される機会が多く、ご本人もよくいらしていた。都響の若い楽員は武満さんに会ったことはなく、一方武満さんをよくご存じの方々もいる。
僕が初めてサイトウキネンに参加したのが96年、武満さんが亡くなられたのがその年の2月だった。あの夏、小澤さんをはじめ多くの方々が大きな喪失感を抱えていたのだろう、と今になって思う。もちろんその年も武満さんの作品(マイ・ウェイ・オブ・ライフ)が演奏された。

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「系図」は95年に初演された晩年の作品。谷川俊太郎さんの詩が入り、こういう言い方は適当ではないかもしれないけれど、美しくわかりやすい。(先日弾いた武満さんの「夢の時」は、僕の耳に残る旋律がなく、旋律というよりも、変ニ長調の和音が重要な役割を果たしている気がした。一体どう作曲したのだろう。)
詩に音楽がどのように対応しているのか、尾高さんの丁寧な説明があり、谷川さんの詩や武満さんの作曲技法の魅力がより感じられるようだった。

語りは田幡妃菜さん。彼女の声を聞き、この詩を語るには、もう子供ではなく、しかし大人でもないことが必要なのだと感じた。
本番の日が彼女の誕生日で、ゲネプロが始まる前にサプライズでオーケストラが"Happy Birthday"を演奏した。一瞬何が起きているのかわからない様子だったけれど、すぐ気が付き、驚き、涙ぐんでいた。その姿を見て、自分には年齢と共に様々なものが積もり、こびりつき、こわばって固くなってきている、と思った。そうしたものを、これから少しずつ落としていこう。

「系図」はアコーディオンの使い方も素晴らしい。
この楽器が重い、ということは何となく知っていたけれど、大田智美さんにその理由と、構造を教えて頂いた。音を出すのは金属製のリード、同じ音を出すのでもアコーディオンが伸びる時と縮む時では空気の流れる方向が違うので、まず2つのリードが必要で、同じ音程の違う音色にはさらに別のリード。多数のリードが内蔵されていて、しかも鍵盤や様々なボタンはすべて機械的につながっている・・・。内部に組み込まれた精密な機構を想像した。僕たちは弦楽器の信頼する職人なしに演奏することはできない。きっとアコーディオンにも素晴らしい職人がいるのだろう、と思った。

「系図」の後半、音楽がハ長調の響きに包まれてから、
『そのときひとりでいいからすきなひとがいるといいな
 そのひとはもうしんでてもいいから
 どうしてもわすれられないおもいでがあるといいな』
という言葉が入る。

3月半ばになって暖かくなり、サントリーホールの近くでも桜が咲き始めた。武満さんのこと、お世話になった方々のことを思い出す。

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2021年3月 2日 (火)

2月の日経新聞から

2月をふり返ってみる。

2月1日日経夕刊から、
『新型コロナウィルスのワクチン接種が進む米国で、人種による接種の進捗度の差が生じ始めている。一部の州では人口対比でみて白人と比べ、黒人やヒスパニック系の接種が遅れている。』

2月9日日経夕刊から、
『新型コロナウィルスの感染者数で世界最多の米国で、7日までに人口のほぼ1割に当たる3200万人が1回以上のワクチン接種を受けた。』

2月17日日経夕刊から、
『新型コロナウィルスワクチンの国内での接種が17日始まった。1例目は国立病院機構東京医療センターで接種され、米製薬大手ファイザー製のワクチンが医師に打たれた。今後は同機構など100病院の医療従事者約4万人に接種し、国はこのうち2万人について副作用の有無など接種後の健康状況を観察して定期的に公表する。』

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2月22日日経朝刊から、
『世界最速のペースで新型コロナウィルスワクチンの接種が進むイスラエルは22日、昨年12月からのロックダウンを緩和した。商業施設などが再開した。政府は接種を完了した人に新たな証明を発行し、一部施設への入場には提示を求める。』

2月23日日経朝刊から、
『米軍で新型コロナウィルスワクチンの接種が伸び悩んでいる。ワクチンの提供を受けた米兵のうち3分の1が接種を拒否した。米兵は長期間にわたり共同生活を送る場合が多く、集団感染が起きやすい。』

2月24日日経朝刊から、
『英政府は22日、人口の大半を占めるイングランドに敷かれているロックダウンの緩和計画を示した。3月8日の学校再開を皮切りに4段階で規制を緩和し、6月下旬に経済や社会活動のほぼ完全な正常化を目指す。』

2月26日日経朝刊から、
『新型コロナウィルスのワクチンを公平に分配するための国際的な枠組み「COVAX」が24日、アフリカ・ガーナで初めてワクチンを配った。パンデミックの収束のカギをにぎる低所得国での接種が、欧米から2カ月遅れで始まる。』

2月27日日経朝刊から、
『欧州連合で新型コロナウィルスのワクチン接種が遅れている。・・・
・・・英オックスフォード大の研究者らが運営するデータベース「アワー・ワールド・イン・データ」によると、EUでワクチンを接種下人数は100人あたり6人強。英国の28人弱、米国の20人に比べて見劣りする。』

2月28日日経朝刊から、
『ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、米国の1日あたりの新規感染者数(7日移動平均)はピークだった1月上旬の30万人から2月下旬には7万人程度まで7割強減少。英国やドイツ、フランスもピーク時と比べて6~8割減少した。
 ただ足元では新規感染者数に下げ止まりの兆しも出てきた。米独仏では2月中旬以降、前日比で新規感染者数が増加する日が目立ち始めた。背景にあるのが、従来型より感染力が強いとされ、ワクチンが聞きにくいとの懸念もある変異ウィルスの感染拡大だ。』

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2月4日日経夕刊から、
『英製薬大手グラクソ・スミスクラインなどの製薬大手が3日、新型コロナの変異ウィルスに対応するワクチンの開発を相次いで表明した。』

2月12日日経夕刊から、
『英製薬大手のアストラゼネカは11日、英オックスフォード大学と開発した新型コロナウィルスのワクチンを4月までに月間2億回分生産すると発表した。他社に委託するなどして生産量を増やし、年間30億回分の供給を目指している。』

2月6日日経朝刊から、
『英アストラゼネカが5日、新型コロナウィルスワクチンの製造販売承認を申請したことで、国内でワクチン供給の準備が動き出す。ワクチンの基となる原液は中堅製薬のJCRファーマが受託生産する。国内初のコロナワクチン量産が軌道にのるかが注目される。』

2月21日日経朝刊から、
『新型コロナウィルス禍の長期化を念頭に、国内企業のワクチンの開発・生産準備が本格化する。武田薬品工業は国内の自社工場でライセンス生産する米バイオ製薬ノババックスのワクチンの臨床試験を近く始める。第一三共も3月メドに自社開発ワクチンの治験を開始する。輸入ワクチンに頼る現状では供給リスクがあり政府も国産化対応を後押しするが、スピード感で課題も残る。』

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2月13日日経夕刊から、
『フランス政府諮問機関の高等保健機構は12日、新型コロナウィルスに感染した人がワクチン接種を受ける場合、1回で問題ないとの見解をしめした。』

2月17日日経朝刊から、
『・・・接種間隔の延長や1回のみの接種には批判の声も強い。米疾病対策センターは1回のみの接種では長期間の免疫が期待できない可能性があり、耐性ウィルスが出てくる恐れもあると警告する。』

2月20日日経夕刊から、
『米製薬大手ファイザーと独ビオンテックが協同開発する新型コロナウィルスワクチンについて、1回の接種でも高い効果が得られたとするイスラエルの研究結果が発表された。

2月22日日経朝刊から、
「イスラエル保健省は20日、米製薬大手ファイザー製の新型コロナウィルスワクチンを全2回接種することで、発症を予防する効果が95.8%あったとの調査結果を発表した。』

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2月16日日経朝刊から、
『14日に日本で初めて承認された新型コロナウィルスワクチンを米製薬大手ファイザーと協同開発した独バイオ製薬ビオンテックのウグル・サヒン最高経営責任者が、日本経済新聞のインタビューに応じた。サヒン氏は効果の持続性について「2年ごとに接種が有効」と述べ、多くとも1年ごとで十分との見方を示した。
 ・・・コロナ禍からの脱却のメドについては「75~80%の接種率で通常の生活に戻れる」と強調した。』

2月18日日経朝刊から、
『新型コロナウィルスのワクチンによる副作用の調査は進んでいる。米製薬大手ファイザーのワクチンについて、米疾病対策センターは1月20日までに接種した99.7万人のデータを公表している。
 ・・・
 副作用で最も注意がいるのは、急性のアレルギー症状「アナフィラキシー」だ。じんましんやかゆみ、息苦しさに突如見舞われ、血圧の低下から意識を失う場合もある。CDCの調査では20万回に1回の頻度だった。インフルエンザワクチンは100万回に1.3回の頻度とされ、若干高く見える。
 ただ発症しても、速めにアドレナリンを注射すればショック症状を避けられる。ほとんどが接種後30分以内に起きるので接種会場に15~30分とどまる計画になっている。
 日本ワクチン学会理事長の岡田賢司・福岡看護大教授は「アナフィラキシーを恐れて接種しないという選択肢を選ぶのはもったいない。特に65歳以上の高齢者や基礎疾患のある人はアナフィラキシーのリスクよりも、感染して重症化するリスクの方がはるかに高い」と促す。』

2月27日日経朝刊から、
『厚生労働省は26日、米製薬大手ファイザー製の新型コロナウィルスワクチンを25日までに約2万人が接種し、これまでに副作用が疑われる重い症状が3例あったと専門部会で報告した。
 いずれも経過を見るため入院したが翌日までに回復しており、専門部会は「安全性に重大な懸念はない」と判断した。』

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2月23日日経朝刊から、
『国内で新型コロナウィルスの患者を受け入れる病床の割合が欧米の10分の1以下にとどまることが分かった。全病床に占めるコロナ病床の割合は1月下旬時点で0.87%と、英国の22.5%や米国の11.2%に比べ桁違いに少ない。』

2月6日日経朝刊から、
『厚生労働省は5日、新型コロナウィルスの感染歴を調べる抗体検査を5都府県の契約1万5千人に実施した結果、東京都では0.91%、大阪府では0.58%から抗体が検出されたと発表した。国内初の感染者が確認されてから1年たつが抗体を持つ割合はいまだ低く、専門家は「集団免疫を獲得するためにはワクチン接種が必要だ」という。』

2月23日日経朝刊から、
『内閣官房と栃木県は22日、新型コロナウィルスの無症状感染者を把握するためのモニタリングPCR検査を宇都宮市内で始めた。市中心部と3つの学校で22、24、25日の3日間、計600人を対象に唾液PCR検査を実施する。規模や対象を見直しながら定期的に実施し、感染再拡大の兆しを早期につかむ狙いだ。』
『2020年の国内の死亡数は前年より約9千人減少したことが22日分かった。死亡数は高齢化で年平均約2万人程度増えており、減少は11年ぶり。新型コロナウィルス対策で他の感染症が流行せず、コロナ以外の肺炎やインフルエンザの死亡数が大きく減少したためとみられる。』

2月18日日経夕刊から、
『2020年に発生した交通事故による重傷者数は前年比13%減の2万7774人と過去最少だったことが18日、警察庁のまとめで分かった。交通事故全体の発生件数も最小の30万9178件(確定値)で、減少幅は19%と最大だった。同庁は新型コロナウィルスの感染拡大に伴う外出自粛で交通量が減少したことが影響したとみている。』

2月24日日経朝刊から、
『米国で新型コロナウィルスによる死者数が累計50万人を超えた。米国で1人目の死者が判明した2020年2月末から増え続けており、わずか1年足らずで第2次世界大戦の米国の死者数をも上回る事態となった。・・・
 ・・・米国の平均寿命は20年1~6月に前年に比べ1歳短くなり、マイナス幅は、第2次世界大戦中の1943年以来の大きさとなった。』

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2月5日日経朝刊から、
『東京都は4日、新型コロナウィルスの感染状況を分析する「モニタリング会議」を開いた。専門家が後遺症に関する調査結果をまとめ、若年層を含む7割超の患者が嗅覚障害や脱毛などの症状を訴えていると報告した。』

2月8日日経朝刊から、
『新型コロナウィルス感染症で重症化しやすい遺伝的な共通点が明らかになってきた。新型コロナは8割の人が軽傷で済む一方、2割が重症化するとされ、その違いを生む要因は謎だった。重症者で働く遺伝子を抑え、病原体を排除する免疫システムが暴走してしまう事態を防ぐ治療などへの応用が期待される。』

2月7日日経朝刊から、
『新型コロナウィルスの感染者と濃厚接触した可能性を知らせるアプリ「COCOA」で、一部機種で感染者と接触しても通知されていなかったことが発覚した。スマートフォンの基本ソフトの更新頻度にアプリ修正の精度が追いつけなかったことが主因とみられる。外部任せの運用で対応を誤り、国民ニーズとかけ離れた行政サービスを生んでいる。』

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2月10日日経朝刊から、
『新型コロナウィルスの発生源を調べるため中国の湖北省武漢市に派遣された世界保健機関(WHO)の調査団は9日記者会見を開き、ウィルスの起源の解明に向けて「さらなる研究が必要で、今後も継続していく」と述べた。・・・
 記者会見でWHO側リーダーの研究者、ピーター・ベン・エンバレク氏はウィルスの感染経路として①動物から直接人間に感染②中間宿主を経由③冷凍食品などの食品流通網を経由④研究所での事故 ー の4つの仮説をあげた。』

2月16日日経夕刊から、
『新型コロナウィルスの発生源とされる中国湖北省武漢市で2019年12月に感染者が1千人を超えていた可能性がでてきた。米CNNが15日、世界保健機関(WHO)調査団員のピーター・ベン・エンバレク氏の話として伝えた。』

2月19日日経朝刊から、
『世界保健機関(WHO)が新型コロナウィルスの発生源を突き止めるために中国に派遣した調査団はどこまで真実に迫れたのだろうか。メンバーから、中国の主張をうのみにするような発言も飛び出したことに、首をかしげる専門家もいる。・・・
 ・・・
 喜田(北海道大学特別招聘)教授は「世界中の野生動物が多数の未知のウィルスを持っており、ヒトにうつるリスクは常にある」と警鐘を鳴らす。』

2月17日日経朝刊から、

『高病原性鳥インフルエンザが各地で猛威を振るっている。2020年度は殺処分数が過去最多となり、特に首都圏や四国、九州などで大きな被害が出ている。』

2月16日日経夕刊から、
『西アフリカが再びエボラ出血熱の脅威にさらされている。ギニアで3人が死亡し、同国政府は14日にエボラ熱の流行を宣言した。』

2月23日日経朝刊に掲載された英フィナンシャル・タイムズの記事から、
『タンザニア保健相が2月に行った新型コロナウィルスに関する記者会見は、まるで料理番組のようだった。ショウガ、タマネギ、レモン、香辛料を加えたミキサーを手に取り、この野菜スムージーでウィルスは防げると説明した。
 その根拠は何も示さず、コロナウィルスは「周辺諸国で猛威を振るっている」がタンザニアはそうではないと保健相は語った。人口約6000万人の同国はワクチンを必要としておらず、「供給を受ける計画はない」とした。』

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2月8日日経朝刊から、
『新型コロナウィルス禍の米国で起業ブームが起きている。米政府の統計で、2020年の新規事業立ち上げの申請件数は過去最高水準を記録した。』

2月16日日経朝刊から、
『15日の東京株式市場で日経平均株価が1990年8月以来30年ぶりに3万円台の大台に乗せた。』

2月1日日経朝刊から、
『日本経済新聞社の世論調査で今夏に予定する東京五輪・パラリンピックの開催について聞いた。感染拡大が続くなら「中止もやむを得ない」が46%、「再延期もやむを得ない」は36%だった。「感染対策を徹底したうえで予定通り開催すべきだ」は15%にとどまった。』

2月25日日経夕刊から、
『国際オリンピック委員会のバッハ会長は24日、東京五輪・パラリンピックの会場に観客を入れるかの判断は「4月か5月初めになる」との見通しを示した。』

2月20日日経朝刊から、
『新型コロナウィルス下での文化芸術活動に関する文化庁の専門家組織は19日、政府が2月末までとしている大規模イベントの開催制限に対する見解を公表した。コンサートや演劇などについて「観客が大声で声援を出さないことを前提とする公演は早期に収容率を100%以内に緩和することが考えられる」とした。』

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2月16日日経朝刊に掲載された英エコノミスト誌の記事から、
『奇跡にも限界がある。新型コロナウィルスのワクチンは多くの人が期待していたよりも早く実用化され、高い効果を発揮している。ワクチンがなければ、パンデミックの死者は1億5000万人を超える恐れがあった。
 それでも、世界で接種が進む一方で、ワクチンがコロナを根絶してくれると期待するのは誤りだということが明らかになっている。むしろ、新型コロナの流行は何年も続き、恒常的に社会に存在する「エンデミック」になりそうだ。』

2月18日日経朝刊に掲載されたイアン・ブレマー氏の記事から、
『新型コロナウィルスの感染が世界に拡大してから約1年がたつ。公衆衛生上の影響は明らかだ。世界全体の感染者は1億人を超え、死者は200万人に達する。有効なワクチンの接種が進んでいるのは朗報だが、少なくともあと1年は政治、経済、社会全般における活動全てが、開始と停止を繰り返す回復となるだろう。』

2月18日日経朝刊に掲載されたビル・ゲイツ氏のインタビュー記事から、
『 ー ネット上では新型コロナウィルスをめぐる陰謀論や地球温暖化をめぐる偽情報が横行しています。コロナワクチンで、あなた自身が陰謀を企てているという話も流れています。
「私は2010年に地球温暖化について、15年に感染症問題について講演したが、私が陰謀論の標的になるとは考えもしなかった。こうした偽情報で、人々がマスクをするのをやめたり、ワクチン接種を躊躇したりするのは残念なことだ。ワクチン接種率を80%に上げたいところだが、こうした情報に惑わされると強い集団免疫が得られなくなる」』

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2月9日日経朝刊に掲載された英エコノミスト誌の記事から、
『自然の経済への貢献度とはどのようなものなのか ー 。
 ・・・
 だが経済学者がほとんど思いをいたさないものもある。・・・
 呼吸に適した空気、飲用に適した水、生存に適した気温があってこそ人間は活動できるのだが、それを支えている複雑なエコシステム(生態系)は存在していて当然ととらえがちだ。
 これは分析上の単なる見落としではなく、深刻な問題だとする報告書がこのほど公表された。経済学者でケンブリッジ大学名誉教授のパーサ・グスタプタ氏が、英政府から依頼を受けて、生物多様性を巡る経済学について執筆したものだ。同報告書は、経済学者は自然が経済活動で果たす役割を見過ごすことで、環境破壊が成長や人間の生活にいかにリスクをもたらしているかを過小評価していると指摘する。
 ・・・
 ・・・グスタプタ教授は経済学者も経済成長には限界があることを認識すべきだと説いている。地球の限りある恵みを効率的に活用してもそれには上限があるわけで(これは物理学の法則に基づく)、従って持続可能な最高レベルのGDPという水準も存在するということだ。』

2021年1月31日 (日)

1月の日経新聞から

1月をふり返ってみる。

1月5日日経夕刊から、
『英国のジョンソン首相は4日夜にテレビ演説し、新型コロナウィルスの感染拡大で行動規制を強めると発表した。首都ロンドンのあるイングランドで5日から3度目のロックダウンに入る。
 不要不急の外出を制限するほか、学校も閉じて対面授業を休止する。・・・少なくとも2月半ばまで続けられる見通しだ。』

1月6日日経夕刊から、
『ドイツのメルケル首相は5日、新型コロナウィルスの感染拡大を抑えるための規制を再び強化すると発表した。感染が深刻な地域の住民は居住地から15キロまでに移動が制限される。10日までとしていたレストランや商店、学校の閉鎖は少なくとも1月末まで続ける。』

1月8日日経夕刊から、
『フランス政府は7日、20日に予定していたレストランの店内営業とスポーツジムの再開を少なくとも2月中旬まで延期すると発表した。新型コロナウィルスの感染者数が1日当たり平均1万5000人以上出ており、対策を緩められないと判断した。』

1月8日日経朝刊から、
『中国の衛生当局が新型コロナウィルスの発生を公式に確認してから8日で丸1年となる。・・・中国国内でも足元で感染が増え、当局は大規模なPCR検査による封じ込めに躍起になっており、検査数はこれまでに2億人規模に達した。』

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1月6日日経朝刊から、
『米国や英国などでは新型コロナウィルスの患者激増で医療体制が限界に近づく。米では入院患者数が12万5千人を超え、一部地域で集中治療室が満床となった。・・・
 助かる見込みのない患者を救急車で病院に運ぶな ー 。米メディアによると全米で最も感染者数の多い西部カリフォルニア州で、ロサンゼルスの救急医療を管轄する当局が4日までに、救急隊員に指示を出した。吸入する酸素も不足し、血中の酸素濃度が90%を下回った「低酸素状態」の患者に対してのみ酸素吸入を実施するよう通達した。』

『世界的に新型コロナウィルスの感染拡大が続く中で、台湾やベトナムなどのアジアの国・地域が市中感染をほぼゼロに抑え込んでいる。共通するのは隔離や検査の徹底によりクラスター発生の芽を早期に摘んでいることだ。』

1月24日日経朝刊から、
『新型コロナウィルスの変異種の拡大が止まらない。・・・
 世界保健機関の19日時点での報告では、英国型は世界60カ国・地域で確認され、12日時点から10カ国・地域増えた。南アフリカ型は23カ国・地域で確認されている。・・・
 米紙ワシントンポストによると、米国では米疾病センターが二カ月以内に変異種が優勢になると警鐘を鳴らす。』

1月29日日経朝刊から、
『1910年代に世界で大流行したスペイン風邪では第2波の死亡率は第1波に比べて大幅に上昇した。変異が原因とみられ、新型コロナウィルスも流行が長引いて感染者が増え続けると、致死率の高いウィルスが出現しても不思議ではない。』

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1月12日日経朝刊から、
『米ジョンズ・ホプキンス大学は10日、世界の新型コロナウィルスの累計感染者数が同日に9000万人を突破したことを明らかにした。全体の4分の1近くを米国が占め、感染力が強いウィルス変異種の確認も相次いでいる。』

1月27日日経夕刊から、
『世界の新型コロナウィルスの感染者数が26日、1億人を超えた。わずか3カ月弱で2倍に膨らんだ。』

1月30日日経朝刊から、
『新型コロナウィルスの発生源を調べるため、中国湖北省武漢市に派遣された世界保健機関の国際調査団が29日、本格的な調査に乗り出した。中国側と対面協議を始め、今後は市内にある市場や研究所を訪問する。』

1月31日日経朝刊から、
『感染力の高い新型コロナウィルスの変異種への警戒が高まるなか、米欧各国が感染拡大地域からの入国禁止などの措置に動き始めた。フランスが29日、欧州連合域外との出入国を原則禁止としたほか、ドイツも同日、変異種が広がる英国、南アフリカなどからの入国を禁じた。変異種を水際で食い止めるための事実上の国境封鎖が広がりつつある。』

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1月15日日経朝刊から、
『イスラエルは2020年12月19日にワクチン接種を始め、すでに190万人が済ませた。
 ・・・ネタニヤフ氏は7日「16歳以上の全市民が3月末までにワクチンを接種できるようになる」と強調した。』

1月27日日経夕刊から、
『イスラエルで、米製薬大手ファイザーとドイツのビオンテックが開発した新型コロナウィルスのワクチンを2回接種した人のうち、その後の検査で陽性と判定されたのは0.01%にとどまっていることがわかった。』

1月17日日経朝刊から、
『インド政府は16日、新型コロナウィルスのワクチン接種を開始した。モディ首相は同日のビデオ演説で「世界最大のワクチン接種が始まった」と語り、夏ごろまでに約3億人の接種を予定する。』

1月27日日経夕刊から、
『バイデン米大統領は26日、夏までに約3億人の米国民全員に新型コロナワクチンを供給する新たな目標を発表した。』

1月23日日経夕刊から、
『世界保健機関は22日、新型コロナウィルスのワクチンを共同購入する国際的な枠組み「COVAX」で米ファイザーからワクチン4千万回分の調達で合意したと発表した。低中所得の国への接種を2月末までに始められる見通しになったとしている。』

1月31日日経朝刊から、
『世界保健機関が自国のワクチン確保を最優先する「ワクチン・ナショナリズム」の広がりへの懸念を強めている。
 テドロス事務局長は29日の記者会見で「ワクチンを共有しなければ新型コロナの感染はやまず、世界経済の回復もかなり遅れる」と強調。先進国によるワクチン争奪戦の激化に警鐘を鳴らした。』

1月30日日経朝刊から、
『新型コロナウィルスの変異種へのワクチン効果に揺らぎが生じている。米バイオ製薬ノババックスは28日、開発中のワクチンについて南アフリカ型変異種への有効性が低かったと公表した。』

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1月17日日経朝刊に掲載されたフィナンシャルタイムズ紙の記事から、
『ドイツで2020年12月に公表された調査によると、調査に応じた同国の看護師の半数、医師の4分の1がワクチン接種を望まないと答えた。フランスで同月に介護施設スタッフ2千人を対象に実施した調査では、76%が接種したくないとの結果だった。米の同月の発表では、医療従事者の29%がおそらく、あるいは絶対に接種しないという。』

1月12日日経夕刊から、
『世界保健機関は11日、新型コロナウィルスのワクチン接種が進むものの、感染拡大が止まる「集団免疫」は2021年中に達成できないとの見通しを示した。』

1月15日日経夕刊から、
『米マイクロソフトやオラクル、・・・などでつくる有志連合は14日、新型コロナウィルスのワクチン接種記録をスマートフォンのアプリで証明できる世界共通の国際電子証明書を開発すると発表した。各国でのワクチン普及に合わせ、国境間の移動や経済活動の早期再開を促す。』

1月22日日経朝刊から、
『欧州連合が新型コロナウィルスのワクチン接種者に域内を自由に移動できる公的な証明書を発行する検討を始めた。』

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1月15日日経朝刊から、
『主要7カ国のなかで新型コロナウィルスのワクチンが承認すらされていないのは日本だけだ。ワクチンは副作用のリスクの切り離せないが、欧米諸国はメリットが大きいと判断して迅速な承認につなげた。』

1月27日日経朝刊から、
『厚生労働省が想定する接種スケジュールによると、米製薬大手ファイザーのワクチンが2月中に承認されると見越し、まず同月下旬に公的病院などでコロナ患者らの治療に当たる医療従事者を対象に先行接種を始める。3月中旬に他の医療従事者、下旬に65歳以上の高齢者の接種を開始する。』

1月28日日経朝刊から、
『英製薬大手アストラゼネカは日本で新型コロナワクチンの量産準備に入る。国内メーカーが近く受託生産を始める。国内生産量はアストラゼネカの日本向けワクチンの75%に相当する9000万回分を見込む。』

1月25日日経朝刊から、
『厚生労働省は新型コロナウィルスのワクチンの副作用に対応する専門機関やコールセンターを都道府県ごとに整備するように求める。』

1月26日日経朝刊から、
『新型コロナウィルスの感染経路や濃厚接触者を追跡する「積極的疫学調査」を保健所が縮小する動きが広がっている。感染急増で調査の担当者が不足しているためだ。人手頼み感染拡大を抑え込む方式が限界を迎えつつある。』

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1月7日日経朝刊から、
『京都大は6日、経済産業研究所などと共同で新型コロナウィルスの感染実態を調べるための疫学調査を1月中にも始めると発表した。うがいや手洗い、睡眠時間など、コロナ禍の生活でどのように行動が変わったかを調査。感染と行動変容の関係を調べ、感染リスクの高い人の傾向などを明らかにする。』

1月11日日経朝刊から、
『政府は3月にも不特定多数を対象にした新型コロナウィルスのPCR検査を始める。都市部の人が集まる場所で毎日数百件から数千件検査し、無症状者を含めた感染の全体像把握に役立てる。』

1月30日日経朝刊から、
『広島県は29日、広島市中心部4区の住民や就業者を対象とする任意の大規模PCR検査の実施概要を公表した。対象者70万人のうち4割にあたる28万人程度が検査を受けると想定し、2月中旬から1カ月ほどで行う。』

1月29日日経朝刊から、
『東京都は28日、都立・公立病院を受診した患者を対象に実施した新型コロナウィルスの抗体検査の結果を公表した。陽性率は昨年9月の1.15%から12月に1.8%に上昇していた。市中での感染が冬にかけて広がったことが推測される。
 9~12月に14病院で一般外来を受診した1万4096人を調べた。』

1月11日日経朝刊から、
『新型コロナウィルス感染症が重症化する仕組みの解明が進む。免疫が働くために欠かせない情報伝達物質の生成をウィルスが邪魔していた。変異種の重症化リスクを探る手がかりになる可能性がある。』

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1月15日日経朝刊から、
『東京都の新型コロナウィルスの新規感染者が「1日500人」で今回の緊急事態を解除すると、4月に再宣言が必要なレベル(1日約千人)に戻るという試算を京都大学の西浦博教授(理論疫学)がまとめた。西浦教授は「感染者を十分に減らして解除することが必要」と指摘している。』

1月26日日経朝刊から、
『昨年7月22日に始まった政府の観光支援事業「Go To トラベル」の開始後に、旅行に関連する新型コロナウィルス感染者が最大6~7倍に増加したとの分析結果を、西浦博・京大教授らの研究チームが25日までに国際医学誌に発表した。』

1月22日日経朝刊から、
『宇都宮大は21日、新型コロナウィルスの感染防止の観点から大学が実施する個別試験を中止すると発表した。』

1月25日日経朝刊から、
『新型コロナウィルスが首都の道路事情に影を落としている。東京都内の2020年の交通事故死者数は53年ぶりに全国で最悪を記録、緊急事態宣言などで交通量が変動するなか、車の速度超過や危険な横断が目立った。環境の変化は事故の増加に関わるとされる。コロナ禍の収束は見通せず、運転手と歩行者双方に細心の注意が求められている。』

1月16日日経朝刊から、
『コニカミノルタは新型コロナウィルス感染者が滞在した部屋などを消毒するオゾン発生装置を、医療機関向けに2021年秋に発売する。・・・新型コロナの感染拡大が続くなか、手作業が多い消毒の手間を減らす。』

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1月7日日経夕刊に掲載された野口五郎さんの記事から、
『デビュー50周年を迎えたベテラン歌手だが、最近はアイデアマンとしての顔がクローズアップされている。新型コロナウィルス対策のスマートフォンアプリ「テイクアウトライフ」を開発したのだ。
 ライブ会場や飲食店などに掲示されたQRコードを同アプリで読み取れば、感染者が発生した際に緊急通知を受け取れる仕組みだ。既に自身のライブだけでなく、・・・。10日から両国国技館で始まる大相撲初場所にも採用される。』

1月28日日経朝刊から、
『プロ野球は昨年6月19日、国内プロスポーツの先陣を切って開幕した。専門家の助言を得ながら、連絡先を把握した上でのチケット販売などを定めたガイドラインを作成。・・・
 最重要課題は球場内でクラスターを発生させないこと。・・・
 巨人の本拠地・東京ドームは屋内球場に観客を迎える前に、既存の換気設備を使って吸気能力を1.5倍に高め、観客席付近の空気が16分に1度のペースで入れ替わるようにした。また空気が滞留しやすいコンコースの天井には、大型送風機を30台設置した。
 計482万3578人が球場に足を運んだ2020年のレギュラーシーズン、球場での感染報告は2件にとどまった。』

『昨年7月に制限付きで観客動員を再開したプロ野球は2020年リーグ戦に約482万人、Jリーグは約339万人が観戦した。いずれも判明した観客の新型コロナ感染は数人にとどまり、クラスターは起きていない。』

1月22日日経朝刊から、
『今夏に延期された東京五輪・パラリンピックの観客数の上限を巡り、政府や大会組織委員会などが「フルスタジアム」「50%」「無観客」の3つのシナリオを現時点で想定していることが21日、大会関係者への取材でわかった。国際オリンピック委員会から複数のケースを検討するよう要請があったという。』

1月15日日経夕刊に掲載されたIOC会長トーマス・バッハ氏(フェンシング金メダリスト)の記事から、
『特にフェンシングのようなスポーツでは、1000分の1秒単位の差が勝敗を左右します。今勝っても、1時間後の試合では同じ相手に負けるかもしれません。ですから勝利は自信をつける一助にとどめておくことが大切です。逆に負けても全てが失われたと落ち込む必要もありません。勝敗はあくまで次にうまくやるための動機付けととらえなければいけません。』

1月29日日経朝刊に掲載された北島康介さんの記事から、
『五輪がある?ない?は一個人がコントロールできる問題ではない。選手は今ある試合で全力を尽くし、運営側は安全な大会を開催して実績を積み、コツコツ周囲の理解と信頼を高める。現状の不安を口にするより、今の僕らに大切なことだ。』

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1月6日日経朝刊に掲載された英フィナンシャルタイムズ、ジャナン・ガネシュ氏の記事から、
『「良い政府は悪い政府より良い」といった当たり前のこと以外、新型コロナウィルスに苦悩した一年から世界が得た学びは驚くほど少ない。我々が現在試されているのは、ある一連の事実に対してそれとは因果関係のない架空の物語を無理やり押しつけないよう自制できるかどうかだ。人間にとって曖昧さと混乱ばかりの毎日を生きるのはかなり大変なことだが、架空の物語から導き出した誤った変革に向かって突き進むのは、それよりもはるかにまずいことだ。』

1月7日日経朝刊に掲載された東大理事、石井菜穂子さんの記事から、
『新型コロナと持続可能性、気候変動の問題は、人間の経済システムと自然のシステムの衝突という点で根っこが同じだ。コロナは人間が生態系に近づいたことで動物の病気をもらい世界中に感染した。重症急性呼吸器症候群(SARS)やエボラ熱なども2000年以降に起こった。
 人間の経済社会と自然のすみ分けをきちんと考えなければ、今後も同じ事が起きる。今までより人間が地球のシステムに大きな影響を持つ時代になった。我々は地球と人間の関係を考え直さなければならない局面に追い詰められている。』

1月25日日経朝刊に掲載された三菱食品社長、森山透さんの記事から、
『「今年も不自由な生活を余儀なくされる。その反動のマグマも相当なものになるだろう。ワクチン接種も始まり、コロナが収まれば消費の風景は大きく変わると考えている。巣ごもりはあと1年続き、2022年にはコロナ前の姿に戻ると思う」』

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1月28日日経朝刊に掲載された演出家、平田オリザさんの記事から、
『欧州では文化芸術は社会にとって必要不可欠だという理念が共有され、早期から支援が実施された。日本は他国に自国の文化や言葉を奪われた経験が乏しく、これまで芸術の公共性が意識されないできた。学校はコロナ後になくなると困るので維持するが、少なくとも前回の宣言時には同様に芸術を維持しようという機運はなかった。』

1月11日日経朝刊に掲載された秋山和慶さんの「交遊抄」(「楽団再建の立役者」金山茂人さん)から、
『大久保の赤ちょうちんで音楽の情熱を語り合い、スタンドプレーのできない僕を育ててくれた。彼がいなければ、楽団も今の僕もない。当時ベルリン・フィルからの指揮の誘いを、東響の演奏会を優先して3度断った。批評家には馬鹿だとも言われたが、後悔はない。』

昨年秋、秋山さんがある大学オーケストラ(音楽大学ではない)を指揮する演奏会があり、その練習に何回か立ち会った。指揮台に上ると、いつもすぐ始まった。演奏に関する指示以外の話しをすることはほとんどなく、秋山さんと学生の間には音楽しかないようだった。楽譜通りに演奏できないパートがあると、できるまで何度も、本当に何度も繰り返させた。僕ははらはらしながら見ていたのだけれど、怒る訳でも突き放す訳でもなく、できるまでそのフレーズを繰り返した。その光景を忘れることはできない。

2021年1月24日 (日)

同じドレミファソでも

4本の弦の下がすっかり掘れてしまったチェロの指板を、3年ぶりに削って頂いた。
こんなことを書くのは恥ずかしいけれど、この1年、練習の中心にあったのは、どう音程を感じ、どう取るか、ということだった。変な音程の取り方をしていると、本来減らない位置の指板が減る。指が弦に触れる時のインパクトの度合い、押さえ方の加減やシフトの具合など、使い込まれた指板にはきっと、その人の技量が現れる。
魂柱も久しぶりに立て直し、ひどく汚れのこびりついた楽器の表面を綺麗にクリーニングして頂いた。指板の削れ具合や楽器の汚れ方にはっとする。この数年良い感じに弾けていなかったということだ。

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良く楽器を弾こう。一つ一つの音を弾く度に、少しずつそれが楽器や弓、心と体に刻み込まれていく。楽器も弓も、良い状態で弾くことが大切だと思う。良く使うと、きっとさらに良くなる。毎日朗らかでいると、ますます朗らかな気持ちになるように。

人前で演奏する、とはどういうことか、と考えた時、それは自分の能力をできるだけ発揮することではないか、と思った。何十年か生きてきて、自分がスーパーマンではないことはわかっている。大切なことは自分の持つ力を存分に発揮することだと思う。
今はまた出かけにくくなってしまったけれど、毎週プールに行っていた。最初に壁を蹴って泳ぎ始める、その時、体がよく水に馴染み、すっと進む時と、体が固くてごつごつし、どうも前に行かない時がある。本人は同じつもりでも違う結果になることが、いつもおもしろかった。
良い調子を実現するために、何かを食べたり飲んだり、柔軟体操をしたり、筋肉に負荷をかけたり、特別なことをしたり、誰かに特別な施術をしてもらったり、そうしたこともあるのかもしれない。でも今の僕には、毎日どのように生きているのかが最も大切なことに思える。日々どのように心と体を使うのか、そのことが体のスムースな動きや、舞台での緊張の仕方に密接に関係すると思う。
いい演奏をしている時はきっと、驚くほどスムースだ。努力、とか頑張る、強いるということからは遠い。

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もちろん、僕に眠ったままの力があり、それらをまったく使えていない、という可能性はある。あるいはすでに、限られた自分の資源をかなり使っていて、残念ながら伸びしろはあまりない、ということもあり得る。
自分の力を充分に作用させるために必要なのは、必死になることや、頑張ることではなく、心と体のつながりを妨げているものを減らすことかもしれない、とも思う。

昨年の大晦日、夕方に大きなボクシングの試合があり、普段あまり見ない僕も終盤を少し見た。ボクシングのことは良く知らないけれど、見事な試合で、この人たちにはこのスピードのパンチが見えているんだ、と驚いた。同時に、猫のようだ、とも感じた。鍛え抜かれたアスリートだからあの速さや強さが実現できるのだろうけれど、猫の喧嘩だってすごい。間合いの取り方、仕掛けるタイミング、猫パンチの目にもとまらぬ速さ、・・・。
背丈よりずっと高い壁をひょいと乗り越えたり、狭い塀の上をするする走ったり、高いところから音もなく着地したり、狭いすき間に躊躇なく入ったり、そうした猫のような身体能力持つ人がいたら、間違いなくスーパーマンだ。様々なことを考えたり、高度なコミュニケーションをしたりするようになった代償に、人間は素晴らしい身体能力を失ったのだろう。
時々走っている。どたどたと無様だ。子供の頃は飛ぶように走っていた気がするのに。

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またピアノ(家にあるのはクラビノーバ)をよちよち練習するようになった。練習する、といってもほんの少しなのだけれど、前の日にできなかったことが次の日何気なくできていたりしておもしろい。いったい何が起きているのだろう。
交響曲のスコアを見て、和声進行を弾いてみたり、チェロのレパートリーのピアノパートをちょっとだけ弾いてみたりする。チェロのパートを弾いてみると、拍子抜けするくらい易しくて、うーん、となる。

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楽器にはそれぞれ事情があり、得手不得手がある。例えばドレミファソ、というフレーズをピアノで弾くのとチェロで弾くのとでは、脳と体の働きはかなり違う。同じ楽譜を見ても、その人がどんな楽器を弾くのか弾かないのかで、心に思い描かれる景色はまったく違うと思う。でもドレミファソは同じドレミファソのまま。

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オーケストラには様々な発音原理の楽器があり、たとえ全員ユニゾンで同じ旋律を演奏しても、脳と体の動きはおそらく大きく違う。多くの人が、脳の中では違うことが起きているのに、同じ音型を演奏することができる。不思議だ。それでももし、同じ感覚のドレミファソを共有できていたら素晴らしい。

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ロストロポーヴィチは、歌手である夫人の伴奏をするためにピアノも演奏した。ヴァイオリンのユリア・フィッシャーは1つの演奏会でヴァイオリンとピアノを弾くことがあるそう。作曲家・クラリネット奏者のイェルク・ヴィトマンは1つの演奏会で自作曲や他の曲の指揮をし、クラリネットを吹いていた。傍で見ていて、作曲すること、クラリネットを吹くこと、指揮をすることの間にすき間がないようだった。ヴァイオリンの庄司紗矢香さんは、楽器を弾く自分を離れたところから客観視しているように見える。

楽器を扱うことはなかなか大変で、しかも魅力的だから、そのことにかまけてしまう可能性がある。でも少し距離を置き、まず音楽を感じてみることが大切なのかもしれない。

2020年12月30日 (水)

世界史の年表に

今月、昔からの友人にチェロの弓について様々なことを尋ねられ、彼がどんなことを感じているのか、何を求めているのか、楽しいメールのやり取りがあった。一本一本の弓に世界があると思う。

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今年、経験や様々な思い込みを捨て、素の自分と向き合って練習した。
優れた演奏家と自分と何が違うのだろう、と考えた時、自分の出した音、発した音楽をどれだけ正確に把握できているか、きっとそこだろうと思った。そして返ってきた音に対して、どのように動くのか、そのフィードバックのループがとてもスムースにつながっている。心と楽器の間にすき間がなく、頭で考えるごちゃごちゃとしたことや、意識のようなものが邪魔をしていない。

同じように、弓に触れている右手と、弦や指板に触れている左手が、弓や弦をよく感じていて、加えた力に対して返ってきた反応にどのように答えるのか、ということもきっととても大切だ。
誰かと話をするときに、こちらのことだけを一方的に喋らないように。あるいは、猫に触るときに、その猫のことを感じながら触るように。そんな当たり前のことを言うな、と怒られそうだけれど。
(おそらく、どのように弓を持って、どのように楽器を構えて、どのような姿勢で、どのような弓使いで、指使いで、・・・、そうしたことはそれほど重要ではない、と思う。)

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毎朝、この楽器とこの弓はいったいどんな音がするんだろう、と思って弾き始める。
今のチェロとは四半世紀以上の付き合いになる。でも、もしかしてこの楽器のことを僕はよくわかっていないかもしれない。何本かある弓についてもそうかもしれない。実際、何年も使ってきた弓が時々に見せる内面的な顔、そしてそれによって引き出されるチェロの可能性には、はっとさせられることがある。
30年以上前、音楽を志す大きな転機となった草津の音楽祭で、あるピアニストに、音楽家になるなんてやめておきなさい、あの素晴らしい演奏家たちでさえ毎日練習しなくてはならないんだから、と言われた。その時、この人は不思議なことを言う、と思った。演奏を職業とするようになり、楽器に触れることを辛く感じる日々はあった。でも今は、昨日とはほんの少し違う自分で新たに音を出せることを幸せに思う。

9月から演奏会が再開され、また楽器を持って電車に乗るようになった。
比較的空いていた電車に小さな子供を連れた家族が乗ってきて、その子供が僕の持つ楽器を指し、あれなに?、と親に聞く姿を見ることが度々あった。物心がつき始めた子供たちにとって、半年近い巣ごもり期間が過ぎ、ほとんど初めて接するまぶしい外界で、大きなチェロはとても不思議なものに見えただろう。でもいつも若い親たちは、静かに、とたしなめるばかりだった。僕もよく、なんで?どうして?と親に聞いていた記憶がある。
その子たちの好奇心を満たしてあげたいと思ったけれど、そうしたことが難しい状況になった。

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外出するとほぼ全ての人がマスクをしていて、顔の下半分の表情が見えない。小さな子供たちに世界はどのように見えているのだろうか。そして彼ら彼女たちはどのように表情を獲得していくのだろう。
以前よりさらに消毒が行われるようになり、様々な雑菌に触れる機会が激減したと思う。僕のような少々古くなった人間はともかく、子供たちに何が起きるのだろうか、それとも何も起きないのだろうか。10年くらい過ぎた時、2020年の影響で思いもよらないことが起きているのだろうか。

もし百年後にも世界史の年表があるなら、2020年の新型コロナウィルスの感染拡大は大きなトピックとして記されていると思う。五大陸の全てで人類が同時に同じウィルスの感染にさらされることはこれまでなかった。

ワクチンの接種が始まり、来年をどうにか過ごして再来年は、と思っていたところに、変異種の流行が報道されるようになった。
先月の新聞記事をさかのぼると、すでに感染力の高い変異種のことを様々な研究者が指摘していたことがわかる。(11月30日の日記の中ほどをご覧下さい http://ichirocello.cocolog-nifty.com/blog/2020/11/post-1c09ea.html
)彼らはとても重要なことを発信していたのだけれど、当時は大きく注目されることなく時間が過ぎ、さらに感染が広がった。こうしたことはきっとこれまでも起こっていたし、残念ながら、これからも起こるのだろうと思う。

12月の新聞記事を見返していると、アメリカでは人口あたり17人に1人の感染者、1000人に1人の死者、とあった。また、英エコノミスト誌の記事で、『01~18年にパンデミックが発生した133カ国について調査した国際通貨基金の報告書によると、感染症発生から約14ヶ月後に社会不安の事例が急増し、24ヶ月後にピークを迎えていた。』とあった。

来年のことを言うと鬼が笑うと言う。でも足りない頭で考えてみる。
シナリオA:ワクチン接種が主要な事案になり、効果があり、1年かけて普及し、再来年、世界はかなり平常に動くようになる。
シナリオB:変異種が手強く、あるいはワクチンの効果が上がらず、長引く。
シナリオC:さらに別の感染症、あるいは自然災害が発生し、混迷する。

ずいぶん前、致死率の高いエボラ出血熱に関する本を読んだ。不思議なことに、水がひいていくように感染がおさまっていく、と書いてあったと記憶する。今回もそういう幸運が起きるとよいのだけれど。

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2020年12月 4日 (金)

ブラームスの4番、くるみ割り人形

11月28日、都響演奏会のメインはブラームスの交響曲第4番ホ短調。
10月に3番を弾き、この2曲の間に作曲家が大きく変わったことを感じた。気持ちの流れで弾くのではなく、大きな何かを構築するように書かれている、と思った。3番までのブラームスの交響曲は、素晴らしい旋律線をどのように演奏するか、いかに感情的に情熱的に弾くか、ということが重要に見えるけれど、4番にはそうした要素が少ない。作曲者の意図を汲み、一つ一つの音を要求された通りに出し、可能な限りの正確さと強さで組み上げていくことが必要と感じた。
そうした作業が実を結んだ時、そびえ立つような伽藍が現れているのかもしれない。

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4番の交響曲の冒頭はヴァイオリンの旋律を木管楽器が遅れて追いかける。この書き方から1番のチェロソナタを思い出した。チェロの旋律をピアノがやはり裏拍で追うように伴奏する。作品98の交響曲のアイデアの1つはすでに作品38のソナタにあったのかもしれない。そして、どちらもホ短調だ。

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3月以降しばらく演奏会がなくなり、様々なことを考えた。社会的な活動が止まって、きっと多くの人がこれまで当たり前と思ってきたことを見直したり、変えたりしたのではないかと思う。僕の日常にも、さほど必要ではないと気付いたり、変えたりした事柄があった。同時に音楽や他のいくつかのことはやはり大切、と感じた。
感染が広がる中でもオーケストラの演奏会が開かれていることは、奇跡のように思える。演奏会がある以上、もちろん足をお運び頂きたい。でも是非来て下さい、ではなく、どうぞお気を付けてご無理のないように、と申し訳ないような気持ちを抱いてしまう。

都響の演奏会にも来て下さるある医師が、今年はマスクの着用、手洗いの励行などでインフルエンザの流行は抑えられているけれど、その状況下でも広がっているコロナウィルスの感染力の強さには気をつけた方が、と話されたことが印象的だった。

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オーケストラの仕事をするようになってから、欠くことなく年末には第九の演奏会があった。予想もしなかった状況になり、都響の中で今年の第九をどうするか、ということは長い期間、真剣に話し合われた。そんな中「くるみ割り人形」はどうか、という案が出たとき、素晴らしいと思った。(都響は毎年12月24、25、26日に第九を演奏していましたが、今年は25、26日に「くるみ割り人形」を演奏します。https://www.tmso.or.jp/j/news/10975/
報道を注視しない日は一日もない状況だけれど、今年の公演が無事に全うでき、来年は少しでも落ち着いて行動できるようになることを願うばかりです。

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